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「力強さ」が魅力。尚志でナンバー1の身体能力と「諦めない心」を持つ男、大型FW阿部要門が山形入り

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21年シーズンからのモンテディオ山形が内定した尚志高FW阿部要門

 “福島の雄”尚志でナンバー1の身体能力と「諦めない心」を持つFWが、山形でプロ生活をスタートする。今月3日、モンテディオ山形尚志高(福島)FW阿部要門(2年)が2021シーズンから加入することが内定した、と発表した。阿部は185cmの長身とスピード、パワーを兼ね備えた大型ストライカー。他チームからの評価を聞く前に、いち早く進路を決断している。
 
 新型コロナウィルスの影響下、尚志サッカー部は生徒が関東などへ帰省した際の感染リスクを考慮し、帰省希望者を除いて寮生は寮に残り、自主練習という形を取っている。寮生の阿部も自主練習で課題改善中。その阿部は、山形入りを決断した理由を口にする。

「一番の決め手は早い段階で目をつけてもらって、練習に参加させてもらった時に尚志のOBの山岸祐也選手とかもいて凄く雰囲気も良かった。いざ練習をやってみても、自分は前からどんどんプレスをかけてボールを奪ってシュートというプレーが多いのですが、山形も前からプレスをかけるという意味では、自分に一番合っているチームじゃないかなと思いました」

 阿部は昨秋に山形へ続けて練習参加。「最後まで諦めない心とか、ミスしても切り替えてボールを追うところを買ってもらえたと思います。(強化担当者が)プレミア(リーグ)も色々な試合を見に来てくれていて、その中で話す機会もいっぱいあって、自分のプレーがマッチすると言ってくれましたし、そういった面でも山形が一番良かったと思います」という阿部の下には昨秋の段階でオファーが入り、進路決定に至った。

 阿部は身体能力に恵まれているという家系で、2人の兄はいずれも水戸の育成組織でプレー。そして、阿部自身も「尚志の体力テストで一番でした。満点だったので」と微笑む。体力テストの50m走は1本目で6秒1を記録(6.3秒以内で満点)すると2本目はパスしたように、記録更新は狙わなかったようだが、握力測定で64kgを計測(一般的に17歳の平均値は40kg台前半)するなど、“尚志一の身体能力”に自信を持っている。

 山形サポーターに見てもらいたいところは、その身体能力の高さを活かしたプレーだ。「自分の長所であるスピードとパワーを活かしたドリブルや力強いシュートとか、力強さというところを見てもらいたいです」。相手DFを引きずりながら前進するような豪快なドリブルやパワーショットなどは魅力。また1年後を見据え、課題である細かな技術の改善やプレーの波をなくすための体調管理には、日々意識して取り組んでいる。

 1学年先輩で鹿島入りしたFW染野唯月にいつか追いつき、再び一緒にプレーしたいと考えている。先輩は2年時の選手権で大ブレイクし、3年時はプレミアリーグやインターハイ予選決勝、選手権予選決勝でチームを勝たせるゴール。圧巻の跳躍力に加え、技術力も高い染野とタイプは異なるが、荒削りな部分を含めて面白い素材であることは間違い。昨年のインターハイでは怪我明けの染野に代わって先発し、3得点。今年はさらなる得点量産も期待できる。阿部は「得点という形でしか、(染野の)記録というか活躍を超えることはできないと思うので、今年1年間、自分の得点でチームを勝たせることを目標に1試合1試合頑張っていきたい」と宣言した。

 昨年はどこか先輩に頼ってしまっていたところがあったと自認している。今年はエースストライカーとして、Jクラブへ進む選手として、相応しい活躍をするだけだ。厳しいマークを受けることは覚悟の上。「自分が引っ張っていかないといけない。自覚を持ってプレーしていきたい」という阿部が、1年後にスタートするプロ生活へ向けて貪欲に成長を目指し、高校サッカーで先輩FWに負けないくらいのインパクトを残して尚志から羽ばたく。

(取材・文 吉田太郎)

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