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絶品スルーパス!思うようにボールを触れない中、青森山田の司令塔・古宿が1本の精度でゴール演出

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青森山田高MF古宿理久はそのパスセンスと精度で2ゴールを演出した。(写真協力=高校サッカー年鑑)

[1.11 選手権準決勝 青森山田高 2-1 帝京長岡高 埼玉]

 準決勝第1試合は両校の注目パサーが魅せた試合だった。ボールを保持した帝京長岡高のMF谷内田哲平(3年/京都内定)が相手の逆を取る動きや正確なパスで存在感を放っていたが、勝負を決めるようなパスを通したのは青森山田高の司令塔・MF古宿理久(3年/横浜FC内定)の方。相手に主導権を握られていた時間帯の中、パス一本で試合展開を変えた。

 前半16分、青森山田は右中間でボールを繋ぐと、古宿が相手のDF間を通す見事なスルーパス。距離感、精度ともにパーフェクトと言えるようなボールに走り込んだ右SB内田陽介(2年)がダイレクトでクロスを上げると、ファーサイドのFW田中翔太(3年)が頭で合わせて先制点となった。

 普段に比べて、古宿がボールに触れる時間が少なかったことは確か。だが、J1クラブへ加入するMFは1本に集中し、ゴールを演出した。「自分たちのチャンス1本で決められたのは良かった」と振り返る古宿は、後半2分にもMF武田英寿(3年)とのコンビネーションから右サイドを切れ込み、スピードのあるクロスでMF松木玖生(1年)の決勝点を演出。足元でボールを受ける動きが相手に狙われる中、スペースへ抜け出すことができる強みも発揮してゴールをもたらした。

 そして、古宿は「あんまりボールを受けられない中で1本のチャンスをものにしてやろうと思っていて、何本かサイドチェンジもあったんですけれども、スルーパスやクロス上げて点も入ったので良かったと思います。自分のパフォーマンスも結構上っている状態で守備の部分でも攻撃の部分でも貢献できて良かった」と微笑んだ。

 昌平高との準々決勝では3-0の後半に不用意なパスを相手にインターセプトされて、カウンターから失点。チームの流れを崩すミスをしてしまった。そのミスは自身への戒めに。「自分がミスをしたら(チームが)落ちるという責任感をもってプレーしている」という司令塔はこの日、守備面含めて納得のパフォーマンスで決勝進出に貢献した。「明日良い準備をして決勝に臨みたい」という古宿が、決勝でもその1本の精度でゴールに結びつける。

(取材・文 吉田太郎)
●【特設】高校選手権2019

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