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日本代表森保一新監督の就任会見要旨

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日本代表の新監督に就任した森保一

 日本代表の新監督にU-21日本代表の森保一監督が就任することが正式に決定した。26日の日本サッカー協会理事会で承認され、都内のホテルで就任記者会見が行われた。

森保一新監督
「兼任監督ということで、東京五輪代表チームの監督をしながら日本のサッカーに貢献していければと思っている。2つの代表の監督をするのは本当に困難なこと。一人でやるのであれば、不可能なことだと思うが、日本サッカー界、日本代表を支えてくださる多くの方々の力を借りながらチームをつくっていけば、不可能が可能に変わり、2つのチームを同時に見ていくことが大きな成果につながると思っている。日本代表の監督をするにあたって、たくさんのことをしなければいけないが、いくつかのことをみなさんにお伝えしたい。一つつは日本代表の勝利のために、そして田嶋会長、関塚技術委員長からも話があったと思うが、世代交代、年代間の融合を図るということ。日本代表だけでなく、日本のサッカー界全体の発展につなげたい。多くの先輩のみなさんからバトンを受け継いできた。今、私がやらなければいけない任務をまっとうして、少しでも良い形で次の人にバトンタッチできるように頑張っていきたい。2つの代表をやっていくには本当に覚悟が必要だと思う。そして、我々日本代表が多くの方に支えられて活動できることを感謝しながら、覚悟と感謝、その2つの気持ちを持って職責をまっとうしていきたい。

 監督就任の会見ということで、いろいろ語らないといけないが、今の思いは感謝の気持ちがすごく強い。今回も素晴らしい仕事をいただき、私が大好きなサッカーに携わって仕事ができるのも、ここにおられるお2人、そして日本サッカー協会のみなさんの覚悟があるからこそ、私は2つの代表の監督をできると思う。その覚悟に、期待に応えられるように自分のすべてを出して、職責をまっとうしたい。そして日本サッカー界、日本代表を支えてくださっているファン・サポーターの方々、日本国民のみなさん、スポンサーの支えがあって我々は活動できると思うので、みなさんの支援、応援に感謝したい。応援してくださる方々の期待に応えられるように全力を尽くしたい。

 私は少年時代から、代表監督に就任するまで多くの指導者や関係者の方々に指導していただき、協力していただいた。私が高校を卒業して広島に出てサッカー選手を目指そうというとき、日本のサッカー界は、アマチュアの日本リーグだった、そこからJリーグができて、プロの夢を見させていただき、日本代表としてもプレーさせていただいた。その後、Jリーグで監督をして、その経験があったからこそ、今のこの場所にいられると思っている。感謝したいと思う。現役を引退してから広島の育成部の巡回コーチをしながら、日本サッカー協会でもトレセンコーチとして活動させていただいた。その経験は今の私に非常に大きな経験となっている。地方を回って、いろいろなカテゴリーの活動を見させてもらったが、プロとしてお金をもらってサッカーを教えている方々はごくわずかで、大勢の方々は仕事もあり、家庭もあり、自チームの選手を見て、トレセン活動や選抜活動をしている。本当にボランティアの精神で、自己犠牲を払って選手を育てている。そういう活動を見させていただいた。その努力があって選手が育ち、日本代表や東京五輪代表のところへ選手を送り込んでくれる。すべての指導者の努力、環境を整えてくれる方々の努力があって、我々は素晴らしい選手たちを呼ぶことができ、日本を代表して戦えることを忘れてはいけない。そういう方々の気持ちを背負って戦うということは、常に肝に銘じていきたい。日本サッカー界の長い歴史があり、多くの先輩たちが本当に大変な努力をしてくださり、経験を重ね、積み上げてこられて、今の自分たちの活動があると思っている。日本サッカーに携わったすべての方々に尊敬と感謝の気持ちを持って、自分の仕事をしていきたい。先輩方にしていただいたこと、つないでいただいたことを次の人にしっかりと伝えていけるように、バトンタッチできるようにやっていきたい。

 先日はロシアW杯をコーチとして経験させていただいた。西野監督は本当にすごい、素晴らしい監督だと思った。西野監督の監督としての裁量ももちろんだけど、日本サッカー界の歴史を踏まえて、日本らしいサッカー、日本人の良さを生かしたサッカーということでチームづくりをしていた。そして、ハリルホジッチさんから西野さんへと、日本人に足りないところ、デュエルの部分やゴールに素早く向かっていくところを、日本人の良さにプラスアルファしながらチームづくりをしていた。日本人にどうしたら合うのだろうということを常に考えてチームづくりをしていると思った。西野監督からバトンを受け継ぎ、日本人らしく、日本人の良さを出して戦い、世界と向き合っていきたいと思う。ただ、世界を考える前にまずはアジアがある。我々はしっかりとしたチームづくりをして、アジアを戦い抜き、世界との戦いに向かっていきたいと思う。西野監督がやられたオールジャパンで戦うチームづくりを私も継承して、進化させていきたい。五輪では2年間、次のW杯では4年間、選手とスタッフとともに最高のチームをつくり上げていきたい。しかし、現場の選手とスタッフだけでは強いチーム、強い日本代表はつくれない。日本代表を支えてくださるすべてのみなさんの力を貸していただき、力を結集することで、強い日本代表が世界に打って出られると思うので、我々と一緒に戦っていただければと思う。常にそのときのベストを尽くして戦っていくので、支援、応援のほど、そして一緒に戦っていただければありがたいです」

―監督就任の打診を受けたのはいつか。正式に就任が決まり、今はどんな思いか。
「監督就任が正式に決まったのは今日。私の意思確認というか、打診をいただいたのは、日にちは忘れたが技術委員会が終わったあとに関塚さんから話をいただいた。そのときは多数の候補の中の意思確認ということで時を過ごしてきたが、今日、田嶋会長に正式にお話をいただき、即決で決めさせていいただいた。それまでに自分の考えはまとめたり、家族であったり、いつも相談している方々に相談してということはあった。

 気持ちとしては本当に重責だなと。東京五輪代表だけでも重責であることは重々感じてきたが、さらにA代表の監督を兼任するということで、正直、自分にできるのかなと思った。しかし、この2つのことを兼ねてやることで日本サッカーの発展につながるのではないか。大変な仕事だが、これが日本サッカー界の発展のためになると思った。自分一人だけでやるのであれば、これは不可能だと思うが、日本サッカー界を支えてくださる方々の力を貸していただければ必ず成し遂げられると。気持ちとしてはうれしいとか、そういうのは正直、一切浮かばなかった。大変なことをやらなければいけない。でも覚悟を持ってやれば必ず成し遂げられる。いろんな方と力を合わせてやっていけば必ず成し遂げられる。そう思って話を受けさせていただいた」

―ロシアW杯を経て日本サッカーに必要なことは。どんなチームにしていきたいか。
「すべてのレベルアップをしていかないといけない。個のレベルアップはもちろんやっていかないといけないし、日本の良さである部分もすべて磨きをかけてレベルアップしていかなければいけないと思っている。自分たちのことだけを考えていれば、これまでやってきたことで満足して終わりでいいかもしれないが、世界、他国はどんどん進化していっている。すべての部分をレベルアップして、追いつき、追い越せという気持ちでやっていかないといけないと思っている」

―メンバー選考は4年後の年齢を考えたうえで若い選手を選んでいくのか。
「世代交代に関しては言葉ありきではなく、やはりこの世界には競争があると思うし、見せれる選手、走れる選手、実力がある選手が生き残っていく世界だと思っている。世代交代はやっていかないといけないが、年代間の融合を図りつつ、新しい日本代表を築き上げていきたい」

―来年1月にはアジア杯がある。
「日本の力を示すために、日本の経験値を上げるために非常な重要な大会だと思っている。その大会に向けての選手選考、あるいはどうやって戦っていくかという部分は、まだ今日、監督に就任させていただいたばかりで、まとまっていない部分もある。今後の国際Aマッチデーや各試合を通してどういうふうに選手を使っていくのか、どう大会に臨むのかというのは考えながらやっていきたい」

―日本代表監督として一番大事にしたい部分は。
「ロシアW杯に西野ジャパンのコーチとして帯同して一番強く感じたのは、日本人のメンタリティー、日本人の身体能力の良さを生かしてやっていくことが大切だなということ。海外から学ぶことはまだまだたくさんあるが、日本人の身体的な能力、メンタリティーを生かして準備することが大事だと思っている。一体感のあるチームづくり、常に攻守ともに連係、連動して戦う。そういうチームづくりは絶対にやっていきたい」

―日本人のメンタリティーとは具体的に。
「選手はみんな『自分が成功したい』とか『自分が試合に出たい』とか、いろんな『自分が』という部分を持っていると思うが、お互いがお互いを尊重してチームのために戦う、チームの結果のために絆を持って協力して戦うメンタリティーは、ロシアW杯でも選手を見てすごく感じた。そういうところは大切にしていきたい」

―年代間の融合とは具体的に。
「世代交代は必ず必要になってくると思う。ただ、ベテランの選手を招集しないとか、若い選手に経験させる意味で入れ替えるということではない。経験を積んだベテランの選手が持っているものを次の経験の浅いに選手に伝えてもらうということをA代表でもしたいし、五輪代表の選手の中にもA代表に行く選手が出てくると思う。そうすると五輪代表のほうにも新たに招集できる選手が出てくるし、今度はまた下の年代から東京五輪の年代に引き上げて融合する。今回はA代表と東京五輪代表のことだけ話をさせていただいているが、A代表と東京五輪代表だけでなく、東京五輪代表とその下のカテゴリーの代表もちょっとずつ融合できるようになるのではないかと思って、年代間の融合という話をさせていただいた」

―戦術として新たに加えたい森保イズムはあるか。
「速攻もできれば遅攻もできる。守備ではハイプレッシャーをかけることもできれば、自陣でしっかり守備を固めて相手の思ったような攻撃をさせないということもしていきたい。つまり、いろんな対応力を持って戦うということ。それは西野監督も言われていたし、臨機応変に、状況に応じて勝つためにどうしたらいいか、流れをつかむためにどうしたらいいかということをチームとしてできるように、選手が判断して選択できる。そういうサッカーをしていきたい。対応力と臨機応変。西野監督も言われていたが、そこはもっともっと磨いていかなければいけないと思う。新たにということではないが、そこはやっていきたい。今回のW杯で優勝したフランスもまさにそういう戦いをしていたと思う。彼らは豊富なタレントがいて、攻撃という部分で自分たちのやりたいことを表現できるようなチームだったと思うが、準決勝では、日本代表が負けたベルギーに対して1点を先制したあと、しっかり守備を固めながら、しかし守備だけで終わらず攻撃に出ていた。そういう勝つために必要な部分は世界のサッカーから学んでいきたいと思っている」

―8月にアジア競技大会があり、9月にはA代表の初戦がある。勝ち続けた場合、A代表の人選はできるのか。
「私自身、任期があるからと言って、任期まで安泰だとか、ゆっくりとか、そういうことは思っていない。常に一日一日が勝負だと思って、1試合1試合が勝負だと思ってやっていきたい。一番大切なのはチームファースト。日本代表チームが一番力を出していける、一番発展していける形を評価していただければと思う。

 兼任監督が可能かというところだが、体は一つなので、日程が重なった部分は不可能というか、できないと思っている。しかしながら先ほども話したが、私一人でやるのではなく、日本協会、日本代表を支える方々の力をお借りしてやっていけば、2つのことを同時にやるのも可能だと思うし、より大きな成果、メリットになると思っている。スタッフも1グループだけでは回らないと思うので、今はまったく白紙の状態だが、これから時間をかけてスタッフの編成もしていきたいと思っている。私もA代表の監督を引き受けるとき、アジア大会があり、キリンチャレンジ杯も9月にある。視察はどうするんだろうというのは一番最初に引っかかった。それもこれまでやってきたとおり、現場のA代表のスタッフだけでなく、五輪代表のスタッフだけでなく、そこに関わる方々全体で日本のサッカーを見ながら日本代表をつくっていく、選手を選考していく。情報共有しながらやっていけば可能かなと思っている」

―来年1月のアジア杯は結果を求められる大会になる。経験ある選手を選ぶという考えもあると思うが。
「これという絶対の正解はないと思う。常に状況を見て、把握しながら、どういう形で行ったらチームが発展していくのかということを考えながら選手は招集したいし、一回一回の試合、大会に臨んでいきたい。結果を出すならば実績のある選手でアジア杯に臨むのかということだが、最終的にそうなるかもしれないし、そうならないかもしれない。実績があるから勝てるかといったら、これもまた答えがないと思うし、若い力、経験のない選手がそこで大きく成長して、勝っていく力になることもある。私も監督をしていて、意図していろんなことをやるが、意図してない結果がいっぱい出ながら、そこに対応していき、次につなげていくことが監督として求められていることだと思う。求められていることは重々承知しているし、できると思っていただいているからこそ、私はこの場にいる。日本サッカー界の発展にトライしていくことに関しては、結果を怖がらずにやっていきたい。すべて成功して、すべて勝ちたいと思ってやるが、いろんなトライする段階では、痛い思いをすることもあるし、失敗することもあると思う。そこをビビらずにやっていき、正しいと思うことをやり切って、そこでいろんな評価が出るのは自分の中で問題ない。道が続いていくのか、そこで道が断たれるのかはこの世界では当たり前。次につながる、発展すると思うことをやっていく。それを実践していきたい。私が今までやってきたことをしっかり実践して、評価していただいて、それではダメだというときには、また違うことを考えながらやっていきたい」

―A代表のスタッフと五輪代表のスタッフは別になるのか。9月7日の初戦にはどういう体制で臨むのか。西野監督の行動、言葉で自分の背中が押されたようなものはあったか。
「スタートのキリンチャレンジ杯に関してはすぐにスタッフ編成をするというのはできないと思うので、東京五輪の代表チームに関わっているスタッフでやっていきたいと思うし、プラスアルファで必要であれば、そこは技術委員長に相談して付け加えていきたい。今、フリーでいる方、あるいは仕事をされている方、すべての方を選択肢として持たせていただきながら、スタッフ編成をしていきたい。いつまでにと焦って決めるのではなく、一番最高、最強のスタッフになるように、しっかりと考えながらスタッフ編成していければと思っている。

 西野さんについてだが、一言ですべてがすごかったなと思う。あの短期間でW杯に臨むということで、1か月程度の準備期間でW杯に臨もうということであれば、普通であれば自分のやりたいことを選手、スタッフに詰め込んで臨むというのが普通かなと思ったが、西野さんは我慢、見守ることができる人だなと思った。おそらくやりたいことはいっぱいあったと思うが、選手にせかしたりするのではなく、チームとして短期間で成長するために必要なことを働きかける。一歩待ったりとか、そういう部分はすごいなと思った。普通だったら言ってしまう、やってしまうところで選手たちの意見を聞きながらチームをつくっていく。でも最後はしっかりこうやっていこうというコンセプトを伝えながらやっていく。それをあの短期間でできる人はなかなかいないと思って見ていた」

(取材・文 西山紘平)

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