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[MOM569]関西学院大MF中野克哉(4年)_京都内定のエース、優勝狙う後半AT決勝弾

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関西学院大MF中野克哉

[10.27 第96回関西学生サッカーリーグ後期第7節 関西学院大2-1びわこ成蹊スポーツ大 三木総合防災公園陸上競技場]

 インカレ出場、そしてリーグ優勝を狙うためには、互いに譲れぬ一戦。双方、決定機がありながら決めきれず、ドロー決着かと思われたアディショナルタイム。MF中野克哉(4年=京都橘高/京都内定)が劇的なゴールを決め、関西学院大が勝ち点3を手中にした。

「(岩本)和希(3年=G大阪ユース)からいいクロスが来たので、(ゴールを)狙おうとしたらバックスピンがかかりすぎてボールが自分のところに帰ってきてしまった。ファーには相手DFがいたので、ニアを抜くしかない。戻ってきたボールを気持ちで打った。決めた後はうれしすぎて、何も覚えてないです」と中野は笑顔でゴールの場面を振り返った。

 関学大は台風24号の影響により延期となっていた後期第3節・阪南大戦が、この2日前に行われるという過密日程。高橋宏次郎ヘッドコーチが「身体が重く、思うようにはいかなかった。攻守ともにびわこ大の出足が鋭く、苦しいゲームになった」と話すように、なかなか試合の主導権を取ることができなかった。2連戦をフル出場した中野も「中一日で、めちゃくちゃきつかった。最後はお互いオープンな展開になってしまって、気力の勝負だった」と口にする。阪南大に敗れて首位を大体大に明け渡し、優勝を目指すにはどうしても落とせない試合を、体力面での不利を覆してエースの仕事で勝ちきった。

 高橋ヘッドコーチは「立命大戦、びわこ戦とあいつが勝負を決めている。元々、能力は高い選手だが、得点につながらなくてもゴール前に入っていく動き、ボールがオフのところでの動きが出てきたので、得点が増えてきた」と攻撃陣を牽引する選手となった中野の成長を感じている。

 入学した2015年にチームは大学四冠を達成。しかし、中野はケガもあり出遅れ、トップチームには絡めないまま、スタンドで日本一を見届けた。「上手いけれども、怖さが足りない」という周りの評価を覆し、試合で活躍するには「“このままじゃダメだ”という気づきがあった」と言う。

 筋トレにも積極的に取り組み、サッカーに対する考え方や日々の準備を見直した。出場機会も徐々に増え、昨年はリーグ得点王にも輝いたが、チームはインカレを逃し、悔しいシーズンとなった。今年の関学大はリーグ優勝、日本一を狙える位置にいる。「自分が中心になる学年で優勝を争うのは、高校時代も含めて初めてなので、プレッシャーもあるけど引き締まる」と、中野は混戦が続くリーグ戦に集中して臨む。

 この試合で警告を受けたため、次節・関西大との大一番は累積警告で出場停止となる。けれども、「みんながしっかりと試合に挑めるように、練習で良い刺激を与えたい」とチームのために自らの力を尽くす。「関学は”プレイヤーとして学べる場”というのを下級生たちに伝えていきたい」と、最上級生としての責任感ものぞかせる。来シーズン、Jリーガーとして飛躍するためにも、大学4年間で得た多くの学びを仲間とともに結実させたい。

(取材・文 蟹江恭代)
●第96回関西学生リーグ特集

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