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[MOM3144]滝川二DF眞古大輔(2年)_守って、攻めての「普通じゃない」CBへ。主将としての立ち振舞も◎

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優勝した滝川二高の中で特に印象的なプレーをしていたCB眞古大輔主将(右)

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[1.6 NB CUP準決勝 滝川二高 1-0 桐光学園高 時之栖裾野G]

「NEW BALANCE CUP 2020 新春高校サッカー強化研修大会」(通称・裏選手権)で最も印象に残った選手は、優勝校・滝川二高(兵庫)のキャプテンだった。準決勝で桐光学園高(神奈川)、決勝でも東海大大阪仰星高(大阪)を完封するなど、7試合中6試合を無失点。滝川二の最終ラインの中心で際立つような存在感を見せた。

 松岡徹監督は特に準決勝で桐光学園を完封したことを評価していた。準々決勝で流通経済大柏高(千葉)を3-0で破っていた桐光学園は、技術力の高さを含めて大会随一と言えるようなチーム。その相手に183cmCB眞古大輔主将(2年)を中心とした滝川二は我慢強く守り抜き、得点を許さなかった。

 眞古が準決勝以上に目立っていたのが決勝戦。相手の攻撃を得意のヘッドで弾き返していた一方、自らボールを奪い取り、さらにそのまま攻撃参加して混戦を“ゴリゴリと”中央突破…というシーンが2度、3度とあった。

 プレー同様、理想としている姿も異質なモノ。「僕が目指しているCBは自分が守って、自分が点獲って、『普通じゃないというCB』を目指しているので、カットしたら『自分が全員抜いているやるんだ』という気持ちでプレーしています」。小学生時代はFWで競り合いに恐怖心を持たなくなったという眞古は、中学時代にボランチを経験したことで攻守に幅の広いプレーをする。そのCBは、強敵相手にも自分の特長を発揮できたことで自信を深めていた。
 
 準決勝の前半に関しては、桐光学園の186cmFW庄司朗(2年)にボールを収められてしまっていた。だが、後半は中盤に下りてボールを受けようとする庄司に食らいつき、しつこいチェックでインターセプト。また、空中戦でも強さを発揮していたCBは、狙い澄ましたインターセプトを2度、3度と決めてカウンター攻撃の起点にもなっていた。

 そして、庄司交代後は相手のスピードのある選手たちに対応。自分ひとりで取り切れなくても、相手の前に足をねじ込んでボールに触れるなど味方のサポートを受ける形でインターセプトに繋げていた。試合終盤には桐光学園の決定的なシーンでシュートブロック。加えて、国体兵庫県選抜で課題とだったという左足のフィードやビルドアップは朝練習を重ねたことで今や武器にしており、利き足の右、また左足から精度の高いフィードを放っていた。

 主将としての立ち振舞も印象的だった点だ。試合中、オフサイドでゴールが取り消しになったり、微妙な判定でチームメートが「何で?」と口にするシーンがあった。だが、眞古がすかさず、ピッチ中に響くような声で「やめろ!」「言うな!」と制止。試合後の挨拶含めてレフリーや対戦相手に敬意を持って行動していた。

「新チームになって投票で選んでもらって、選んでもらったからには立ち振舞とかしっかりしないとなと。(試合中は)熱くなったりする選手がいる。審判に対しての礼儀とか言われているのもあるし、自分もそう思うので意識している」と眞古。年間通じてその部分も意識しながら滝川二を勝たせるリーダー、CBになるつもりだ。

 アジリティを特長とするする選手への対応や精度の部分などまだ課題はあるが、今後が楽しみな素材。本人も今大会を通して、よりプロへの意識は高まったという。「自分のプレーが通用したということで、もっとプロに行きたいという意識が強くなった。個人としては跳ね返す部分はほとんど無敗でできたので、継続してやって、もっとチームを動かせる選手に、自分が起点となって点が獲れるような形を作れる選手になりたい」。貪欲に自分を高めて、自分で守り、攻めて、ゴールも奪える選手へ。そして、チームの目標である日本一、そして個人の目標であるプロ入りも実現する。

(取材・文 吉田太郎)
●【特設】高校選手権2019

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