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1月21日開幕 デフフットサルの欧州チャンピオンズリーグに日本代表の松本、鎌塚、設楽が参戦へ

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日本人で初めてデフフットサルの欧州CLに参戦することが決まった松本弘(中央)

 昨年11月、スイスで行われたデフフットサルのワールドカップ(W杯)に出場していた日本代表の松本弘(メルカリ)がスイスの強豪クラブ、ユナイテッドD.C(デフクラブ)からオファーを受け、21日に開幕する、ヨーロッパのクラブで最高峰の戦いとされるデフフットサルの欧州チャンピオンズリーグに参戦することが1日、明らかになった。さらにユナイテッドD.C.と松本の話し合いにより、イタリアで武者修行の経験がある24歳の鎌塚剛史(大東文化大)、27歳の設楽武秀(中外製薬)も同じクラブで練習生のような形で帯同し、実力が認められれば試合にも出場する。

 出発を控え、松本はインタビューに応じた。

「34歳でオファーをいただけることはなかなかない。欧州のデフのクラブがやっていることも知りたいですし、向こうにあって日本にないもの、日本にあって向こうにないものを情報としてつかんできたいです」

 現地時間の昨年11月16日、W杯を終えた数日後にFacebookを通してユナイテッドD.C.の監督から直接連絡が来た。スイスはW杯で準優勝した強豪国で、ユナイテッドD.C.にはスイス代表の主力が中核をなす。W杯で、日本代表はスイスのライバル、ポーランドと対戦。4-5で敗れたが、その試合で2ゴールを決めた松本の活躍がクラブの関係者の目に留まった。

 松本はW杯を終えた後はフットサルではなく、サッカーに専念して2年後のデフリンピックを目指しているため、日本を拠点に活動したい希望を伝え、クラブ側は了承。松本は1月の欧州チャンピオンズリーグと6月のスイスの国内大会限定で現地に行き、クラブの一員として戦う。松本は渡航費だけ自ら支払い、チームに帯同中の滞在費をクラブが支払うという。

 1月21日にイタリアで開幕する欧州CLはスイスやW杯を制したスペインなど20カ国から24クラブが参加。4か国6グループに分かれてグループリーグが行われ、その後、順位決定戦と進んでいく。ユナイテッドD.Cは前回優勝のドルフィンズ(イスラエル)と同組に入った。25日に決勝が行われる。

「目標を優勝に定めていたW杯で日本は10位に終わりました。日本はこの4年間で成長しましたが、周りの国の戦術的な幅が広がったことに驚きました。たとえば、4年前にも対戦したロシア代表も、ドリブルだけしか特徴がなかった選手が、ゲームをうまくコントロールできる選手になっていた。これから日本代表を強化していく上で、他国の動向、特にヨーロッパがどう変化しているか、ということを常にウォッチしないといけない、と痛感しました。
 そこで将来、日本代表を背負うであろう、鎌塚と設楽のこともクラブ側に話をさせてもらいました。大会だけでも欧州で試合に出られるのであれば、その経験はプラスになるし、今後の日本代表の男子だけでなく女子選手のことも考えて、そのつながりを持っておきたい、と考えたからです」

インタビューに応じた松本弘

 福岡生まれの松本は、生まれつき難聴だったが、小学1年生の頃、盛り上がっていたJリーグの影響でサッカーをはじめた。耳のことでいじめられる経験もしたが、それでもJリーガーになることを夢見てボールを蹴っていると、高校生ぐらいのお兄さん選手たちが「入りなよ」と誘ってくれた。その後、父の転勤もあって上京。ろう学校に入り、手話を覚え、デフサッカー日本代表の存在を知った。2005年にはじめて練習会に参加し、2008年から日本代表に選ばれ続けてきた。

「サッカーをはじめた頃、『サッカーで影響を受けた僕が、プロになることでどんな影響を(周りに)与えられるんだろう』と考えていた。東京に来て、その夢はあきらめましたが、デフの日本代表をめざしている間に新しい目標が出来ました」

 サッカーに魅せられ、サッカーで救われた松本は、目標は変わっても「一流になりたい」という部分だけはブレずに過ごしてきた。その結果、欧州最高峰の舞台で勝負する場を与えられた。

「僕は(ユナイテッドD.C.の)助っ人として行くので、結果を残してきたい。力を出せなかったら日本人の次のチャンスはなくなってしまいますから。その戦いをしながら、ヨーロッパの内情も学んで、日本の今後のデフサッカー、フットサルの発展に尽くしたいんです」

 スイスのW杯で日本代表は渡航費、滞在費を含めて選手は推定50万円ほど自己負担をしたが、今回、スイスのクラブは滞在費を払ってくれる。その差はどうやって生まれるのか。松本は若い鎌塚や設楽を引き連れて、欧州の風に吹かれながら、本場の文化も吸収してくる。

【スイスW杯男子日本代表の戦績】
≪予選≫
〇5-2ブラジル 宗澤、松本、東海林2、土屋
●4-5ポーランド 松本2、吉野、設楽
●1-2ロシア 吉岡

≪決勝ラウンド≫
11月13日 △5-5(PK3-1)アルゼンチン 東海林3、野寺、仲井
11月15日 ●4-5イタリア 鎌塚3、仲井

【W杯男子日本代表】
GK1千葉駿介(千葉・MARE PARADA)
GK12折橋正紀(埼玉・AVANOL/SORDO)
★FP3設楽武秀(埼玉・スプリズ)
FP4土屋祐輝(千葉・MARE PARADA)
FP5船越弘幸(大阪・Gypsy futsal club)
FP6上井一輝(和歌山・LIGAR.F.C)
FP7東海林直広(埼玉・AVANSOL/さいたま)
FP8吉野勇樹(埼玉・AVANSOL/SORDO、REPLO TOKYO)
★FP9鎌塚剛史(千葉・トルエーラ柏)
★FP10松本弘(埼玉・AVANSOL/SORDO、REPLO TOKYO)
FP11野寺風吹(茨城・筑波大学蹴球部、VELDADEIRO/W.F.)
FP13宗澤麟太郎(埼玉・AVANSOL/SORDO)
FP14吉岡成哲(埼玉・AVANSOL/SORDO)
FP15仲井健人(埼玉・AVANSOL/SORDO、REPLO TOKYO)

【注】戦績にある名前は得点者、数字はゴール数、★が今回ユナイテッドD.C.に参戦する選手

(取材・文 林健太郎)

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