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[MOM3133]矢板中央FW西村碧海(3年)_殊勲の先制弾!「全国で暴れてくれ」モチケン先輩と交わした約束

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ガッツポーズの矢板中央高FW西村碧海(3年)

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[1.3 選手権3回戦 矢板中央高 2-0 鵬学園高 フクアリ]

 選手権3年連続ベスト8進出を成し遂げた矢板中央高。FW西村碧海(3年)の先制点は「そういうシチュエーションは今までない」と意外な形でもたらされた。

 サイドから攻撃を仕掛けていった矢板中央は前半14分、右サイドのMF柿崎貴翔(3年)がクロスを上げる。すると飛び出した相手GKがPA中央でバウンドしたボールをキャッチミス。さらに相手DFもクリアをし切れず、ボールはゴール前に待ち構えていた西村のもとへやってきた。

 ボールを収めた瞬間に「相手選手たちが一斉に目線を向けてきた」という。しかしゴールは無人。「がら空きだったので」と冷静にインサイドキックで流し込んだ。序盤の先制点で試合を有利に運んだ矢板中央は、残りの65分間を無失点で乗り切る。さらに後半32分にはMF左合修土(3年)が決定打となるチーム2点目を沈め、相手の勢いを完全に絶ってみせた。

 西村は初の全国大会で初のゴール。「あんまり実感がない」と語るが、実は選手権開幕直前にある人物に活躍を誓っていた。その相手は1個上の先輩であるFW望月謙(現日本体育大1年)。望月も190cmの体躯とガーナ人の父親譲りのダイナミックな動きで昨年度の選手権2回戦・日章学園戦(○2-1)でゴールを挙げ、強烈な印象を残したプレーヤーだ。その憧れの先輩は自身の引退試合で、当時トップチームでプレーしていなかった西村にその思いを託していた。

 望月との仲が深まったのは2年前の冬。当時1年生の西村が左足首を脱臼骨折したとき。「リハビリ生活が長かったんですけど、モチケンさんとは一緒にリハビリをしていくなかで仲良くなった」。トップチームでプレーする機会はなかった。しかしともにリハビリ生活を過ごしていく中で「とてもやさしくて、面白くて。プライベートでも話すようになって、本当に同級生のように扱ってくれた」と交流が続いたという。

 昨年度の望月の代は選手権準々決勝で青森山田高に敗れたものの、2年連続の8強入りを果たした。そして引退試合で「あとはお前に託した」と西村に伝える。SNS上でも「来年全国で暴れるお前の姿を見せてくれ!」とメッセージ。それは当時Aチームに入れていなかった西村の背中を押すものになっていった。

 3年生になった西村は着実に成長を見せる。高橋健二監督は「トレーニングを見ていて、球際も強くて最後まで諦めなくて。そういう姿を見て、県予選の途中からレギュラーに定着しました」と主力に抜擢。選手権への3年連続出場を決める大きな戦力となっていった。

 選手権開幕の直前、西村はSNS上で改めて望月に「約束を果たす時が来ました」と活躍を誓った。そして迎えた選手権。西村は全3試合で先発出場し、2回戦ではアシストを、そして3回戦では待望の得点を決めてみせた。望月の代に続く3年連続のベスト8進出も達成。「ごはんに連れて行ってくれると思います。焼き肉が食べたいです」と約束成就のおねだりも冗談交じりに口にしていた。

 ただ、まだ大会は終わっていない。2009年度と17年度に達成した最高成績の4強、そして優勝は近いようでまだまだ遠い。さらなる勝利を求めて、次戦は駒沢陸上競技場へ。四日市中央工との対戦も「絶対に勝ちます」と力強く意気込んだ。

(取材・文 石川祐介)
●【特設】高校選手権2019

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