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「人生で一番悔しかった」「本当に悔しい」1年前の敗戦。流経大柏は「埼スタファイナル」で今度こそ、勝つ

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笑顔で最終調整を行う流通経済大柏高イレブンと本田裕一郎監督

 第97回全国高校サッカー選手権は14日に青森山田高(青森)対流通経済大柏高(千葉)の決勝戦(埼玉)を行う。決勝戦を翌日に控えた13日、流経大柏は千葉県柏市内の同校グラウンドでミーティング後、ロングスローやCKの守備、PKなど約1時間30分のトレーニング。最終調整を終えた選手たちは、後半終了間際の失点によって前橋育英高(群馬)に0-1で敗れた前回大会決勝戦の無念を晴らし、11年ぶりの日本一を勝ち取る意気込みだ。

 1年前、埼玉スタジアムのピッチやスタンドで味わった敗戦が、彼らのスタート地点。鹿島内定CB関川郁万(3年)が「明日のためにこの一年間やってきたようなもの。まずここにたどり着かないと、と思っていました」と語ったように、それぞれが埼玉スタジアムでの決勝に必ず戻り、勝つことを考えて1年間を過ごしてきた。6月のインターハイ千葉県予選準決勝で敗退するなど本当に苦しかった1年間。それを乗り越えてきたイレブンは今大会中にも成長しているという自負がある。

 FW左部開斗主将(3年)は「気持ちの面では相当タフになった。失点しても必ず取り返せる自信がこの大会で高まった。チームとしては確実にこの大会通じて成長していますし、決勝に臨むチーム力が形成できている。最後、あの舞台で見せられたらなと思っています」と力を込めた。徳島市立高(徳島)との初戦は逆転勝ち。その後、星稜高(石川)、秋田商高(秋田)にはしぶとく1-0で競り勝ち、瀬戸内高(広島)には5-0で快勝と、高い守備力を見せつけて決勝まで勝ち上がってきた。
 
 決勝でポイントになる部分について、エースMF熊澤和希(3年)はセカンドボールや空中戦の攻防を挙げる。そして、「守備で活躍しないと良い攻撃ができない。チーム全員で、守備という部分をしっかりしていかないといけない。まずは守備から入っていきたい」と守備の部分を重視し、良い形の攻撃に繋げる考えを口にしていた。

 今度こそ、「埼スタファイナル」で勝つ。1年前の決勝戦でスタンドから応援する立場だった左部は、「僕は試合に出なくて負けた試合では『人生で一番悔しかった試合』でした。スタンドで応援することしかできなくて、試合に出れない無力感をあの試合で痛感しましたし、(敗戦の瞬間は)『絶対に来年ここに戻ってくるんだ』『あそこでリベンジするんだ』という気持ちが芽生えた瞬間でしたね」と語り、先発して無得点のまま後半5分に途中交代した熊澤は「見ている側も悔しかったと思いますし、自分としては、本当に何もさせてもらえなかったので、そこについては本当に悔しい思いがあった」と振り返る。

 決勝で勝つことを目指してきた1年間。彼らはインターハイ予選での敗戦や、プレミアリーグEASTの青森山田戦での0-4の敗戦などから学び、変化し、勝つために必要な力を身に着けてきた。決勝でゴールも期待される熊澤は「今年(の決勝)は多分、大丈夫だと思う。状態は良くもなく、悪くもなく普通。自分は普通が一番良いと思っているので、良いと思います。明日も活躍できれば良い」と良い状態にあることを説明。また、左部は「3年生にとっては集大成なので、自分たちが3年間培ってきた経験とか、技術とか全てを出し切って必ず悔いの残らない試合にしたいと思っています。(個人としては) 決勝で点決められればヒーローになれる。そのイメージだけを考えて昨日終わってから過ごしている」と自分自身、チームの全てを出し切って結果に繋げることを誓っていた。

 3年生にとっては流経大柏でのラストゲーム。2年時にインターハイ優勝と選手権準優勝を経験している関川は、「(選手権決勝で敗れた先輩の宮本)優太くんとか、(瀬戸山)駿くんとか先輩の分までという気持ちがありますし、でも今は今なので。このチーム、自分の代で優勝するのは違った喜びがあると思います。去年の3年生の分もという思い、自分たちの代のためにもという思いがあります」。3年間、ともに成長と日本一を目指してきた仲間と一丸になって戦う決勝戦。今年は埼玉スタジアムでの決勝を笑顔で終える。

(取材・文 吉田太郎)

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