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「ライター川端暁彦の選手権優勝予想」データが物語る選手権で勝つことの難しさ。大阪桐蔭の初Vか

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川端氏が最有力候補に挙げる大阪桐蔭高

特集企画「ユース取材ライター陣が予想する『全国高校選手権優勝校』」

 96回目の高校サッカー選手権がいよいよ始まる。96回くらい予想していたら、何度か当たる気はするのだが、それはもはや偶然というものだろう。仮にあらゆるチームに対して勝率7割になる強豪校があったとしても、それが1回戦からの6試合で6連勝する確率は11%ほどである。高校選手権の予想はこの5連勝なり6連勝なりをするチームを予測しようという無謀な試みなわけだ。

 現代の選手権の傾向はデータを観るのが分かりやすい。直近の連覇は79回大会(00年度)と80回大会(01年度)を制した国見高(長崎)までさかのぼる必要がある。大久保嘉人や徳永悠平の時代だ。高校サッカーの潮目が変わった大会と言える、乾貴士を擁した野洲高(滋賀)が優勝した84回大会(05年度)以降で観てみると、連覇どころか同一優勝校もない。2年連続してファイナリストになった高校も92回大会と93回大会の星稜高(石川)だけとレアケース。現代の選手権で勝つのは、かくも難しい。

 よって、前年度優勝の青森山田高(青森)と同準優勝の前橋育英高(群馬)のファイナル進出はないと観る。もちろん、前例は覆されるためにあるようなもので、この2校が大会最強クラスのチームであることに全く異論はない。だが、連続して結果を出すというのは言うほど簡単ではあるまい。

 そして「同一優勝校がない」という視点も加味すると、流通経済大柏高(千葉)、広島皆実高(広島)、山梨学院高(山梨)、滝川二高(兵庫)、富山一高(富山)、星稜、そして東福岡高(福岡)というそうそうたる顔ぶれが脱落する。脱落させていいのかという疑問が膨らむチームばかりだが、データが言うのだから仕方ない。

 よって、優勝は残る39校から出るということになる(本当か?)。最有力候補は大阪桐蔭高(大阪)ではなかろうか。9年ぶり2度目の出場で経験値のなさがネックにも思えるが、初出場初優勝を果たした山梨学院のような例もある。MF西矢健人主将を中心とした攻守にまとまった好チームだけに、可能性は十分にある。いわゆる“筆頭候補”の高校と別ブロックに入ったというのも経験の浅いチームにとってはポジティブな材料だろう。

 昌平高(埼玉)の名前も挙げたい。MF山下勇希が軸となる完成度の高いポゼッションサッカーは、例年に増して過酷な連戦となる今年の選手権において「体力的な消耗を避ける」というポジティブなメリットになり得る。関東一高(東京)も似たような視点で推せるチームだろう。地元の地の利はもちろんあるし、昨年の経験は選手・スタッフの中に蓄積されている。戦力的に抜きん出ているわけではないが、チームとしてまとまっている。

 逆に体力勝負のできるチームという意味でいけば、長崎総合科学大附高(長崎)の名前が挙がるだろう。冬に入ってからのチーム状態は必ずしも良くないようだが、こういうチームが最後の大会でピークを迎えるのも選手権ではよくある話。C大阪内定のFW安藤瑞季の爆発にも期待が懸かる。昌平と同じ山に入った矢板中央高(栃木)も面白い。まとまりがあって、「やりたいこと」が非常にハッキリしているグッドチーム。稲見哲行松井蓮之のダブルボランチは今大会で一番堅いかもしれない。

 京都橘高(京都)は意外にダークホースかもしれない。プレミアリーグ参入戦では大敗してしまったが、例年も米澤一成監督が選手権に合わせて抜け目なく調整してくるチームだけに、なんだかんだ言いつつ、勝ち残ってくる予感がある。最後に推す超ダークホースは桐蔭学園高(神奈川)か。尻上がりのシーズンと言っても、ここまで極端なチームも余り類例がない。2回戦シードというメリットもあり、地の利もあり、不屈の団結力もある。MF若林龍など好選手も多く、「ひょっとしたら、ひょっとする」可能性を感じる。

 決勝のカードを予想するなら、長崎総科大附と大阪桐蔭。大迫勇也を思い出させる活躍を安藤がしてくれればという期待も込めつつだが、となると長崎総科大附は準優勝で、今季ぶっちぎりでプリンスリーグ関西を制した大阪桐蔭の初優勝とみた。もちろん、勝負は蓋を開けてみないことには分からないものだが、それを狙えるだけの地力を持ったチームであることは間違いない。

執筆者紹介:川端暁彦
 サッカー専門新聞『エル・ゴラッソ』元編集長。2004年の『エル・ゴラッソ』創刊以前から育成年代を中心とした取材活動を行ってきた。現在はフリーランスの編集者兼ライターとして活動し、各種媒体に寄稿。著書『Jの新人』(東邦出版)。
●【特設】高校選手権2017

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