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[MOM3071]前橋育英MF栗原諒(3年)_『諦めずにやれば最後に…』の言葉信じて這い上がり、守備で優勝貢献

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前橋育英高を守備で支えたMF栗原諒

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[11.24 選手権群馬県予選決勝 前橋育英高 1-0 健大高崎高 正田スタ]

 インターハイでは登録外だったボランチが、選手権予選準決勝では桐生一高のU-17日本代表FW若月大和(3年、湘南内定)対策として初先発し、完封勝利。決勝でも前橋育英高MF栗原諒(3年)は、特長である守備力の高さを発揮した。アプローチのタイミングの良さを活かして味方のボール奪取に繋げ、セカンドボールも回収。献身的な動きで健大高崎高に攻撃機会を与えなかった。

「(コンビを組んだ櫻井)辰徳が結構攻撃的なので、自分がバランスを取って支えるという役目だと思ってやっている。セカンドは意識しています」と栗原。チームは切り替えの速い守備から攻め続け、計23本のシュートで1点をもぎ取ったが、それを支えたのは背番号18のボランチだった。

 試合に出るために守備を磨いてきた。前橋育英のダブルボランチは昨年からレギュラーを務め、インターハイで優秀選手にも選出されているMF渡邉綾平主将(3年)とU-17日本代表候補のMF櫻井辰徳(2年)。栗原は全国でもトップレベルの2人とポジションを争わなければならない。

 柏U-15出身の栗原は元々攻撃のリズムを作るタイプのMFだった。特長が渡邊と類似しており、このままでは試合に出ることができないと感じた彼が磨いたのは守備。チームにとっても様々な特長を持つ選手が必要だ。「(チームが)勝つために自分は守備ができないといけないので意識していますね」。地道に取り組み、成長する姿を名将・山田耕介監督も見逃さなかった。

 守備意識高く臨んだ選手権予選準決勝で渡邉に代えて先発に抜擢すると、渡邉が大学受験のために欠場した決勝でも先発起用した。山田監督は「競り合いとか拾い合いとかでは諒の方が強いです。(抜擢した)桐一戦では攻め込まれるところもあるし、彼はディフェンスができるので。(決勝のプレーも)やっぱり良いですよ」と評価。栗原が「自分は守備って決めていたので、どれだけ若月を抑えるか」と臨んだ宿敵・桐生一との大一番、そして決勝でも信頼を高めるようなプレーを見せたことで、今後、前橋育英の選手起用、戦い方の幅は広がりそうだ。

 チームの方針でキャプテンマークを巻くことこそなかったものの、栗原は準決勝に続き、決勝でもゲームキャプテンを務めている。彼はつい先日までサブで、まだ絶対的な存在とは言えない。

 だが、栗原は「最初は驚いたんですけれども、自分はセカンドチームにいた時もキャプテンをやっていたので。トップとは違うんですけれどもまとめるのは比較的慣れている。ベンチの人の気持ちも自分が一番分かっているつもりなので、そういう面でもベンチの人が腐らないとか、そういう気持ちになっても助けて上げられるような存在にならないといけない」。前橋育英は選手権出場やプロ入りを目指して進学してきた選手ばかり。試合に出られない悔しさは良く分かる。だからこそ、彼らに気を遣いながら、ピッチでは誰よりもハードワーク。その姿勢も優勝の一因となった。

 栗原が諦めずに努力を続けた理由がある。「去年の部長の鏑木瑞生さんが、同じ立場で全国の舞台でスタメンだったので。『諦めずにやれば最後に何かあるから』と言ってくれたので、その言葉を信じて最後までやろうと決めていました」。セカンドチームにいても、どんな状況でも前を向き続けてきた栗原は出番に恵まれていない同級生や後輩たちも勇気や好影響を与えそうだ。

 山田監督も「栗原諒とか千葉(剛大)なんかはトップで、レギュラーで出れなくてもブレない。ブレずに前を見て。やっぱり信用できますよね。人間力がありますよ」と賛辞を惜しまない。今回、優勝に大きく貢献した栗原だが、まだまだ貪欲に守備の部分から自身をレベルアップさせていく構え。今後も日常からブレずに前を見て取り組み、全国大会でも前橋育英の力になる。

(取材・文 吉田太郎)
●【特設】高校選手権2019

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