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「3強」2つ倒してあと1勝。県立進学校の倉敷古城池が岡山決勝進出!

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全国初出場に王手を懸けた倉敷古城池高イレブン

[6.9 総体岡山県予選準決勝 玉野江南高 0-1 倉敷古城池高 笠岡陸上競技場]

 平成30年度全国高校総体「2018彩る感動 東海総体」サッカー競技(インターハイ、三重)岡山県予選準決勝が行われ、倉敷古城池高が玉野光南高に1-0で勝利。全国初出場に王手をかけた倉敷古城池は10日の決勝で作陽高と戦う。

「3強崩し」まであと1つのところまで来た。

 近年、岡山の高校サッカーシーンは作陽、玉野光南、岡山学芸館高の「3強」によって支配されて来た。その牙城を崩したい。多くのチームがチャレンジをする中で、今予選で「3強」のうち2つを立て続けに切り崩したチームが現れた。

 県立進学校の倉敷古城池は準々決勝で岡山学芸館を1-1のPK戦の末に退けると、準決勝では玉野光南を1-0で下して2度目の決勝進出を手にした。決勝の相手は作陽。ここを突破すれば、3強全てを倒しての全国大会初出場となる。

「僕らは中学の時、倉敷古城池がインターハイ予選でベスト4に進出したのを見て、小学校時代に倉敷市選抜で一緒だった仲間と『みんなで倉敷古城池に行こう』と決めたんです」。
  
 こう語るのは準決勝の玉野光南撃破の立役者となったMF大野恒資。現3年生は力のある選手が先輩の姿に憧れて入って来た代で、もともと期待値は高かった。彼らが就任11年目の塚越充浩監督の下にまとまり、昨年から県1部リーグで戦いを積み重ねたことで、メキメキと力を付けて来た。

「僕らの代はほとんどが1年から試合に出ていて、今大会まではすべて県大会で『3強』のどれかに負けて来た。今年はこれまでの先輩達のためにも、『これまでの借りをすべて返す』ことを目標にやってきました」(大野)。

 3強の一つを倒して迎えた玉野光南戦。大野は得意の左足のキックで何度も『ゴールの匂い』を漂わせた。大野の突破力とFW藏岡亘の個人技、ボランチの増田廉のビルドアップ能力を軸に、組織的な攻撃を組み立てると、何度も相手陣内でFKやCKを獲得した。

 その度に大野の精度の高い左足のキックが玉野光南ゴールに襲いかかった。そして、0-0で迎えた後半15分に試合の均衡が崩す。それは大野の『3本連続のキック』が生み出したのだった。

 まず右CKを得ると、大野のキックがファーサイドの増田に渡り、増田が決定的なシュートを放つ。だが、これはDFが身体を張ってブロック。再び右CKを得ると、「これまでファーを狙って決まらなかったので、ニアサイドのゴールに直接入るイメージで蹴った」と、大野は強烈なカーブショットを蹴り込んだ。これは玉野光南GK徳永雄飛が搔き出す形で外に弾いたが、そのボールが再び増田の下に転がって来た。

「まだみんながゴールライン上に並んでいたので、ゴールを狙えば何かが起こると思った。自分に対する寄せも甘かったし、なるべく強いシュート性のクロスを打ち込んだ」。

 結果、彼の放ったキックがゴールの目の前にいたMF佐藤皓亮に当たってゴールに転がって行き、これが決勝点となった。

「あと1つ。すべてを懸けるつもりで決勝を戦います」(大野)。

 進学校ゆえに、インターハイ予選で敗れると、その時点で高校サッカーに幕を下ろす3年生がほとんどだ。国立大進学を目指す大野もその中の一人。入学時に持った志が大きく膨らみ、ラストチャンスで夢を実現させる一歩手前までやってきた。

 あとはこれまで通り仲間を信じて、臆すること無く挑むのみ。果たして壮大なリベンジの総清算の物語は完結し、初の全国という新たな章に入っていくのか。倉敷古城池にとって6月10日は特別な一日となる。

(取材・文 安藤隆人)
●【特設】高校総体2018

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