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「やっちまった」得点王の前育FW飯島陸、V弾逃すシュートに苦笑い

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大会得点王に輝いた前橋育英FW飯島陸(3年)

[1.8 全国高校選手権決勝 流通経済大柏高0-1前橋育英高 埼玉]

 一瞬、頭を抱えそうになった。後半アディショナルタイム2分、前橋育英高(群馬)はMF田部井涼(3年)のクロスをFW榎本樹(2年)が頭でそらし、FW飯島陸(3年)がボールをおさめる。PA内で粘って左足を振り抜くと、シュートは至近距離でDF三本木達哉(3年)が腹部でブロック。しかし、こぼれ球を榎本が右足ダイレクトで蹴り込み、劇的な決勝点が生まれた。

「打った瞬間は“やっちまった”と思った」。飯島は苦笑いで振り返り、「(榎本)樹がうまく詰めてくれたので良かった」と、2トップを組む2年生FWに感謝した。それでも「流経ならあそこからまた(攻めに)来ると思った。もう一度引き締めないとというのはチームのみんなが分かっていた」と、気を緩めることはなかった。最後まで集中力を切らさず、1-0の完封勝利。タイムアップの笛を聞き、「やっと優勝できた。うれしい気持ちしかなかった」と、ようやく喜びを爆発させた。

 90分間を通してマンツーマンマークに苦しめられた。中盤に下りても、サイドに流れても、必ず三本木が付いてきた。「しつこいなという感じで、すごくやりづらかった」。今大会通算7ゴールの敵エースにマンマークを付けた流通経済大柏の本田裕一郎監督は「放っておいたら何点取られるか分からないぐらい能力の高い選手」と、飯島を最大限に警戒していた。

「自分にマンマークが来るということは他の選手が空いたり、自分がその選手をはがせばチャンスになるということ。動き出しをすごく意識した」。前半5分にいきなりシュートを放つと、同27分には右CKのセカンドボールを左足で叩いたが、ミドルシュートはクロスバーを越えた。最大のチャンスは前半アディショナルタイム。こぼれ球を三本木がクリアミスしたところを突いてPA内に進入したが、右足のシュートは惜しくも左ポストを叩いた。

「FWなので、シュートを打たないと意味がない。試合前からずっとシュートを打つ意識はあった」。ゴールへの執念が呼び込んだ劇的な決勝点。2年生ながら10番を背負って臨んだ前回大会は1回戦での1得点のみに終わった。青森山田(青森)に0-5で大敗した決勝では後半29分に途中交代でベンチに下がると、大粒の涙をこぼした。「去年の敗退から学んだ決定力は1年間意識してやってきた」。その成果が大会得点王につながった。

 初戦となった2回戦の初芝橋本戦(5-0)での4ゴールに始まり、3回戦の富山一戦(1-0)では試合終了間際に劇的な決勝点。準決勝の上田西戦(6-1)でも2ゴールをマークした。「去年よりは全然いいけど、まだまだ決め切るところはあった」。大会通算7ゴールで得点王に輝いても、決して満足はしなかった。

 卒業後は法政大に進学する。「大学ではもっと体を強くして、そこも鍛えないといけないと思っている。その中で結果を残すことにこだわってやっていければ」。そう意気込む飯島とともに法政大に進学する田部井涼も「心強いですね。得点王ですから」と笑みをこぼす。「『一緒にプロになろう』と高校1年のときから話してきた。自分がパスを出してあいつがシュートを打つという練習をずっとやっていた」。エースと主将で成し遂げた悲願の日本一。次は大学日本一を目指し、2人の挑戦は続いていく。

(写真協力『高校サッカー年鑑』)

(取材・文 西山紘平)

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