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「優勝しろよ…」「任せろ」。矢板中央MF松井、代表候補合宿でコンビも組んだ流経大柏CB関川と後輩に日本一の夢託す

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矢板中央高のU-17日本代表MF松井蓮之(右)は夢だった日本一に届かず、準決勝敗退に

[1.6 全国高校選手権準決勝 流通経済大柏高 1-0 矢板中央高 埼玉]

 矢板中央高(栃木)のU-17日本代表MF松井蓮之(3年)は高校生活ラストゲームの終わりを告げるホイッスルが鳴った後、流通経済大柏高(千葉)のU-17日本代表CB関川郁万(2年)に歩み寄り、肩を組んで言葉をかわしていた。

「優勝しろよ」

「任せろ」

 2人は16年10月~11月に開催されたU-16日本代表候補大阪合宿に揃って選出。2000年の早生まれで、学年が一つ上の松井は当時、CBとしてテストされており、合宿中に関川とコンビを組むこともあったという。

 この日は、その関川相手にチームメートの190cmFW望月謙(2年)が空中戦で健闘。だが、関川に自分たちの攻撃が幾度も止められてしまう。「読みが良いし、チャンスの芽を潰されて……。対人が強いので前の選手が勝てずにカウンターを食らったり、自分たち(ダブルボランチ)の背後を取られて自分たちが後ろ向きの守備をさせられたり、(関川)郁万は怖い選手でした」。

 遠かった1点。先制された直後の後半21分、矢板中央はMF山下育海(3年)がDFの逆を取るドリブルから右クロス。これをファーサイドのFW大塚尋斗(2年)が丁寧に落とし、タイミング良く走り込んだ松井が右足を振り抜く。

 だが、ボールはクロスバーの上方へ。「状況判断ができずに。前に一個運べば良かった。慌てて蹴っちゃいました」と松井はチャンスを活かせなかったことを悔しがる。松井はこの後もDFを巧みにかわしてのシュートなど攻撃を牽引したものの、最後まで関川中心に守る流経大柏のゴールを破ることはできず、涙の敗退となった。

 選手権に出るために地元・福島を離れて努力してきた3年間。自身はU-17日本代表に選出され、最後の冬に矢板中央の過去最高記録に並ぶ全国4強入りを果たした。だが、目指していたのは日本一。「過去最高の成績ですけれども、抜けなかったのが悔しい。決勝に行って矢板中央の名を広めたかった。(自分は)全国高校サッカー選手権に出る目的で来た。それを達成できたことは良かったんですけれども、日本一という目標が達成できなかったのは悔しいですし、親や中学のコーチには感謝して、一から見直してサッカーしたい」。夢は関川や「今の2年生は上手い選手、個性的な選手がいる。まとまれば日本一が取れると思っている」という後輩たちに託し、自分は昨年度総理大臣杯優勝、インカレ準優勝の法政大で新たな一歩を踏み出す。

「自分の良さは守備。大学サッカーは守備が大事だと思うので、守備の面はもっとレベルアップして、攻撃の面でもっとゴールに直結するプレーや、自分がフィニッシュで決めること。ゴール前での多彩なパス、ロングフィードが自分は得意なので突き詰めて行ってみんなとは違うプレーをしたい」。4年後にプロ入りし、今大会初戦からスタンドで応援し続けてくれた女優でモデルの姉・松井愛莉以上に有名なサッカー選手になることも目標。大学サッカー界屈指の強豪で自分を磨き、高校時代に実現できなかった夢を叶える。

(取材・文 吉田太郎)
●【特設】高校選手権2017

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