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「負けたら絶対に泣かないと決めていた」。大阪桐蔭MF西矢主将が涙の大阪制覇

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涙を流して優勝を喜ぶ大阪桐蔭高MF西矢健人主将(8番)

[11.11 選手権大阪府予選決勝 履正社高 1-2 大阪桐蔭高 金鳥スタ]

「胴上げできたことはホッとしている」。大阪桐蔭高のMF西矢健人主将(3年)は目を潤ませたまま語った。「1年の時に(大阪桐蔭のチームメートたちの前で)『監督を国体で日本一にして胴上げしてきます』と言っていたんです」。15年、永野悦次郎監督が率いた大阪府選抜の一員として和歌山国体少年男子の部を戦った西矢だが、準々決勝で優勝した神奈川県に1-2で競り負けて永野監督を胴上げすることができなかった。宣言から2年後にやり遂げた胴上げ。主将として悩みながらチームをレベルアップさせてきたMFは充実の表情を見せていた。

 今大会準決勝はPK戦の末に勝利。それでも喜ぶのは決勝で勝ってからと「あと1勝」にこだわってきた。この日は先制直後にFKから失点。自身が絡んでしまった1点に「迷惑かけているなと思った」という。

 だが、切り替えてチームの中でやるべきことを徹底。「中学時代からは考えられないくらい」に球際で体を張って戦い、履正社高の横浜FM内定FW町野修斗(3年)相手に空中戦で幾度も勝ち続つ強さも見せた。高校入学後に成長した部分で勝利に貢献。試合終了の笛が鳴ると、ピッチ上で涙を流して喜んだ。

「負けたら絶対に泣かないと決めていた。流すなら優勝したらと決めていたので、優勝した瞬間、倒れ込んで……。でも、この日のためじゃない。日本一という目標のためにやってきた。一つの山を乗り越えた」。

 1年時は自分のミスで予選敗退。2年時も予選突破をすることができず、「どん底」を経験した。キャプテンとなった今年、コーチ陣と選手との間で上手くチームを取りまとめることができず、遠征中に永野悦次郎監督の前で涙を流すこともあったという。「僕自身、頼りなくて、どうしていいか分からなかった」。1、2年時に自分のことをやっていれば大丈夫と思い込んでいた。だが、最高学年となり、キャプテンを務める中で変化しなければならないことに気付かされた。そして、自分が先頭に立ってやるべきことを表現しながら、常に周りに目を配り、チームがまとめることを求め続けた。

 準決勝で出場停止だったMF菊井悠介(3年)はその試合で貴重な先制点を決めた西矢について、「声をバンバン出すタイプではない。それでも、大事な時に結果を出して信頼を掴んできている。良いキャプテンになってきている」と語る。この日は怪我で欠場したMF神戸康輔(3年)のためにも戦い、優勝を喜びあった。仲間からの信頼される主将となった西矢は強いリーダーとして全国大会に臨む。

 全国決勝の舞台は、浦和レッズを応援してきたという西矢にとって憧れの舞台である埼玉スタジアム。「監督を日本一の男にする。埼玉スタジアムで日本一になって、監督を胴上げして、チーム全員で桐蔭の新しい歴史を塗り替えたいと思います」。埼玉スタジアムで日本一となって、自身を人間的にも成長させてくれた高校サッカーから卒業する。

(取材・文 吉田太郎)
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