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平成最後の選手権に吹く“秋商旋風”!劇的同点弾からPK戦で龍谷下し32年ぶり8強!!

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32大会ぶりのベスト8入りを決めた秋田商高(写真協力『高校サッカー年鑑』) 

[1.3 全国高校選手権3回戦 龍谷1-1 PK2-4秋田商 フクアリ]

 第97回全国高校サッカー選手権は3日、3回戦を行い、フクダ電子アリーナの第2試合は秋田商高(秋田)が全国初出場の龍谷高(佐賀)と対戦した。秋田商が後半40分の同点ゴールでPK戦に持ち込むと、勢いそのままにPK4-2で勝利。5日の準決勝は流通経済大柏高(千葉)と対戦する。

 全国最多44回目の出場となる古豪・秋田商が平成最後の選手権で快進撃を続け、1986年度以来、32大会ぶりのベスト8入りを決めた。四日市中央工高(三重)を破って14大会ぶりに1勝を挙げると、2回戦でも富山一高(富山)を下し、立て続けに強豪校を撃破。19大会ぶりに進出した3回戦は終盤の反撃が実り、粘り強く勝利をもぎ取った。

 序盤はMF長谷川悠(3年)やMF鈴木宝(3年)が突破口となり、ロングスローからもチャンスをつくった秋田商。対する龍谷は178cmのFW出口陸(3年)にロングボールを当てる形から攻め込むと、前半17分に均衡を破った。MF後藤嵩裕(3年)が左後方から蹴り込んだFKをファーサイドのMF横山太一(3年)が競って頭で落とし、ゴール前の混戦から粘ったDF今村慎二(3年)がこぼれ球を押し込んだ。

 龍谷がボールを保持して試合を進めると、出口がスピードを生かして秋田商DF陣の裏に抜け出し、前半31分にはエリア内を突破してGKとの1対1を迎えたが、距離を詰めたGK山口雄也(2年)が体に当てて好セーブ。後半も龍谷の攻勢は変わらず、MF後藤嵩裕(3年)の正確な左足キックでセットプレーからもチャンスを演出した。

 苦しい時間帯が続いた秋田商だったが、MF原田悠翔(1年)が攻撃の起点となり、DFラインの裏にパスを配給。長谷川の左足キックからもゴールに迫ったが、龍谷の固い守備ブロックに跳ね返された。連戦の影響もあったか、運動量が落ちた後半は続々と交代カードを切ると、徐々に流れを引き寄せた。

 後半33分、競り合いからこぼれたボールに反応した原田が決定機を迎えたが、シュートはクロスバーを直撃。こぼれ球をMF柏谷一輝(3年)がミドルで狙ったが、これもゴール上へ。チャンスを生かせずこのまま試合終了かと思われたが、最後に劇的展開が待っていた。

 後半40分、秋田商は長谷川が左足で右CKを蹴り込むと、ニアサイドのDF山本翔太(3年)がドンピシャヘッドで叩き込み、土壇場で1-1に追いついた。小林克監督は「流れの中でのゴールは相手の人数が多くて簡単に入らないと思っていた。あるとしたらセットプレーだった」と振り返り、選手たちの粘りを称えた。

 迎えたPK戦も勢いに乗り、山口が1人目のキッカーのコースを読んで防ぎ、殊勲のストップ。3人目も横っ飛びで左ポストに当ててかき出すと、秋田商は4人連続で成功し、PK4-2で勝利した。秋田県勢としても32年ぶりの準々決勝進出。次戦は流通経済大柏高(千葉)との対戦が決定し、小林監督は「当たってみたかったです。ボロボロに砕けるまでサッカーを教えてもらいたいと思います」と優勝候補との対戦を見据えた。

(取材・文 佐藤亜希子)

●【特設】高校選手権2018

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