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また後藤田決めた!!3戦連続追いつきドローの日本高校選抜、V4王者の連覇止めて準決勝進出!!

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後半12分、右SB後藤田亘輝(前橋育英高→青山学院大)のゴールを喜ぶ日本高校選抜イレブン。(写真協力=高校サッカー年鑑)

[4.1 デュッセルドルフ国際ユース大会予選リーグ 日本高校選抜 1-1 ザルツブルク]

 日本高校選抜が予選リーグ首位突破! 第56回デュッセルドルフ国際ユースサッカー大会は、1日に予選リーグ最終日を行った。日本高校選抜は、この日2試合目となる一戦で大会4連覇中のザルツブルク(オーストリア)と対戦。前半8分に先制されたが、後半12分に右SB後藤田亘輝(前橋育英高→青山学院大)が同点ゴールを決めて1-1で引き分けた。戦績を1勝3分とした日本高校選抜は、グループ2の1位を死守して予選リーグ突破に成功。4月2日の準決勝でグループ1の2位・ハダースフィールド(イングランド)と戦う。

 後半ラストプレーで同点に追いつき、引き分けに持ち込んだエバートン(イングランド)戦を皮切りに、ブレーメン(ドイツ)戦、そしてザルツブルク戦と3試合連続で先制されながらも追いついてドロー。もちろん、失点しないことが重要ではあるものの、失点しても挽回する底力を見せ続けている。

 このザルツブルク戦を首位で迎えた日本は引き分け以上、敗れても得点しての1点差負けなら予選リーグ突破が決まる状況だった。その中で選手たちは底力を発揮し、“ノルマ”を見事に達成。平野直樹監督(履正社高)も「なかなか粘り強いね。成長しているし、良い顔になってきた」とその成長を認める戦いぶりで準決勝進出を決めた。

 日本は約5時間半前に終わったブレーメン戦から先発1人をチェンジし、FW飯島陸(前橋育英高→法政大)が先発復帰。FW佐藤颯汰(日章学園高→北九州)と2トップを組んだ。4-4-2システムの中盤は右MFが菊地泰智(流通経済大柏高→流通経済大)で左MFが田中雄大(桐光学園高→早稲田大)。主将の田部井涼(前橋育英高→法政大)と宮本優太(流通経済大柏高→流通経済大)のダブルボランチ、右SB後藤田、CB蓑田広大(青森山田高→法政大)、CB生駒仁(鹿児島城西高→横浜FM)、左SB角田涼太朗(前橋育英高→筑波大)の4バック、そして GK薄井覇斗(流通経済大柏高→流通経済大)とボランチより後方は今大会不動の6人が先発した。

 前半は我慢の25分間だった。8分、DFライン背後へ落ちたボールに対し、連係の乱れが出て失点。平野監督からは幅を使って攻めるという指示が出ていたが、なかなかいい形でボールを奪えず、繋げない時間帯が続いた。

 田部井は「前半、全然良いプレーができていなかった。(失点後)ゼロで行くことだけを考えていました。後半に懸けようという気持ちでした」と振り返る。雨の中、連戦が行われたピッチはデコボコに。その中でザルツブルクはロングボールを中心の組み立てでサイドのスペースを狙い、そこから手数をかけずに決定的なシーンを作り出してきた。連戦で集中力を欠いたようなプレーも散見した日本だが、その中でも生駒を中心に最後までしつこく、また我慢強く守備して前半を1点差のまま折り返す。

 後半立ち上がりも押し込まれる時間帯が続いた。日本は8分、田中に代えてFW町野修斗(履正社高→横浜FM)を投入。佐藤颯が右サイドにポジションを移すと、直後の9分には後藤田のクロスのこぼれから佐藤颯が強烈な左足シュートを打ち込む。GKにセーブされたボールを町野がダイビングヘッドで狙うが、得点できず。だが、ここから日本の攻撃が活気づいた。

 直後には、右FKをクイックリスタート。縦へ抜け出した後藤田がGKとDFラインの間へグラウンダーのクロスを入れる。これは惜しくも味方と合わなかったが、12分に歓喜の瞬間を迎えた。右サイドで仕掛けた佐藤颯がボールを失ったものの、すぐに切り替えて相手ボールホルダーにプレッシャーをかける。

 そして、「あそこは獲り切ろうと。後半は人数を掛けてボール獲るとか、人数を掛けて攻めることができていた」という田部井が佐藤颯と相手を挟み込む形でボール奪取。そして後藤田へ繋ぐ。すると、DF2人のプレッシャーをかわした後藤田が、さらにDF2人の間をドリブルで抜け出す。パスの選択肢もあったが、「打ってみたら何か起こるかな」という後藤田がそのまま右足シュート。これがファーサイドのサイドネットに突き刺さった。歓喜を爆発させる日本イレブン。「ビックリしています」という後藤田の今大会2得点目によって試合は1-1となった。

 引き分けだと準決勝進出の可能性が消えるザルツブルクは、力任せにゴールを目指してくる。日本は決定的なシーンも作られたが、最後まで人数を掛けてしつこくディフェンスすることで相手のシュートやパスをわずかに乱す。飯島をFW荒木駿太(長崎総科大附高→駒澤大)へ入れ替えた終盤は、割り切ってのクリアや、町野へのロングボールを蹴り込み、こぼれ球に前からプレッシャーをかけることを徹底。着実に時間を削っていく。最後はMF青木真生都(東福岡高→関西大)の投入準備が終わっていたが、コーナー付近で時間を使い切って試合終了。王者・ザルツブルクの連覇を止め、準決勝に駒を進めた。

 平野監督が求めている「勝ち切り方」「ずる賢さ」も表現して予選リーグ突破。指揮官が「やるじゃないですか、この子たちは」と称賛したチームで戦うことができるのも、残すは準決勝と順位決定戦が行われる4月2日の2試合だけだ。出場できない選手も悔しさを滲ませながら自分の役割を果たしてくれている。田部井は「タフな試合が多かったけれども、チームとして粘り強さが出ていますし、成長できていると思う。上手く行かなくても自分たちの方向に持っていくことはできていると思うので、明日の2試合でもできるように頑張っていきたい」。全員で残り2試合を戦い抜き、笑って大会と日本高校選抜の活動を終える。

(取材・文 吉田太郎)
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