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[MOM650]東洋大MF前田泰良(1年)_“奇跡の残留”に向かうチームを勢いづけるルーキー

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MF前田泰良(1年=鹿島ユース)

[大学サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[11.9 関東L1部第20節 駒澤大0-2東洋大 たつのこ]

 第18節の桐蔭横浜大戦で逆転負けを喫したことで、常に降格決定と隣り合わせにいる東洋大だが、ここに来て今季初の連勝を飾るなど、“奇跡の残留”に向け勢いづいている。

 勝ち続けるしか望みはない。気持ちが吹っ切れていることも大きいが、18節よりスタメン出場を続けるルーキーMF前田泰良(1年=鹿島ユース)が、チームに活気を与えている。

 この日もサイドから果敢に仕掛けるプレーを続けると、前半22分には起点となるプレーで先制点を演出。フル出場を果たしたが、最後はチームメイトの補助なくして立てないほど、両足がつるまで走り抜いた。

「戦う部分は東洋大は他の大学に比べたら劣っていると感じる。自分が先頭を走って引っ張って行ければいい。ガンガン走って行くことがチームに勇気を与えることに繋がっていくのかなと思います」

 言葉からも読み取れる気持ちの強さが何よりの持ち味だ。4年生にも積極的に意見が言える選手だといい、主将MF坪川潤之(4年=矢板中央高)も「1年生ですけど、僕らと同じ熱量を持っている。だから対等に話せる」と関心する。

 “鹿島メンタリティ”なのかもしれない。前田は昨年の高円宮杯JFA U-18サッカープレミアリーグEASTを制した鹿島アントラースユースの主将。そこで得た自信が、「1年生ということは関係なく、東洋を引っ張っていかないといけない」という気持ちを強くさせているという。

「(大学サッカーに)フィットしてきたというのもあるけど、やることはそんなに高校時代から変わっていないと思っています。トップ昇格した佐々木と有馬?すごい刺激になりますし、それで頑張れている自分もいる。まずはあの舞台に行かないといけない。行けるように大学リーグで努力して、一番は戻れれば最高かなと思います」

 残留争いの大事な状況でスタメンで使ってもらっていることも意気に感じている。今季は開幕戦でいきなり途中出場して大学リーグデビューを飾ったが、3節以降は怪我に苦しみ出場機会を失った。ただようやく怪我も完治し、状態も上向いてきたところで初スタメンのチャンスが与えられた。

「自分がスタメンで出てチームとしての結果を残せているのはプラスだと思います。だけど、そうなってくると個人の結果も意識しないといけないポジションなので、得点やアシストで貢献していければよりいいのかなと思います」 

 可能性を信じてギリギリまで待ったトップ昇格は見送り。他大からも誘いがあったというが、判断を遅らせたことが選択肢を狭めた。東洋大にはそれでも受け入れてくれたという恩義がある。「自分たちが勝たないといけない状況に変わりはないし、言ってしまえば“奇跡”と言われる状況なのかもしれないけど、何か起きると思っているので、続けてやっていくだけ。来年も1部でやりたいので」。泣いても笑っても運命は残り2節で決まる。

          第21節  第22節
8位:専大(23)-14   東洋大  早大
9位:駒大(21)-20   法大   流経大
10位:早大(18)-14  明大   専大
……………………(残留ライン)…………
11位:流経大(17)-14 順大   駒大
12位:東洋大(15)-13 専大   中大

(取材・文 児玉幸洋)
●第93回関東大学L特集

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