beacon

都リーグから初のインカレ出場…激動の4年間を経験した立正大から3選手がJの舞台へ

このエントリーをはてなブックマークに追加

左からDF中塩大貴(甲府内定)、MF藤森亮志(長野内定)、FW人見拓哉(琉球内定)

[12.16 インカレ準々決勝 関西学院大1-0(延長)立正大 川口]

 2016年度まで都1部リーグに所属していた立正大だが、同年に関東2部リーグへの昇格を達成。18年度にはリーグ2位で関東1部リーグへと到達する。今年度は初の1部ながら堅守からの一点集中カウンターで戦い抜き、夏には総理大臣杯に出場。そしてリーグを3位で終えてインカレ初出場権も掴んでみせた。インカレでも快進撃は続き、2回戦で新潟医療福祉大に勝利。だが準々決勝、関西学院大との延長戦で0-1と敗戦。激動の一年間を終えた。

 関東1部で今季得点王に輝いたFW人見拓哉(4年=矢板中央高/琉球内定)だが、今大会は不発に終わった。この試合では最前線で攻撃を牽引。しかしなかなかチャンスを生み出せず、一度ゴールネットを揺らしたもののオフサイドの判定に。「チームを勝たせられなかったところは悔しい」と唇を噛んだ。

 自身の役割は「チームを勝たせる得点」と語る。「きついときこそ取れる選手じゃないとこの先も通用していかない」。今季大躍進のストライカーは「これから先もっともっと厳しい戦いが多いと思う。自分の甘さというか、弱さが出たというか。もっと成長していかないといけない」と来季からのプロの舞台に向け、さらなる成長を誓った。

 DF中塩大貴(4年=浦和ユース/甲府内定)は自身も激動の一年となった。チームの主将として初の1部リーグを戦いながら、ヴァンフォーレ甲府の加入も内定。しかしシーズン終盤には不調に陥り、先発からはずれてしまった。インカレ2回戦では途中出場から決勝点をアシスト。準々決勝でも終盤に途中出場し、精度の高いロングフィードで起点となったが「チームを助けられなかった」と肩を落とした。

 苦しいシーズンを「完全に課題が浮き彫りになった」と振り返る。「うまくいかないときにどうできるか。自分で考える力、修正する力、それを評価してもらう力というところで学ぶことは多かった」と総括。「最後にスタメンを勝ち取れなかったところはすごく勉強になったし、改善をしていかないといけない」と前を向いた。

 大学最高峰の舞台にまで登り詰めた4年間。中塩は「やればそれだけ上に行けるというのはすごく感じました」と語る。それはプレー面でもあり、「チームとしてピッチ外のところを整備する、みんなでチームをつくる。この2つが合わさったからいい結果につながった」と目に見えない部分の力も強調した。

 2列目からの鋭い突破でチャンスをつくったMF藤森亮志(4年=上田西高/長野内定)は「まだやれたんじゃないか」とほんの少しの後悔を見せる。上田西高から入学した初年度は「同学年に市船とか浦和ユースとか。ついていけないんじゃないかってくらいレベルが高くて」と驚きの連続だったというが、藤森はチームの昇格とともに着実にレベルアップ。「最後はこういう形で試合に出られた。一番成長できたところかなって思います」と自分を褒め称えた。

 当初は就職も視野に入れていたが、AC長野パルセイロからの誘いを受けてプロ入りを決断。まずはチームのJ2昇格を狙いつつ、周りの人たちへの感謝は忘れない。「サポーターの人たちの感謝の気持ちを忘れずに、試合に出ることも目標ですけど、そういう気持ちも忘れずにいきたい」。怒涛の4年間でかけがえのない経験を得た立正大。幾度も昇格を成し遂げた4年生たちの中から、3選手がプロという新たな舞台に挑戦する。

(取材・文 石川祐介)
●第68回全日本大学選手権(インカレ)特集

TOP