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前橋育英が群馬6連覇達成!大学受験で主軸不在も「ONE TEAM」で突破

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主軸不在も選手層の厚さを見せつけ、群馬6連覇を達成した前橋育英高

[11.24 選手権群馬県予選決勝 前橋育英高 1-0 健大高崎高 正田スタ]

「上州の虎」前橋育英が「ONE TEAM」で全国へ――。第98回全国高校サッカー選手権群馬県予選決勝が24日に行われ、前橋育英高がMF熊倉弘達(2年)の決勝点によって健大高崎高に1-0で勝利。6年連続23回目の全国大会出場を決めた前橋育英は、12月31日の全国大会1回戦で神村学園高(鹿児島)と対戦する。

「ONE TEAM」となった前橋育英が群馬県記録を更新する6連覇を達成した。準決勝は主力CB相原大輝(3年)が大学受験のために不在で、この決勝も関東屈指のボランチMF渡邉綾平主将(3年)と守備の柱を担うCB松岡迅(3年)、サッカー部長のFW久林隆祐(3年)が大学受験のために欠場した。

 U-17日本代表候補MF櫻井辰徳(2年)が「一つになれないと勝てないという中で、スタンドで応援してくれる仲間も、ベンチも、出ている人も全員が一つになれるチームというのを掲げて『ONE TEAM』に」と説明する「ONE TEAM」の精神。ゲーム主将のMF栗原諒(3年)も「一人ひとりがその仲間のために意識していたので、自分のためというよりも仲間のために次のチャンスを作るという意識でやれていたのが良かったと思います」と振り返ったように、仲間のために次のステージに繋げようと意識してプレーした結果が桐生一高との準決勝、そして決勝の勝利に繋がった。

 試合は立ち上がりから前橋育英が押し込む展開となった。15分に左サイドからカットインしたSB並木歩己(3年)の右足シュートがゴール左隅を捉え、16分には櫻井の右CKからMF倉俣健(3年)が決定的なヘディングシュート。だが、インターハイ予選に続いて初の決勝進出を果たした健大高崎は、いずれもGK倉石大夢(3年)が立ちはだかる。

 前橋育英は18分にも右SB山田涼太(3年)が得意な形というギャップの間を突くドリブルから抜け出して右足シュート。だが、健大高崎はここでも倉石がシュートストップし、こぼれ球に反応したMF山岸楓樹(3年)の右足シュートもゴールをカバーした右SB廣嶋麒輝(2年)がライン上でかき出す。

 健大高崎はカウンターから10番MF橋爪悟(3年)が推進力ある動きで攻め上がっていたほか、MF平井亨(3年)が前線で身体を張ってボールを収めようとしていた。ただし、攻撃面でのミスが目立つ展開。セカンドボールへの意識高い栗原ら前橋育英にボールを拾われ、連続攻撃を受けてしまう。

 それでも、CB今野祥吾(3年)やMF黒田彪(3年)がゴール前で諦めずに一歩を出してシュートブロックするなど得点を許さない。前橋育英は多彩な攻撃から前半だけでシュート12本、CK10本を放ったが、チームの約束事を徹底しながら、左SB設楽陸斗(1年)らが個でも対抗する健大高崎守備陣からゴールを奪うことができなかった。

 それでも、前橋育英の山田耕介監督は「(決定機をモノにできずにいたが)『決勝戦ってこんなものだから、10本打って1点決めればそれで正解だから。外しても、外してもチャレンジしろ』と伝えました」。その言葉に勇気を得た前橋育英は、後半も切り替えの速い守備からボールを奪い返して連続攻撃。14分には山岸の決定的なシュートをまたもやGK倉石のファインセーブに止められたが、チャレンジを続けると25分、ついにゴールを破った。

 敵陣左サイドでボールを奪い返したFW中村草太(2年)が中へ切れ込んでから右足シュート。GK倉石がこのシュートも止めたが、こぼれ球にいち早く反応した熊倉弘達が右足でゴールを破り、均衡を崩した。

 先制された健大高崎は25分、右サイドを抜け出したMF廣嶋大輝(3年)のクロスをFW中島俊介(3年)が頭で狙うが、前橋育英GK高橋怜士(3年)がキャッチ。その後もFW千木良航大(2年)の連続ロングスローやFKなどから反撃するものの、前橋育英はこの日空中戦で強さを発揮した相原やCB大野篤生(2年)がゴール前で確実にボールを跳ね返す。その後も隙を見せないまま1-0で試合終了。前橋育英はこの勝利で今年の群馬4冠も達成した。

 今夏のインターハイで前橋育英は、初戦敗退。青森山田高との注目対決となった一戦で攻撃時間を増やしながらも得点を奪うことができなかった。山田監督はこの日1得点に終わった現状について「やはりダメだと思いますね」と厳しい。それでも、「彼らはこれから(選手権全国大会まで)の1か月ちょっとの時期に伸びてくると思う」と期待する。

 人間性の部分で指揮官から高く評価される栗原やMF千葉剛大(3年)がインターハイ後のチームにプラスアルファをもたらし、190cm近い長身を持つCB関礼恩(3年)ら全国大会へ向けての伸びしろもある。全国トップレベルの選手層を誇る前橋育英は、この日優勝に貢献した選手たちに加えて決勝を欠場した主力組、またベンチやスタンドにも力のある選手がいるだけに、ここからのチーム内競争とチーム力向上に注目だ。今年は高卒でプロ入りするような特別な個こそいないものの、「ONE TEAM」で群馬を突破した「タイガー軍団」が、全国でも2年前の日本一世代のように躍動する。

(取材・文 吉田太郎)
●【特設】高校選手権2019

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