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名門のストッパーが「なぜ」から高校選抜のボランチ候補に。中田青は海外で「どう通用するか試したい」

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日本高校選抜のボランチ候補に名乗りを上げている中田青(富山一高)

[2.14 練習試合 日本高校選抜 0-2 専修大]

 日本高校選抜には所属チームと異なるポジションで欧州遠征メンバー入り、レギュラー獲りに挑戦している選手が複数いる。特に可能性あるプレーを見せているのが、中田青(富山一高3年)だ。

 この日は25分×4本の練習試合の2本目から4本目まで、アンカーやインサイドハーフのポジションでプレーした。本人はマークする選手を背後に置いてしまうシーンがあったことを反省。「強みは守備なので、攻撃できない分、奪い切って攻撃に繋げるということをもっとできるようにしたい」と語っていたが、攻守に渡って良くボールに絡もうとし、3本目には攻め上がりから決定機の起点になるなど奮闘した。

 所属する富山一では2年時に左SBを務め、3年時にはCB、主将として名門校を牽引。身長170cmと決して大柄ではないものの、身体能力の高いDFはストッパーとして活躍し、インターハイベスト8などの成績を残した。だが、日本高校選抜の朝岡隆蔵監督(市立船橋高)は彼をボランチとして招集。選考合宿から一貫して中盤で起用し続けている。

 中田自身、当初は「なぜ」という思いが強かったのだという。ストッパーとしてのプライドもあったはずだ。だが、彼は指揮官の期待通り、ボランチのポジションに順応。守備能力の高さを活かしてのボール奪取など強みに加え、課題の攻撃面も着実にできることが増えてきている。藤島崇之コーチ(昌平高)からは「バックパスの回数も減ったと思うし、ボールもあまり失わないようになった」と声がけされ、本人も「そこは意識している部分でもあったので、少しは成長できたのかなと思います」と成長を実感していた。

 中田をボランチにコンバートした朝岡監督も「だんだん良くなっていますよ」と認める進化。ボランチとしての戦術眼などが身に付いてくれば、今後の可能性はさらに広がりそうだ。中田は「周りの方がレベル的にも全然自分より上なので、付いていくのに必死ですけれども、楽しい」と微笑。本人は「なぜ」から始まった挑戦をさらに続けたい考えだ。最終18名に選出されればさらに2か月間、高校選抜で成長するチャンスがあるだけに、本人も意欲を燃やしている。

 16日のNEXT GENERATION MATCHではチームで立つことのできなかった選手権決勝の舞台、埼玉スタジアム2002でプレーするチャンス。そして欧州遠征メンバーに残れば、世界相手に自分の力を試すことができる。「(海外へ)自分のチームでも行ったんですけれども、その時は本当に何もできなかったので、次はボランチでどう通用するか試したい」。本職ではないポジションでのプレーを言い訳にするつもりは毛頭ない。必死に高校選抜のタレントたちに食い下がり、チャンスを掴む。

(取材・文 吉田太郎)
●【特設】高校選手権2018
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