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アジアの激しさ、荒さ体感したU-17日本代表、FW真家の決勝ヘッドでGS3連勝

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U-17日本代表はゲーム主将のMF松木玖生(青森山田高)をはじめ、攻守に戦って1-0勝利

[2.28 JENESYS青少年交流大会GS第3節 U-17日本代表 1-0 U-17マレーシア代表 指宿いわさきホテルサッカー場]

 U-17日本代表が目標の全勝Vへあと1勝――。「JENESYS2019青少年サッカー交流大会」(鹿児島県指宿市)は大会3日目の28日、グループステージ最終節を行った。U-17日本代表がFW真家英嵩(柏U-18)の決勝点によって、U-17マレーシア代表に1-0で勝利。グループステージグループAで3戦全勝のU-17日本代表は、大会最終日の29日に開催される決勝戦でU-19東ティモール代表と対戦する。

 試合終盤、1点を追うマレーシアが敵陣コーナー付近でのプレーの判定などをきっかけにエキサイト。悪質なタックルを続けるなど、“荒れた”展開となった。日本は出場予定選手を使い切った後に右MF屋敷優成(大分U-18)が負傷退場。アディショナルタイムを含めた約6分間を10人で戦った。

 日本は興奮した相手に付き合ってしまう部分もあったが、冷静にプレーすることを心掛け、ボールを素早く動かしながら残り時間を消化する。MF青木俊輔(東福岡高)に背後からタックルを見舞ったDFなど、最終的にマレーシアの2選手が退場して試合終了。日本は飲まれずに勝ち切った。

 前日はU-19ラオス代表の選手が自陣に人数を掛けた守りと度々倒れ込んでの“露骨な”時間稼ぎをしていたように、日本の選手たちにとってはアジアの戦いがどのようなものになる可能性があるのか、体感する大会になっている。

 03年生まれ中心のU-17日本代表は23年のU-20ワールドカップで主力となる世代だ。船越優蔵監督は試合後、選手たちへ向けて「アジアの戦いはこういうことがある。経験しないと分からないこと、その中でやらなければならないことがある」。そして、ゲーム主将を務めたMF松木玖生(青森山田高)は「アジアの戦い方を知れたという面では得したと思います。(相手に合わせて日本らしさを欠くのではなく、) 自分たちの長所を出しながら戦っていかないといけないなと思いました」と引き締めていた。

 日本はこの日、前日のラオス戦から先発7人を入れ替えた。4-4-2システムのGKは高橋一平(神戸U-18)で4バックは右SBがラオス戦2得点の豊田晃大(名古屋U-18)、CB波本頼(金沢U-18)、CB諏訪間幸成(横浜FMユース)、左SB工藤孝太(浦和ユース)。中盤は松木と安田虎士朗(FC東京U-18)のダブルボランチで右MF松田隼風(JFAアカデミー福島U-18)、左MF東廉(清水ユース)、2トップは勝島新之助(京都U-18)と福田師王(神村学園中)がコンビを組んだ。

 日本は前日に課題となっていた部分での改善が見られた。波本と諏訪間の両CBが積極的にボールを持ち出すことで数的優位を作り出し、またボランチの松木が前線を追い越してゴール前へ繰り返し飛び出す。豊田や松木をはじめ、切り替えの速い守備で相手ボールを奪い返した日本は、勝島や安田らがゴール前の局面を個や連係でこじ開けようとする。

 前半24分、左中間へ抜け出した松木のシュート性のクロスがゴール前を横切り、29分には左右入れ替わっていた左MF松田のクロスから右MF東がヘディングシュートを放つ。30分には工藤のクロスに福田が飛び込み、豊田のループパスから松木が右足を振り抜くシーンも。一方、マレーシアは守備に重きを置いての戦いだったが、21分に左クロスから決定機を作り出すなど一発の怖さも示していた。

 日本は後半開始から工藤と波本に代えて、CBチェイス・アンリ(尚志高)と右MF青木を投入し、松田を左SBへ下げた。後半10分には東に代えてMF屋敷を右サイドに入れ、青木を左へスイッチ。15分には福田の力強いキープから青木がラストパスを入れた。また、交代出場のアンリがセットプレーの強さを発揮してゴールを脅かす。

 20分、日本は勝島と豊田に代えて真家と右SB清水和馬(静岡学園高)を同時投入。すると、この2人が決勝点を生み出した。後半23分、日本は右サイドのCBアンリがSBを飛ばす形で奥側のSH屋敷へパスを通す。これを起点とした攻撃から、右SB清水の鋭いクロスを真家が頭でゴール右隅に沈めた。

 船越監督はハーフタイムに飛ばしのパスとアーリークロスの有効性をアドバイス。松木も「それも自分たちで共有していて、早いタイミングで(クロスを)アーリーで入れたら相手も追いつかないだろうという考えでああいう選択肢が出たと思います」と振り返る。ベンチ、選手たちの狙いとした形からマレーシアゴールをこじ開けた。

 日本はこの後もアンリのヘッドや、安田のクロスに飛び込んだ屋敷のシュートなどで追加点を狙う。2点目を奪うことはできなかったが、日本は先発GK高橋から残り10分でGK黒川雷平(愛媛U-18)へ繋ぎ、完封リレー。全勝優勝という目標まであと1勝とした。

 殊勲の真家は「正直2試合あって、1点も決められていなかったので。FWだし、入ったら点のことしか考えていなかったです」と語り、決勝戦へ向けては「自分たちが目指してきたのは1位」と意気込んだ。

 外務省が推進する「JENESYS2019」への協力の一環として開催されている「JENESYS2019青少年サッカー交流大会」は、ASEAN 4か国(カンボジア、ラオス、マレーシア、ミャンマー)と東ティモールのU-17からU-19代表の5チーム、そしてU-17日本代表、鹿児島県選抜U-18、鹿児島ユナイテッドFC U-18の計8チームが参加。日本とASEAN諸国及び東ティモールのユース年代の交流促進を目的に行われている。

 新型コロナウイルスの感染が拡大する現状を考慮し、文化交流が中止になるなどプログラムは縮小。競技に関しては大会最終日の29日も予定通り実施され、各選手がタイトルや勝利、成長を目指して全力でプレーする。

(取材・文 吉田太郎)

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