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日本vsブラジル 試合後のハリルホジッチ監督会見要旨

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試合を見つめるバヒド・ハリルホジッチ監督

[11.10 国際親善試合 日本1-3ブラジル リール]

 日本代表は10日、フランス・リールのスタッド・ピエール・モーロワでブラジル代表と国際親善試合を行い、1-3で敗れた。

以下、試合後のハリルホジッチ監督の会見要旨

バヒド・ハリルホジッチ監督
「私のコメントには二面性がある。前半、どういうことが選手たちの頭の中に起こっていたのか分からないが、ビデオ判定でPKの判定があった。それで少しチームのバランスが崩れたのかなと思う。以前から言っているが、現時点での世界一のチームに対して不安定な状態になったところでボールを与えてしまった。相手はしっかりその状況を利用してゴールという結果につなげた。後半に入ってからはまったく違うゲームになった。ハーフタイムにメンタルと戦術のところでいくつかの修正を行った。選手には『1点目が決まれば2点目、3点目も狙える』と話した。2点目は決まったが、オフサイドという判定だった。素晴らしいプレーから浅野のゴールが決まらない場面もあった。後半はかなり満足のいくものだった。しかし、改善点もたくさん見られた。このような試合から多くの結論が出せる。前半が残念だった。もっともっとできたかなと思う」

─監督は負けず嫌いだが、今日はそんなに悔しがっていないように見えるが。
「世界一のチームと対戦しても敗戦は嫌いだ。しかし、現実的に考えることも必要だ。試合前から世界一のチームと対戦すると言ってきた。そのチームに対してこのような後半ができたことはある程度は満足いくものだし、希望も持つことができる。我々のチームの形、我々のプレーの実行に良い部分が見られた。ただ、それを得点という形につなげないといけない。場合によっては個人プレーで決めることも必要かもしれない。もちろん(結果は)うれしくはない。ガッカリしたとまではいかないが、選手たちのメンタルの面に満足はしていない。少し未熟なところも出たかもしれない。前半と後半は分けて考えている。ボールポゼッションあるいはパス回しのところで、(後半は)同等、もしくはそれ以上の戦いができたと思っている。後半にも3、4回ボールを奪ったあと、ボールを動かしてフィニッシュまで行けたかなという場面があったが、そこで冷静にできなかった。焦ってしまったという場面があった。次回、このような試合が訪れれば、この試合の経験があるからより冷静にできるかもしれない。後半には満足している。7か月後のW杯に向けて、これからも成長し続けていかないといけない。そのころにはより高いレベルで戦えるようにしていたい」

─ビデオ判定で狂ったところがあったと思うが、それ以外の部分は要求どおりできていたのか。
「戦術のトレーニングはたくさん行ってきた。相手の3トップに対しては、ターンさせないためにしっかり付くよう指示していた。ターンさせてしまったら、ネイマールをブロックすることは難しい。ただ、それを行うのにもメンタル的な要素、自信が必要だ。相手をリスペクトし過ぎたかなと思う。中盤の選手たちにも相手の近くで付くように指示したが、少し距離があったかなと思う。相手チームはワンツーやパスが巧みなので、距離を空けてはいけない。その5分後に吹かれたPKが少しチームを不安にさせてしまったのかなと思う。2失点目も完全にフリーな状態でのクリアミスだ。相手が拾って、もしかしたら初めてかもしれないが、(左利きのマルセロに)25mの距離から右足で決められた。

 後半に入ってからはフィニッシュに至るチャンスが何度かあったが、スピードアップせずにプレーを遅くしてしまった。守備的にも少し崩れたときに、相手のカウンターが3回、4回あった。相手の裏へのボールは速く、押し上げも速かった。PKが我々の安定性を少し崩したと思う。ボールを動かしていけばクロスやシュートで終わらせることができると思っていたところで、少しゆっくりして、ペースダウンしてしまった。それはメンタルの部分から来たのかもしれない。後半に入ってからはより相手の近いところ、より自分たちがコンパクトにプレーして、相手に寄せることができた。中央でもサイドでもそれができて、ボールを奪うこともできた。奪った直後の1本目のパスをしっかりつないでいれば、そこから生まれるチャンスもあっただろう。修正点、改善点はたくさんあるが、その中でメンタルの面は大きかった。ダイアゴナルのボールや背後へのパスにもちょっとしたテクニックのミスがあった。セカンドボールの予測のところも少し欠けていた。純粋な気持ちでこの試合を見て、真実を見ないといけない。改善点はあるものの、満足すべき部分もあったと思う。後半のみを見れば1-0で勝っているし、2点目、3点目が決まっていてもおかしくなかった。もちろん、相手にもヘディングのチャンスがあった。前半、残念な部分があり、後半、満足いく部分があった試合だった」

─特に前半はデュエルの部分でボールを奪い切れなかったように見えたが。
「ネイマール、ウィリアン、ジェズスなどと対戦した試合だ。1対1で彼らにデュエルで勝てる選手はそう多くいない。それでも後半は良くなった。だからこそメンタルの部分が重要だと思う。ネイマールと対峙した(酒井)宏樹もいくつかのデュエルで勝っていた。そういったメンタル的な分野でこのチームはさらに良くなるのではないかという話をした。つまりノーファウルだけど、よりアグレッシブにいくということ。ブラジル人はアグレッシブに来て、その中で倒れたりしてファウルをもらうことが巧みなチームだ。ハームタイムに選手たちには『恐れないでいい』という話をした。前半はメンタルの部分、アグレッシブさの部分で満足していなかったので、勇気付けるために『1点目が決まれば、2点目、3点目も取れる』という話をした。最終ライン、中盤、前線での修正点も伝えた。浅野が入ってから相手の背後に顔を出すようになったのは良かった。そして(長友)佑都は今日の試合でキャプテンを務めたが、試合後に100戦目を称えた。彼はキャラクターの部分でも良いものを持っている。チーム全員とも愛着の部分でつながっているし、みんなの見本にもなっている。私にとってもこの100試合は誇りであるということを話した。そして最後に『今日の試合は佑都がキャプテンだったから負けた。私のせいではない』ということを言った(笑)」

─アルジェリア代表を率いてW杯でグループリーグを突破したが、日本でもそれができると思うか。
「もちろんそれを再現したい。さらに上に行くことを望んでいる。サッカーでは何が起こってもおかしくない。試合後に話すのは簡単だが、後半(の内容)で過信するわけではないが、前半が0-0で終わっていたら、この試合で偉業を成し遂げることもできたかもしれない。不運なことにそうはならなかったが、後半には満足できる部分があった。これから7か月、準備する時間がある。その目的はアルジェリアで成し遂げたことを再現することだ」

─後半のブラジルは世界一のチームには見えなかったが、それでも満足しているということか。
「(後半の)ブラジルが世界一のプレーを見せなかったのは、日本がプレーしたからという部分もある。選手たちのパフォーマンスもしっかり評価してあげないといけない。ポジションにもしっかりと入っていたし、前からもプレッシャーをかけていた。少し低いところでブロックをつくったとしても、そこからプレッシャーをかけていた。奪ったあともう少し冷静にプレーして、もう少し運があれば、より良い形ができて、より多くの決定機があったと思う。デュエルのところでも、より相手に近いところでプレーしていた。ゲームの読み、予測、そういったところでも良くなったので、パフォーマンスが後半に入ってから大きく変わったと思う。もちろん今日の試合は敗戦だ。喜んではいけない。しかし、後半は良かったという話を選手にできる試合だった。前半からはしっかり教訓を得て、それを繰り返さないこと。このような試合で我々は学んで、進化しないといけない。現実的に考えて、ブラジルは別格であることも認めないといけない。ブラジル自身も今まで見たことのないブロックをつくって、ポジションに戻ってプレッシングするチームになっている。このようなブラジル代表は今までの歴史の中で見たことがない。つまり、良かったところとあまり良くなかったところ、2つの要素がある試合だった」

(取材・文 西山紘平)

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