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大学サッカー部員集まれ! 大津祐樹、酒井宏樹が“無料”ジム開設。登録すれば用具割引、就職キャリア支援も

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『Football Assist』の専用ウェアに身を包んだDF酒井宏樹とMF大津祐樹

 横浜F・マリノスMF大津祐樹は2020年から、大学サッカー部の学生を支援するプロジェクト『Football Assist』を発足させる。共に発起人を務めるのは柏レイソルで“同期”だった日本代表DF酒井宏樹(マルセイユ)。運営費はスポンサー企業の支援のみによって賄われ、学生はさまざまなサポートを無料で受けられるという異例の取り組みだ。

 運営主体は大津が代表取締役社長を務める『株式会社ASSIST』。「体育会」や「運動会」などに属する大学の公式サッカー部の部員であれば、誰でも①トレーニング支援②備品支援③キャリア支援—の3つのサポートを受けることができる。

 ①トレーニング支援は、東京都千代田区に新設される専用ジム(『スタジアム』)での活動支援。大津と親交のある専属トレーナーが立ち合い、それぞれの学生の個性や課題に合った体作りに取り組むことができる。大津も週1回程度のペースでジムを訪れ、学生たちと交流を持ちながら汗を流すという。

 ②備品支援は『株式会社フタバスポーツ』『株式会社明治』などの協力のもと、学生がサッカー用具やプロテインを割引価格で購入できるというもの。また③キャリア支援では会社説明会やセミナーを実施。サッカー経験を積極的に評価する企業・自治体と、サッカーに本気で取り組んできた学生をマッチングするサービスとなっている。

 いずれも学生の登録・利用は無料。運営費はすべてスポンサー企業の支援で賄われる。すでに不動産テック総合ブランド『RENOSY(リノシー)』を運営する『株式会社GA technologies(GAテクノロジーズ)』が第1号スポンサーに就任しており、専用のトレーニングウェアなども制作されている。

 WEBサイト(https://assist-sports.com)でも会員限定のコンテンツが提供されており、ジムに訪れるのが難しい学生も活用可能。キックオフイベントが1月9日(大学サッカー部向け)、1月10日(一般向け)に開催。東京都千代田区神田三崎町2-10-10矢野ビル2階の『スタジアム』にて、大津が取り組みの説明やサイン会などを行う。

 『ゲキサカ』では12月下旬、大津、酒井両選手にインタビューを実施。第一線での競技活動を続けている現役プロサッカー選手が、サッカー部の大学生を支援するという異例の取り組みに込めた思いを聞いた。

―シーズンオフやクリスマス休暇のお忙しい中、ありがとうございます。今季はお二人とも、所属チームが充実した成績を残されていますね。
大津「今年はJ1で優勝させてもらって、非常にチームとして結果が出ました。今年始まる前から優勝というものをチームとして目指してきた中で優勝を勝ち取れたのは、マリノスにとってもすごく大きいことでした」

―酒井選手も前半戦を終えて2位。いかがですか?
酒井「後半戦も継続できるようにしたいなと思います。ただハーフシーズンなので、まだ分からないです。マリノスみたいに良い終わり方ができれば一番いいですね」

―大津選手はこのオフ期間、この取り組みを説明するためさまざまな大学を訪問していると聞きました。どのようなことを話していますか?
大津「Football Assistとして学生支援を行っていく中で、今回は公式サッカー部を対象に活動、支援しているんですが、自分たちが直で学校に足を運び、学生の気持ちや先生の気持ちを共有しながら、より良いものを作っていこうとしています。いろんな支援の形があるんですが、僕が回らせてもらっている中では、マリノスが優勝した理由、チームとして戦うことの大切さ、僕がプロ生活で学んできたことを学生たちに伝えています」

―そもそもどうしてお二人で始めたのか、きっかけから教えてください。
大津「まず2016年に、僕と酒井宏樹でサッカーに対して僕たちが何かできないかということで話し合った結果、サッカースクールを立ち上げることになりました。まずはプレーで示せるので一番伝わりやすいかなと思って始め、現役中のプレーを多くの子供たちに伝えていきたいと思ったのがきっかけです。スピード感だったり、スキルの部分だったり、メンタルもそうです。ただそうして続けてきたんですが、僕たちはまだ大人に近い子供たちにアプローチできてないじゃんということで、今回は大学生を対象としたプロジェクトをすることに決めました」

―酒井選手は普段海外にお住まいですが、これまでの活動にはどういった形で関わってこられたのですか?
酒井「連絡は密に取っていますし、代表活動の際にも早めに帰ってこられた時は活動にしっかり参加して、なるべく意見をすり合わせるようにしています」

―海外でプレーしている選手にサッカーを教えてもらえる経験は、子供たちにとって非常に貴重な機会になりますね。
酒井「回数は非常に少ないので、それを少しでも多くすることが今はすごく大事なことだと思います。僕がいま経験していることはおそらく日本でやっている子供たちには触れられないものだと思うので、それを少しでも早い時期、早い年齢で伝えたいなと思っています」

―大学生をサポートする意味をもう少し詳しく教えてください。
大津「いまは大学生がよりプロに近くなっていて、選択肢を自分で決めないといけない環境になることが多くなっています。その選択肢を決める中で、僕たちの経験や、キャリアアドバイザーの話などで、仕事や就職も含めて前もって知識を入れておくことで、社会に出た後に大きな武器になると思っています。僕たちがプロに入った時、何も知らない状態でスタートした時、正直苦しかったし、何も分からなかったので、いろんな迷いもありました。そういったところを僕たちとしてはなくしてあげたい。社会に出た時から自分の武器を持って勝負できる環境を作ってあげたいなということで、より大人に近い大学生を対象に活動させてもらうことになりました」

―お二人は高卒でプロ入りしましたが、大学生はどのような存在だと思いますか?
酒井「大学卒というのは即戦力で、もう育成の枠ではありません。どれだけ武器を持って来れるか、チームに何を還元するかがチームからも求められると思います。なので僕たちもより責任感を持ってやろうと思っています」

―お二人はプロ入りした時、どのようなところに苦労がありましたか?
大津「プロはもう社会人なので、自分で選択しなきゃいけない機会が多いです。高校生は与えられたものを自分たちでこなす形ですけど、プロの世界ではより自分で向上心を持たないといけないと感じました」

酒井「プロはすべてのことを自立しないといけないし、自分のプレーにも自分の生活にも責任を持たないといけません。またチームの背景を背負って生活しないといけないのはプロとアマチュアの大きな違いだと思います」

―高卒選手と大卒選手にもギャップはあると思いますか?
大津「僕たちは高校からプロに入らせてもらったけど、その4年間は大きいものだったと思います。より若いうちからプロの環境を経験できるのはすごくプラスでした。ただ、その中で大学卒の選手が入ってきやすい環境も必要だと思いますし、いまでも大学卒の選手を見るとちょっと迷っているというか、やっぱり1〜2年目は『どうしたらいいの?』『プロってどうしたらいいですか?』となってしまいます。後輩を見ていても迷っている選手が多いなというのは感じているので、学生のうちに僕たちが直接アドバイスできる機会を設けることで、その迷いが少しでも消えたらいいかなと思っています」

―酒井選手も大津選手もプロ入り4年目の途中、すなわち大卒と同じくらいの年に海外へ行きましたが、大学サッカーのイメージはありますか?
酒井「高校サッカーはすごく注目されているけど、やっぱり大学サッカーを普通に盛り上げたいなという気持ちがあります」

大津「本当に高校サッカーってすごく注目されると感じています。僕自身も高校サッカーから出てきたんですが、大学サッカーはプロでも活躍している選手がすごく多い中、高校サッカーと比べると注目されていないなというのが僕としては一つの疑問です。大学サッカーからもすごく良い選手がいますし、その中でプロになれなかった選手も社会に出て活躍している機会がすごく多いです。そこの層はもっと評価されるべきだと思っていますし、僕の中ではそうした大学サッカーを盛り上げるのも僕らの仕事なのかなと思っています」

―そうした大学生をサポートする『Football Assist』の内容、対象などを教えてください。
大津「今回は公式のサッカー部限定にさせてもらったんですが、その中では男女問わずいろんな人を支援していきたいです。僕らとしては学生支援に関して3本の軸を取らせてもらっています。

 まず1つ目はトレーニング強化支援。トレーナーを雇って、週3日間トレーニングを受けられる環境を作ってあげます。トレーナーはJクラブの選手や、他競技のアスリートなども指導していて、いろいろな知識を持っている人です。僕自身も毎週トレーニングしているので、一緒に毎週受けられるような環境をつくっていきたいと思っています。

 そして2つ目が備品の支援です。フタバスポーツさん、明治さんと業務提携をさせていただいて、物品の支給であったり商品の割引サービス、プロテインやスパイクやウェアなどの割引サービスができる関係になっています。大学生はやっぱり資金面ですごく苦労するところがあるので、その苦労を少しでも楽にしてあげたいなというのが僕たちの思いです。

 3つ目はキャリア支援です。このプロジェクトを始める前に大学サッカー部の子にヒアリングした中、一番困っているのは就職でした。『どうしたらいいか分からない』という質問がすごく多かった。僕たちとしてはその悩みを解決してあげたいなと思い、キャリアアドバイザーを雇い、キャリアアドバイザーが就職の相談や企業に対する紹介、そのほかに企業に来ていただいてセミナーやイベントを定期的に行うことで、学生たちが視野を広げられるような、いろんな選択肢が増えるような環境を整えてあげたいと思っています」

―対象はトッププレーヤーですか?
大津「そういうわけでもないですね。Cチームでプレーしている子も、僕たちのトレーニングを受けてCチームからBチームへ、BチームからAチームへ、少しのレベルアップでもいいと思います。僕らにとって、必要だと思う技術を教えてあげたいですね。ただ自分たちが教えるトレーニングはあくまでも大学のサッカー部で輝けるように、使えるようにサポートするものです。僕たちのやり方がすべて正しいわけではないので、補助的な役割で大学サッカーの個々のスキルアップをサポートしていければと思っています」

―そういった支援があることで選手はサッカーに集中できますね。
酒井「集中できる環境を作ることによって、彼ら自身も言い訳ができない立場になりますし、より責任感を持ってくれると思います。その不安や苦労は少しでも解消できればいいと思いますし、全力でサポートしていきたいです」

―登録・利用する学生からは利用料を受け取らず、スポンサーの支援で運営すると聞きました。
大津「僕たちは学生により良くなってもらいたいし、学生が楽になる形を取りたいと思っています。学生からの登録はもちろん無償ですし、トレーニングも無償で行ってもらいます。備品支援の割引は多少お金を出すこともあるでしょうが、普通に売っている商品よりは確実に安く買えます。その資金でまたサッカーに対して何かに使ってもらえれば、僕たちがやっている意味はあるのかなと感じています」

酒井「僕も大津くんも大学サッカー卒ではないけど、金銭面ではより多くのものに散らして使いたい年齢だと思うので、そういう面で少しでも協力できればと思っています」

―どのような思い出活用してほしいというイメージはありますか?
大津「モチベーションはピンキリだと思いますが、フラっと来てくれることもすごく大切かなと感じています。その中でより向上心を持てるようにアシストしていこうと思っているので、気軽に来ていただいて、僕たちを経由して人間としていろんな面で成長してもらえればうれしいです」

酒井「帰国した際には多くの時間を費やして取り組みたいですし、そうやってコミュニケーションを取る機会は普段だとなかなかないので、密に話せたらいいなと思います」

―最後にお二人が学生と向き合う意気込みを教えてください!
大津「僕としてはサッカーに努力してきた人たちが報われる世界を作りたいというのが理念であって、若い世代がより良くなっていくために僕たちが全力でサポートしていきたいと思っています」

酒井「自分たちが学生に対して何ができるかというのを長い時間、綿密に打ち合わせをした中で、いろんなことができるというのが分かりました。最初から全部のことをできるかは分かリマせんが、少しずつ少しずつサポートしていきたいです」

(取材・文 竹内達也)

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