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歴史を背負い、未来のために…帝京長岡FW晴山岬「優勝しないといけない」

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帝京長岡高FW晴山岬(写真協力『高校サッカー年鑑』)

[1.5 高校選手権準々決勝 帝京長岡1-0仙台育英 等々力]

 3戦連発こそならなかったが、開始早々のアシストで新潟の歴史を切り開いた。帝京長岡高FW晴山岬(3年/町田内定)は「最後の大会でのベスト4はすごく嬉しい。ただここまで来たからには優勝しないといけないと思う」と力を込めた。

 帝京長岡にとってはMF小塚和季(現大分)らを擁した2012年度、晴山が2年次だった前回大会に続いて3回目となる準々決勝。新潟県勢にとっても、約30年間にわたってたびたび阻まれ続けてきた8強の壁だった。「ベスト8からが勝負」。大会前からそう位置付けていた一戦を、晴山やMF谷内田哲平(3年)ら黄金世代が見事に突破した。

「この試合にかける思いとして、1年間ここを目指してやってきた。ここに勝つことを目指してやってきた。1年間苦しいこともあったけど、やってきて良かったと思う」。1日50本以上というヘディング練習、屈強な守備陣に競り負けないための筋力トレーニング。前回大会からひと回り大きくなって帰ってきた18歳は一つ一つの努力を誇った。

 そんな晴山の成長を支えていたのは、自身の周囲にあった“歴史”だった。帝京長岡に大きな憧れを持ったのは12年度の8強世代がきっかけ。「小学校でベスト8を見てから長岡に行きたいと思った。自分の目標が憧れに変わる中で、先輩の思いも背負って戦っていた」。当時から事実上の育成組織にあたる長岡ジュニアユースに所属していたが、選手権への強い熱意が芽生えた。

 自身は長岡Jrユース時代の中学2年生から、帝京長岡の一員としてプリンスリーグ北信越の公式戦に出場。「その経験値は(普通の)中学生にはないことだと思う。そうやって出させてもらったことで今の自分があると思っている。ありがたい環境だった」。そうした感謝も感じつつ「自分たちが歴史を変えないといけないという使命感」を育てていった。

 そうした歴史への思いは、未来にも及んでいる。自らが最初の8強世代に憧れる子どもだったように、いま晴山たちに憧れながら長岡でサッカーに取り組む子どもたちが大勢いる。「そういう子たちがいるのを一番に考えている。自分たちが目標であり、夢を与えられる選手にならないといけない」。自らのキャリアだけでなく、地域も背負って戦っている。

 だからこそ、この挑戦を最高の形で結実させたい意欲は強い。「準決勝のサッカー次第でここでやりたい人が増えるかもしれないし、自分たちのサッカーを出さないといけないと思う。山田に勝てば、山田に勝つとかあるんだってイメージが強くなるはず」。準決勝の相手は王者・青森山田。晴山岬は地域のため、未来のために勝ちにいく。

(取材・文 竹内達也)
●【特設】高校選手権2019

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