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「そこからが一番大事」。静岡学園FW加納大は埼スタ決勝でのゴラッソを今季、将来へのステップに

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静岡学園高FW加納大は選手権決勝のゴールを飛躍のきっかけにする。(写真協力=高校サッカー年鑑)

[2020シーズンへ向けて](※静岡学園高の協力により、電話取材をさせて頂いています)

 埼スタ決勝で決めた衝撃的なゴールを、飛躍へのきっかけにする。20年1月13日、埼玉スタジアム2002で開催された全国高校選手権決勝戦。1点を追う静岡学園高は後半16分、左サイドのMF草柳祐介が最前線のFW加納大(現3年)にグラウンダーのパスを入れる。青森山田高のCBを背負ってボールを受けた加納は、「もう一回草柳さんに預けようかなとは思ったんですけれども、背負った時に左側にCBの姿がチラッと見えたので、咄嗟に(右側へ)ターンしてシュートする方に切り替えました」。右前方に一つ持ち出してから、巻き上げるように振り抜いた左足。ボールは右のサイドネットに吸い込まれ、2-2となった。

 堅守・青森山田の意表を突くターンからの“ゴラッソ“。大会屈指とも言えるゴールで勢いを増した静岡学園は、逆転で24年ぶりの全国優勝を勝ち取った。このシーンで加納をマークしていたのは現U-18日本代表の強力CB藤原優大(現3年)。加えて、GKはその後日本高校選抜に選出されたの佐藤史騎だったことがまたその価値を高めた。

「今までのサッカー人生の中でもベストゴールですね。藤原君も日本代表で活躍している選手でもあったので、そういうマッチアップから点を獲れたのは凄く大きかったのかなと思います」と振り返る一撃。静岡学園の川口修監督は今年、彼がより成長することを条件とした上で、あのゴールが加納のサッカー人生を変える可能性があることを認めていた。

 加納は小学生の頃からFW一筋。兄・加納澪も静岡学園高のFWとして2年時の選手権でゴールを決め、3年時はエースストライカーとしてプリンスリーグ東海で得点王に輝いている。その兄も参考にしながら練習を重ね、静岡学園中時代から注目されてきた加納は「チームを勝たせるFWになるというのは一つ自分の理想というか、モットーとしてやっている。チャンスが少ない中でも一発で決めれる能力は必要だと思っていた」。チームが守備に追われている時も、常にどうゴールをこじ開けるか考えながらプレー。そして、一発で仕留めることを目指してきたFWは、ゴール前で前を向いた際にパンチのあるシュートを打ち込むという強みを大舞台で見せつけた。

 ただし、怪我明けで出遅れた選手権での先発出場は決勝のみ。得点があの1点に終わっていることも事実だ。加納も「選手権大会を通して見ると、『あの1ゴールしかないな』というのが自分の心境ではあるので、とにかく次の選手権とかでの得点王を目指しています」と語る。自身が決めて優勝したとは言え、「1」はストライカーとして到底満足できる数字ではない。だからこそ、今年に懸ける思いは強い。

 新型コロナウイルスの影響でインターハイは中止に。あの1点で注目度がより高まり、プロ入りへ向けたアピールも考えていたという加納はその機会を一つ失った。それでも、「今できることは、再開に向けてしっかりと準備をすること。再開した後にエンジン全開で行ければ良いかなと思っている」と前向きだ。現在、静岡学園は休校中だが、土日に練習場が開放されているため、課題のシュート練習や技術練習を実行。それ以外も自宅で体幹トレや筋トレ、傾斜のあるコースをランニングするなど“エンジン全開”でスタートを切るための準備を進めている。

 FW大迫勇也やFW小林悠を目標とする加納は、前線でボールを収める力や献身的な守備も特長としている。一方でオフ・ザ・ボールの動きやゴール前で嗅覚を発揮する部分、決定力は課題としている部分だ。今季は準決勝で敗れた県新人戦のようにマークされることが必至。「そこで何もできないようじゃそれまでの選手かなと思いますし、その中で結果を残して行ければさらに成長できるのかなと思う。シーズンが始まっても常に得点を取り続けられるようなFWでありたいなと思います」と力を込めた。

 モチベーションの高い静学の新エースは、まず実戦が始まってからゴールを決め続けるだけ。そして選手権予選で静岡を勝ち抜き、全国でゴール数を増やしていく。埼スタでの同点ゴールについて、「そこからが一番大事。自分の名前を売っていくためにも良いスタートだったかなと思います」と語る加納が、あのゴールからの進化を今シーズン示す。

(取材・文 吉田太郎)

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