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U-17代表、トップ2種登録の同学年GK上田の陰で磨いてきた力。石川県GK紙谷がライバルにも負けない強み示し、決勝へ

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石川県GK紙谷正平は好守で決勝進出に貢献。(写真協力=高校サッカー年鑑)

[10.3 国体少年男子準決勝 青森県 1-2 石川県 三国運動公園陸上競技場]

 石川県は前半8分、青森県のロングスローから決定機を作られた。だが、ゴール至近距離からFW粟津瑠来(青森山田高1年)に打たれたシュートを175cmのGK紙谷正平(金沢U-18、2年)がビッグセーブ。「相手の勢いあるプレーが目立っていたので、どこでシュートを打たれても反応できるように構えとポジショニングを意識してやっていました」。序盤の失点を防ぎ、試合開始から圧力をかけてくる相手に飲み込まれなかったことが、チームにとって大きかった。

 青森県は石川県陣内中央よりもゴール寄りの位置でスローインを獲得すると、徹底してロングスロー。「結構距離が飛んでいた。相手のFWもデカイので、出れるところは出ようと思っていました」という紙谷は、飛び出すところ、ステイするところの判断よくプレーしていた。
 
 前半16分にサイドを打開されて失点したものの、その後はチームを後方から鼓舞しながら失点せずに試合を進めていた。一見、非常に落ち着いているように映ったが、本人は「心の中ではめちゃくちゃ慌てています」と苦笑。4連戦でコンディション維持も難しい中、一つ一つの動きに神経を巡らせて守っていた。

 その高い集中力も結果に結びついて逆転勝ち。紙谷にとっては初めてという全国大会の出場で決勝まで進出した。その紙谷には同じチーム内に大きなライバルがいる。それは185cmの恵まれた体格を持つGK上田樹(2年)だ。U-17日本代表に名を連ねる上田は、高校2年生ながらトップチームに2種登録されている注目守護神。紙谷は金沢U-15、そして金沢U-18でも同学年の上田と競争を続けている。

 ライバルの壁は厚いが、最も刺激を受けている存在であり、目標とする存在だ。今大会は毎日電話で「頑張れとか言葉で後押ししてもらっている」という。国体は普段陰からチームを支える紙谷にとってもチャンス。反射神経やコーチングなど自分も負けないような力があるところを公式戦で見せ続けているGKは「(今、)自信に満ち溢れています。チームでは上田くんがとても活躍して頑張ってくれている、自分は他のところで頑張ろうと思いました」。ライバルに負けじと力を磨いてきた守護神。石川県選抜の“PK職人”GK影近大輔(星稜高2年)の力も合わせて決勝まで勝ち上がってきたGKは、あと1勝を果たして日本一のGKになる。

(取材・文 吉田太郎)
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