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兄と同じ選手権4強も矢板中央エースは直前に負傷…チーム引き上げた10番久永武蔵

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矢板中央の10番エースFW久永武蔵(3年)(写真協力『高校サッカー年鑑』)

[1.11 選手権準決勝 静岡学園高 1-0 矢板中央高 埼玉]

 矢板中央は前評判を覆し、過去最高成績に並ぶ選手権4強と躍進を遂げたが、10番を背負うFW久永武蔵(3年)は不完全燃焼に終わった。開幕直前に肉離れを患い、コンディションが上がらないまま、高校年代最後の大会が幕を閉じた。

 試合後は仲間とともに大粒の涙をこぼし、「後悔しかないです」と率直な思いを吐露した。2年前の選手権4強メンバーの兄・FW久永寿稀也(現中央学院大)からは「お前らしく頑張れ」とエールをもらった。万全の状態ではない中、全5試合に途中出場。攻守にタフに戦ったが、トップフォームは取り戻せなかった。

 今年度はチームに対する周囲の低評価を覆そうと発奮し、闘争心を注入してきた。その一方、徐々に台頭したGK藤井陽登ら1年生をサポートする姿勢も。「1年生に伸び伸びやってもらうために、自分たちも意識して声をかけたりしてきた。その中で1年生が結果を出してくれるのは心強い」と、チーム力を引き上げてきた。

 栃木県予選準決勝ではシュートのこぼれ球に飛び込み、気迫あふれる決勝ヘッド弾。決勝でもフィジカルの強さとハードワークを生かし、前線で起点となった。球際の強さと馬力を備え、ゴールをもたらしてきた矢板中央のエース。悔しさをにじませながらも、「中学時代は無名の選手だったので、矢板中央のおかげで成長できた」と感謝を述べた。

(取材・文 佐藤亜希子)
●【特設】高校選手権2019

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