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「でも、うれしかったです」…前橋育英DF渡邊泰基は“サポーターの手渡し”マフラーで表彰式参加

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内定先のアルビレックス新潟のマフラーを首から下げる前橋育英高DF渡邊泰基(3年)

[1.8 全国高校選手権決勝 流通経済大柏高 0-1 前橋育英高 埼玉]

 突然の“プレゼント”からは、向けられている期待の高さを感じさせた。アルビレックス新潟への加入が決まっている前橋育英高DF渡邊泰基(3年)は、左サイドのオーバーラップと矢のようなクロスで相手守備陣を何度も強襲。表彰式直前に新潟サポーターからタオルマフラーを手渡され、「育英の優勝なので……」と戸惑いながらも、「でも、うれしかったです」と誇らしそうに首から下げていた。

 流通経済大柏高との決勝、背番号15は「攻撃参加が特長」と自ら認める武器で魅せた。左サイドに大きく開いたスペースでタイミングの良い攻め上がりを見せると、自慢の左足クロスから味方のシュートを呼び込む。さらに、タッチラインへのクリアで逃げた相手をロングスローで追い詰めるなど、攻撃の起点となったサイドを支配した。

 この日の序盤は、流経大柏の狙いもあって、「ロングボールが多くなっていた」という展開。それでも「総体で負けてからは『ロングボールだと自分たちのサッカーはできない』と気付いた」という反省を受け、「試合が徐々に進んでいくにつれて、だんだんつなげるようになった」と軌道修正。密集試合に持ち込んだことで、さらに“左の飛び道具”が生きる形となっていた。

 そうしてつかんだ栄冠――。試合後の取材では「高校サッカーを選んで、本当に良かった」と何度も口にしていた。中学時代は新潟U-15に所属。高校に上がる時は「進路に迷ったこともあった」という。しかし、「どっちが正解なんてない」と故郷を離れた強豪校に入学することを決断。見事に「初めての日本一」という結果をつかみ、自身の選択を“正解”に導いた。

 とはいえ、そうしたポジティブな振り返りは古巣への“帰還”のおかげでもあるだろう。来季からはトップチームの選手として、3年ぶりに新潟の地に舞い戻ることが決定。「いったんチームを離れたのに声をかけて頂いて、本当に感謝しているし、うれしかった」と胸を躍らせている。

 そんな新潟は今季、クラブ史上初のJ2降格が決まった。それでも「ずっと応援していたんですが、昔から見ていたような、アルビらしい粘り強さがあった」と前向きに認識。来季は15年ぶりに2部リーグでの戦いを迎えるが、「試合数も多くて、チャンスもあるはず。1年目の選手にとって、いつチャンスが来るか分からないし、プラスに捉えている」とネガティブな気持ちはないようだ。

 そうした18歳に、冒頭の出来事が起きた。サポーターからの期待をあらためて肌で感じ、「わざわざ見に来てくれてすごくうれしい」と感謝の気持ちを表現した。「目標は選手権で達成したので、今後はJリーグで活躍したい。まずはしっかりアピールして、もっと知ってもらいたい」。世代屈指の左サイドバックは、故郷への恩返しを胸に新シーズンに臨む。

(写真協力『高校サッカー年鑑』)

(取材・文 竹内達也)
●【特設】高校選手権2017

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