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就任1年目で初V、川崎F鬼木監督の野心…バルサ、レアルに勝つ「可能性を五分まで」

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就任1年目で初優勝を果たした川崎Fの鬼木達監督

[12.2 J1第34節 川崎F5-0大宮 等々力]

 就任1年目で川崎フロンターレに悲願の初タイトルをもたらした。5シーズン指揮を執った風間八宏前監督のあとを継ぎ、コーチから昇格した鬼木達監督は「言葉では表せられないほどの喜びがある。やっとフロンターレの歴史というか、時計の針が動き出したのかなと思う」と、クラブが勝ち取った初タイトルの意味を語った。

 ついに“シルバーコレクター”を返上した。今季のルヴァン杯を含め、これまで実に8度の準優勝。2度のJ2優勝を除けば、J1ではいまだタイトルを手にしたことがなかった。今季も秋まで4冠の可能性を残しながらACL、天皇杯は準々決勝で敗退し、ルヴァン杯は決勝で敗戦。それでも「大きな敗戦という意味ではACL、ルヴァン杯。ここはすごく大きなものになったと思う」と、敗戦を糧に這い上がってきた。

 なぜ“万年2位”から脱却できたのか。記者会見ではその要因を聞かれ、「正直、何で勝ち取ったかというのは自分自身、ハッキリしない部分もある」としたうえで、「敗戦を引きずらない。そういうのがすごく大事なんだなと思った」と、自身の見解を述べた。

「現役時代のときは、負けた次の日とかに笑顔があるとイライラする感じだったけど、こういう立場になると(選手を)笑顔にしてあげたいなと。下を向いてはいけない。笑顔があるところに活気があるんだなと。一回一回、切り替えて次の試合に挑んでくれたことが今日につながったのかなと思う。自分が引きずってないよという姿勢を(選手に)見せるというか、引きずっても何も変わらないので。未来を変えられるのは、そのときの自分たちだけだから」

 風間サッカーをベースに攻撃的なスタイルを貫きながらも“鬼木流”を注入した。それは「負けないチームをつくりたい」という鬼木監督の信念でもあった。今季公式戦初戦となった2月22日のACL水原三星戦(等々力)。1-1で迎えた後半27分、最初の交代カードはMF阿部浩之に代えてDF奈良竜樹を投入するというものだった。この交代により、システムも4-4-2から3-6-1に変更。結果は1-1だったが、結果的にACLは2勝4分という粘り強さで水原や広州恒大をおさえ、グループリーグを首位通過した。

「攻撃的なチームという形でスタートした中で、あの試合で最初に交代で入れたのはDFの選手だった。あのとき交代によって負けていたら歯車が狂ったかもしれないが、負けないチームをつくりたいと。あの試合が自分の中でターニングポイントというか、“簡単に負けないよ”という今年に懸ける決意だった」

 あらためて当時の意図を説明した指揮官が将来の理想図として思い描くのは、川崎Fのスタイルで世界の強豪と互角に渡り合うことだ。

「このサッカーが世界に通用するものだと信じている。例えばバルセロナやレアル・マドリーのようなチームと10回対戦して、そのうちの1回勝ちを狙うなら、下がってカウンターでも(1回目に勝利が)来るかもしれない。しかし、自分たちでボールを握って攻撃して、そういうサッカーをすることによって、もしかしたら(勝つ)可能性を五分まで持っていけるかもしれない」

 来季はACLにも2年連続で出場する。過去最高の8強を超え、アジアの頂点、そしてその先にあるクラブW杯も見据える鬼木監督は「日本サッカーの先頭に立っていければいいなという思いはある」と、大いなる野心も口にした。

(取材・文 西山紘平)

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