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兄は市船で高校選抜も経験。尚志期待のボランチ、MF松尾春希は兄を「超えたいと思います」

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尚志高期待のボランチ、MF松尾春希は兄超えも目標

 目標は兄超え、そして日本一だ。MF松尾春希(1年)は19年インターハイで3位に入った尚志高(福島)期待のボランチ。1月の全国高校選手権で登録メンバー30名に名を連ね、新チームではボランチ争いを繰り広げている。バルセロナ五輪予選日本代表の仲村浩二監督も相手の急所を見つける目と精度を認める存在が、新生・尚志で中心選手に成長するか注目だ。

 新型コロナウィルスの影響によって、尚志サッカー部も現在は対外試合などを自粛中。生徒が関東などへ帰省した際の感染リスクを考慮し、帰省希望者を除いて寮生は寮に残り、自主練習という形を取っている。ジェファFC(東京)出身の松尾は寮生活。福島に残り、限られた練習時間の中で自分を磨いている。

 昨年の国体少年男子の部で松尾は福島県選抜のCBとして、今年U-17日本代表に初招集されたDFチェイス・アンリ(尚志高1年)とコンビ。カバーリングや正確なキックが印象的だったが、尚志では本職のボランチとして勝負している。

 現在はトラップ一発で相手の逆を取る動きを課題として取り組み、先輩の中で自分から発信して行くことも意識。そして、「相手のギャップを通すのが楽しい」という松尾はパスワークを特長とする尚志で、得意の縦パスやショートパスをレベルアップさせていく。

 兄のDF松尾勇佑(現関西大1年)は市立船橋高(千葉)時代にU-18日本代表へ選出され、日本高校選抜で欧州遠征も経験した高速SBだ。弟は高体連、Jクラブユースの強豪から誘いがあった中で「パスサッカーが合っているかな、と。(実際に)ダイレクトで繋ぐところだったり、サイドチェンジで変えるところが楽しいです」という理由で尚志へ進学し、その中で着実に成長してきている。

 抜群のスピード、推進力や攻守における1対1の強さが魅力の兄とは「全然(プレースタイルが)違います。お兄ちゃんは縦に行くじゃないですか。(兄のような身体能力はないが、)自分は起点になってパスしたりする」。ポジションは違うものの、2歳上の兄の背中を追って来た。そして、尚志で兄超えへ。高校3年間の成績や先にプロ入りすることでその目標を達成する意気込みだ。

「お兄ちゃんは目標というか超えなければいけないという存在でした。超えたいと思います。(兄は1年時にインターハイで優勝。自分も日本一を)狙っていきたいです。(震災を乗り越えてきた福島の人々も)応援してくれるので期待に応えたいです」。ピッチで賢いプレーや精度を見せつつあるMFは今年、尚志で印象的な活躍をするつもりだ。

 憧れの存在はドイツ代表MFトニ・クロース。「(コーチの)小室(雅弘)さんが言っていたんですけれども、逆取ることが上手かったり、キックが上手かったりというのがあるので」という松尾が、貪欲に努力を重ねてその存在に近づくような一年にもする。

(取材・文 吉田太郎)

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