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廣末陸に憧れ、飯田雅浩を尊敬する青森山田GK佐藤史騎「一戦一戦戦っていればタイトルはついてくる」

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Jクラブから高体連に進んだ青森山田高GK佐藤史騎(写真協力=高校サッカー年鑑)

[1.5 高校選手権準々決勝 青森山田3-2昌平 等々力]

「思いがけなかった」。青森山田高(青森)は昌平高(埼玉)との準々決勝の前半を3-0で折り返した。しかし、GK佐藤史騎(3年)は昨夏の記憶を忘れてはいなかった。「去年のインターハイで2点取った後に4点取られてしまったので、そういうことが起こるかもしれない」。2-0から2-4にひっくり返された昌平とのインターハイ2回戦と同じ轍を踏むわけにはいかなかった。

 そして、後半に入り昌平が9分に1点を返し、終了5分前には追加点を挙げられ、1点差まで詰め寄られてしまった。3-3でのPK戦。佐藤の頭にはスタンドから見ていた昨年度の準決勝・尚志戦の記憶がよぎった。FW染野唯月にハットトリックを許すも、青森山田がPK戦を制して決勝進出を決めた試合だ。「PK戦でも負ける気はしなかったんですけど、1点リードしていましたし、絶対に失点しないぞという気持ちでやっていました」。PK戦への心配は杞憂に終わり、青森山田の2年連続の準決勝進出が決まった。

 中学年代は横浜FCジュニアユースに所属していた佐藤は、高校年代では青森山田でプレーすることを決意する。きっかけは4年前の選手権3回戦、ニッパツ三ツ沢球技場で行われた青森山田対桐光学園だった。2-2で迎えたPK戦で、桐光学園のエースだったFW小川航基(水戸)のキックをストップしチームを勝利に導いたのが、当時2年生のGK廣末陸(FC東京→町田)だった。「ああいう選手になりたい」。中学2年生の佐藤は突き動かされた。そして、「このチームに入りたい。ここで選手権に出たい」という思いが大きくなり、青森山田の門を叩くことになった。

 今年度の青森山田の正GKを託される佐藤は、昨年度の選手権優勝キャプテンであり、守護神として優勝に大きく貢献した、1学年先輩のGK飯田雅浩(現国士舘大)からアドバイスを受けることもあるという。「調子が上がらないときに相談したんですけど、『自分の調子は気にせず、仲間と話して、いっぱい食べて、いっぱい寝ることが大事』だと言われて。そしたら、少しずつパフォーマンスが上がってきたので、やっぱり飯田選手は違うなと思いました」と尊敬の念を抱いている。

 連覇が懸かる青森山田は頂点まであと2勝のところまできた。最後に選手権連覇が達成されたのは2001年度で、徳永悠平、徳重健太、渡邊大剛、柴崎晃誠らを擁した国見(長崎)以来18年ぶりとなる。奇しくも現在の高校3年生が誕生したのが、2001年度だ。「そうなんですか」と少し驚いた表情を見せた佐藤は、「連覇をできるのは自分たちだけなんですけど、連覇はあまり意識せず、一戦一戦戦っていればタイトルはついてくると思うので、目の前の試合に全力を尽くしたいと思います」と、11日の準決勝・帝京長岡戦に標準を合わせる。

 廣末陸、飯田雅浩に続く選手権優勝GKに名を連ねることができるか……。廣末、飯田がそうしてきたように、青森山田3度目の優勝には守護神の活躍が欠かせない。

(取材・文 奥山典幸)
●【特設】高校選手権2019

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