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メンバー大幅変更も柏に快勝のFC東京・長谷川監督「いい競争をしていきたい」

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DF森重真人(右)とGK大久保択生は笑顔で健闘を称えあった

[7.18 J1第16節 柏0-1FC東京 三協F柏] 

 まるで優勝したかのような喜びようだった。後半16分、相手のオウンゴールで奪った1点を守り切ったFC東京のイレブンは試合終了の瞬間、こぶしを天につきあげた。左SBで何度も果敢に攻めあがったDF太田宏介はたっぷり汗を吸い込んだ仲間のユニフォームを抱きしめて喜んだ。

「後半戦トップに立つという共通認識をもって、前向きにみんな練習に取り組めたからこそ、この結果が出た。(暑さで)しんどいけど、本当にみんな頑張っている。そういう面でみんな折れずに勝ちに向かっていけている」

 W杯開幕までの15節終了時点で広島に次いで2位。しかしこの日は好調を維持したW杯前のメンバーとは大幅に変わった。日本代表経験のあるGK林彰洋やDF室屋成、FW永井謙佑が負傷でベンチにも入れず。点取り屋として期待したいエースのディエゴ・オリヴェイラからレンタル移籍で獲得したため、契約上、出場できない。本職は左SBの小川諒也を右SBで起用し、FWも高萩洋次郎富樫敬真を起用する急造2トップだった。

 試合前は守備陣の連携不足を不安視されたが、今季リーグ戦初先発となったGK大久保択生が奮闘。0-0で迎えた前半41分、ゴール前で柏MF大谷秀和の左足シュートを浴び、そのこぼれ球に猛然とつめてきたMFキム・ボギョンの右足が見えても、大久保は体を投げ出し、シュートすら打たせなかった。

「連携の面は中断期間中に練習する機会が多かったですし、それほど心配はしていなかった。中途半端なプレーをして負けるのだけはいやだった。けがしてもいいから突っ込んでいく気持ちでした。中断前4試合は無失点。それを継続できないといけないと思っていました」(大久保)

 長いシーズンを戦うと負傷はつきもの。主力のかわりにチャンスを与えた選手の力をいかに引き出すか。そこに指揮官の力量が問われる。かつてG大阪でJリーグの日本人監督としては初の国内三冠に導いた長谷川健太監督は、ちょっとした声掛けで控え選手の奮起を促し、チームを活性化させていた。今季リーグ戦以外のカップ戦3試合に出場したが、7月11日の天皇杯・新潟戦(デンカ)まで1度も勝てなかった大久保がこう明かす。

「天皇杯に勝った後、(長谷川監督から)『今季、初めて勝てたな』と声をかけられて……。『しっかり見ているな』と感じました」

 主力メンバーが整わない苦境の中、アウェーで勝利をもぎとった長谷川監督はしてやったりだ。
「固定の11人だけではなかなか戦いきれない。いろんな意味でフレッシュな選手が出てきて、勝利に貢献してくれた。いい競争をしていきたい」

 広島が勝ったため、勝ち点9の差は変わらないが、長谷川監督の意識改革がすすむFC東京は虎視眈々と首位奪取を狙っている。


(取材・文 林健太郎)
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