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王国復活!静岡学園が0-2からの大逆転で令和初の選手権制す!

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後半40分、静岡学園高CB中谷颯辰が決勝ヘッド。(写真協力=高校サッカー年鑑)

[1.13 選手権決勝 青森山田高 2-3 静岡学園高 埼玉]

 令和初の選手権王者は静岡学園――。第98回全国高校サッカー選手権大会決勝が13日に埼玉スタジアム2○○2で開催され、青森山田高(青森)と静岡学園高(静岡)が対戦。静岡学園が3-2で逆転勝ちし、24年ぶり2回目の優勝を飾った。

 前回大会優勝校で19年度のプレミアリーグ王者でもある青森山田は今大会、“死のブロック”と評された激戦区を勝ち上がった。00年度、01年度の国見高(長崎)以来、史上10度目(通算9校目)の選手権連覇を懸けた決勝戦。4-2-3-1システムのGKは佐藤史騎(3年)で4バックは右SB内田陽介(2年)、CB箱崎拓(3年)、U-17日本代表CB藤原優大(2年)、左SB神田悠成(3年)。中盤は横浜FC内定のMF古宿理久(3年)とU-16日本代表MF松木玖生(1年)のダブルボランチで右SH後藤健太(3年)、左SH浦川流輝亜(3年)、トップ下が浦和内定のU-18日本代表MF武田英寿主将(3年)。1トップは田中翔太(3年)が務めた。

 一方、静岡学園は今大会、5試合で16得点無失点と盤石の勝ち上がり。24年ぶりの優勝、同校にとって初の単独優勝へ前進してきた。4-2-3-1システムのGKは野知滉平(2年)で右SB田邉秀斗(2年)、CB阿部健人主将(3年)、CB中谷颯辰(3年)、左SB西谷大世(3年)。中盤は井堀二昭(3年)と藤田悠介(3年)のダブルボランチでトップ下が浅倉廉(3年)。右SHは鹿島内定のU-18日本代表MF松村優太(3年)、左SHは小山尚紀(3年)で1トップは今大会初先発の加納大(2年)が務めた。

 序盤は静岡学園がボールを握って試合を進めようとするが、青森山田が得意のセットプレーから先制点を奪う。前半11分、左中間でFKを獲得すると、古宿が右足でゴール方向へ向かうボールを蹴り込む。これに飛び込んだ藤原が頭でゴールへ流し込んだ。

 先制された静岡学園は後方から丁寧にボールを繋ぐ。18分に井堀がワンツーで局面を破り、加納が右足シュート。22分には中谷の攻撃参加から再び加納がシュートへ持ち込んだ。だが、前半は強固な守備ブロックを作って対応する青森山田の前にパスミスを連発。青森山田はセカンドボールを拾うと、前線の田中、武田が確実に収めて攻撃を展開する。

 主導権を握って押し込んだ青森山田は内田のロングスローや、25分頃の4連続CKなどで静岡学園にプレッシャーをかける。そして32分、田中が敵陣で相手DF阿部からインターセプト。そのまま前進すると、斜めのランニングでPAへ飛び出した武田へスルーパスを通す。そして、左中間で縦へ持ち込んだ武田がGKに倒されてPKを獲得。このPKを武田が左足で右隅に決めて2-0とした。

 2点ビハインドとなった静岡学園は、小柄な浅倉が青森山田DF陣に対して奮闘。また、中谷が積極的にボールに絡み、相手の中盤のラインを突破するなど反撃する。そして前半アディショナルタイム、井堀が右サイド後方からFKを入れると、最後は青森山田の小さなクリアに反応した中谷が、右足シュートをゴール左隅に突き刺して1点差とした。

 静岡学園は後半開始から藤田に代えてMF草柳祐介(3年)を左サイドに投入。自陣からボールを繋ぎながらジワリジワリと前進していく。そして、松村の突破から浅倉がシュートを狙うなど相手ゴールを脅かす。

 青森山田も武田が中盤でテクニックを発揮し、サイドチェンジなどから追加点を狙う。だが、次の1点を奪ったのは静岡学園の方だった。16分、左サイドでのポゼッションから草柳がカットイン。そしてDFを背負った加納へボールを預ける。すると、加納は反転から左足一閃。左中間から放たれた一撃はゴール右隅に突き刺さり、同点となった。

 青森山田は26分、浦川に代えてMF得能草生(3年)を、31分には後藤に代えてMF安斎颯馬(2年)をピッチへ送り出す。互いにセットプレーでゴール前のシーンを作るが、両守備陣が集中した守りで決定打を打たせない。

 そして、後半40分、静岡学園が逆転に成功する。セットプレーの流れから、左サイドで小山がFKを獲得。これを井堀が右足でゴール方向に入れると、ファーサイドの中谷が豪快ヘッドで勝ち越し弾をゴールに突き刺した。

 青森山田は内田に代えてDF鈴木琉聖(3年)、松木に代えてFW金賢祐(3年)を投入。鈴木のロングスローなどで反撃するが、静岡学園は野知や阿部、中谷、西谷、田邉らが執念の守りでゴールを許さない。56,025人の大観衆が見守る中で開催された激闘は静岡学園が3-2で勝利。低迷の続いていたサッカー王国・静岡に24年ぶりとなる選手権タイトルをもたらした。

(取材・文 吉田太郎)
●【特設】高校選手権2019

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