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“生き残り”に手応えを感じる原口「WBの方が自分にはチャンスある」

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左ウイングバックで先発したMF原口元気

[6.9 キリンチャレンジ杯 日本2-0エルサルバドル ひとめS]

 ハードワークと攻撃センスを両立させられる希少価値を示した。後半34分から左ウイングバックで途中出場した5日のトリニダード・トバゴ戦(△0-0)から中3日。同じ左ウイングバックのポジションで先発した日本代表MF原口元気(ハノーファー)が攻守にわたって存在感を見せた。

「自分のプレーとしてはミスが多かったけど、得点に関わることとチームが(失点を)ゼロで抑えることが自分の目標だったので、その意味では数字が出て良かったと思う」

 持ち味を見せつけたのは前半41分だ。左サイドで高めの位置を取っていたDF畠中槙之輔にボールが入ると、PA内左へダイアゴナルにフリーランニング。ゴールライン手前ギリギリのところでスライディングしながら精度の高い折り返しパスを出すと、それをFW永井謙佑が決めた。長い距離を走っての、違いを生むプレー。得点に関わることへの執念、闘志。これぞ原口のスタイルだった。

 森保ジャパンになってからというもの、4-2-3-1ではMF中島翔哉、MF南野拓実、MF堂安律の“三銃士”に押され、あいまいな立ち位置が続いてきた。そんな中でチームとして今合宿からトライし始めたのが3-4-2-1。森保ジャパンの歩みを見れば、サイドハーフにもウイングバックにも「原口」の名が候補として入っているのは明らかだが、原口は「ウイングバックの方がより自分にはチャンスはあるかなと思う。攻撃の面で違いをつくれると思う」と、ウイングバックで手応えをつかんでいる。

 3-4-2-1に関しては、浦和時代の数年間、森保流3バック戦術の源流と言えるミハイロ・ペトロヴィッチ元監督の戦術を経験しているというアドバンテージもある。

 ただ、ペトロヴィッチ監督時代の浦和では2シャドーの一角としてプレーしていた原口だが、中央の狭いエリアに人数をかけてワンタッチのコンビネーションで崩していくやり方が完全にハマっていたかというとそうではなく、時には窮屈に見えることもあった。その意味でワイドに開いた位置からスタートできるウイングバックは、守備の比重が高いとはいえ、ボールを持って仕掛けることのできる原口にとって、良さを出しやすい一面もありそうだ。

「ウイングバックではもう少し自分の精度を上げなきゃいけないけど、慣れればもっとよくなっていくと思う」と自信を示した原口。W杯アジア予選開始後はより激しくなるであろうことが予想される代表でのサバイバルに向けて、視界がグッと広がった。

(取材・文 矢内由美子)

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