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[MOM2341]桐光学園MF田中雄大(3年)_逆境の中、背中で牽引した主将が劇的V弾!

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桐光学園高MF田中雄大主将

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[11.25 選手権神奈川県予選準決勝 三浦学苑高 3-4(延長)桐光学園高 ニッパ球]

 後半20分に逆転されたあと、キャプテンマークを巻いた背番号7が前に行くしか無い桐光学園高を背中で牽引した。その時間帯のプレーについて、MF田中雄大主将(3年)は「流れ変えなきゃ行けなかったので、まず守備からやることを心がけて、自分がやればみんなやると思うので、プレーで見せるということをやりました」と振り返る。田中は単騎中盤を大きく飛び出して相手にプレッシング。そして、スライディングタックルで相手のボールをカットした。

 鈴木勝大監督はそのプレーを「ああいうプレーを評価して欲しいと思います」と絶賛していた。そして、「あの終盤とか、(チームの)メンタルの落ちた状態の中で推進力持ってボールを奪いに行くのは、日本人の中では少ないと思うんですよね。ああいう逆境の中で一歩を踏み出せる選手というのは、これから日本のサッカーでは必要な選手だと思いますし、サッカーを引退しても社会人として必要なメンタルじゃないかと思います」と彼の持つ特別な資質を説明していた。

 逆境の中で主将とともに勢いづいたチームは迫力ある攻守で三浦学苑に圧力をかけると、後半28分にFW倉持快(3年)が同点ゴール。そして3-3のまま迎えた延長後半アディショナルタイム、チームの先頭に立って戦い続けた田中が桐光学園に歓喜をもたらす。

 右CK後の混戦からゴール前にこぼれたボールを田中が左足でゴールに押し込んだ。「何であそこにいたかは分からないんですけれども、ボール来るかなと思っていたら来て良かったです」。スタンドまで駆け抜けた主将は、大興奮の仲間たちの下に飛び込んで大喜び。指揮官は「彼は(U-)18の代表から漏れて、(目標のプロ入りではなく)大学に進学しますけれども、彼は(1年時から試合に出てきて)3年目ですし、ここに掛ける思い、負けたくないという気持ちがつま先一つ分とか、親指一つ分とかそういうものに繋がっているんじゃないかなと思います」と白星を引き寄せた主将に目を細めていた。

 今年の前半はチームの成績が出ず、田中自身も期待されたU-18日本代表定着を果たすことができなかった。そのMFは特別な思いを持って決勝戦に臨む。「チームの結果でしかアピールすることができない。全国出てアピールしたいと思います」。抜群の切り替えの速さとテクニック、そして名門の主将として誰よりも勝利を求める田中が決勝戦でも桐光学園を背中で引っ張る。

(取材・文 吉田太郎)
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