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「FIFA 20 サマーカップシリーズ アジア」は28日から開催…波乱の一年を戦ったつぁくと&アグが大会の抱負語る

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Blue United eFCのつぁくと(左)とアグ

 サッカーゲーム『FIFA 20』では、公式大会グローバルシリーズの大会が新型コロナウイルスの影響により軒並み中止に。一年間の集大成である「FIFA eワールドカップ」も開催中止が決定している。しかしその代替として、7月17日から「サマーカップシリーズ」がスタート。完全オンラインによる大会は世界6地域ごとに分けられ、それぞれ王者を決定する。アジア地域は28日から30日まで開催され、出場8名のうち日本からは4名が選出。Blue United eFCのつぁくと(Xbox)とアグ(PS4)が、世界ランキングのXbox部門、PS4部門で国内1位の成績を収めて出場権を手にした。

「eワールドカップ 2019」のプレーオフや「eクラブワールドカップ 2018」を始め、国際大会の出場経験が豊富なつぁくとと、 プロ加入初年度のアグ。新型コロナウイルスにより大きな影響を受けてしまい、両者ともに波乱のシーズンとなった。ゲキサカでは2選手にオンラインでのインタビューを敢行。2月にイタリア・ミラノで行われた「eクラブワールドカップ」への出場、春先の「eJリーグ」での活躍、そして新型コロナウイルスの影響を振り返り、「サマーカップシリーズ」の意気込みや、新設されたサッカーe日本代表への思いにも迫った。

Blue United eFCのアグ(左)とつぁくと

名コンビ誕生

――シーズン終盤になりました。今季はいかがでしたか。
つぁくと
「今シーズンの目標だったので、2月にチームとしてeクラブワールドカップに出場できたことがよかったです。ふがいない結果に終わってしまったことがかなり悔しい部分ではありますけど」

――グループステージ敗退でしたね…ふがいない部分とは具体的にどういうところでしたか。
つぁくと
「普段だったら決め切れるシュートとかパスの選択が、イタリアの現地に行ったときにできなくなってしまった。そういうメンタルの部分が出てしまったのかなって思います」

――海外遠征の難しさでしょうか。
つぁくと
「そのあたりは慣れてきたんですが、チームとして、アグが世界大会初出場ということで、僕がなんとかしなきゃっていう思いが強く出てしまった。それが裏目になったのかなと思います。そこはいい経験でした。対戦相手との差は感じなかったですが、小さなミスがあったのでやはり最後はメンタル勝負なんだなと改めて思いました」

――その後、ルーマニアで行われる「FUTチャンピオンズカップ ステージ5 ブカレスト」への出場も決めました。
つぁくと
「eクラブワールドカップ後にアグと長い時間をかけて練習をしました。お互いのプレーを見直して、それががっつりハマってルーマニア大会の予選は優勝できました。コロナの感染が拡大するまではいい流れが来ていましたね」

――アグさんは今季がプロ初年度でした。
アグ
「去年5月のシーズン終わりに加入して、今季は初めてのシーズンでした。一年目から目標にしていたことがあって、そのひとつが世界大会に出場するということ。それはミラノでのeクラブワールドカップ出場で達成できました。グループステージ敗退なのですごく悔しかったですけど、デビュー初戦がFCバーゼルのニコラス選手というPS4のNo.1プレーヤーで。ビッグマウスになってしまうんですけど、実力差はそんなにないな、と思いました」

――勝敗を分けたところは何だったんでしょうか。
アグ
「細かいメンタルの部分だったり、大会慣れ、場慣れといった部分が大きいと思います。もし今後、日本人でも大会経験を積んでいったら、ベスト8、ベスト4、もしくは優勝する選手も出てくるとは思いました」

――アグさんも「FUTチャンピオンズカップ ステージ5 ブカレスト」への出場を決めていました。
アグ
「アジアは1枠しかなくて、その1枠をかけてやっと出られる大会。お互い切磋琢磨して、Xbox部門とPS4部門をチームの2人で占めることができました。でも、すごくよかったって思った矢先の新型コロナによる中止だったので…。海外でのオフラインでの個人戦は経験がなかったので、来シーズンに入る前には出ておきたかったですね」

――それでも初年度ですごい活躍だと思います。
アグ
「目標にしていた世界大会出場もできましたし、世界ランキング(PS4部門)も国内1位で終わることもできました。個人的には一年目にしてはやれたほうだと思います。来シーズン以降もこれを継続したいので、プレッシャーではありますね」

――アグさんは物怖じしなさそうですね。
アグ
「緊張はしているんですよ笑。でも、やるしかないじゃないですか。やるからには楽しみたいタイプですね。決まった以上はベストを尽くして、かつ楽しみながらやりたいタイプです。個人的にFIFAはメンタルゲームだと思っているので。メンタルで負けたら絶対にだめだと思っているので、そういう性格っていうよりは、そう思い込むようにしていますね」

――具体的に、どういう考え方なんでしょうか。
アグ
「色々考えるんですけど、考えていたことってほとんどうまくできなくて。試合の流れもありますし、考えるより合わせていくっていう感じですね。2点ビハインドになった場合は、何分で交代して、この戦術でいく、とか。もしもの場合、最悪のパターンは考えていますね」

――想定外というと、どのようなことがありますか。
アグ
「予選は回線上のラグでびっくりするくらい重いときもあって。でも重い重いって言ったところで強くはなれません。プロとしてやっている以上、その中で勝たないといけない。いかに打破するかってなるときに、メンタルを強く保つ。蹴るボタンを押してたのに動作が起きなくて失点するとか、自分ではどうしようもない場面もあります。そこで環境のせいにするんじゃなくて、メンタルを強く保っていられるか、っていうゲームだと思うようにしています」

つぁくと
「eクラブワールドカップ後はその部分をずっとお互いに意識していました」

アグ
「特に、つぁくと選手はああ無理だ…って笑。だから環境のせいにすると絶対に強くなれないって励まして。っていいながら自分もあったけど」

つぁくと
「ルーマニア大会の予選中もお互いにLINEで報告し合って、意識しながら。そこががっつりハマって2人とも優勝できたのかなって」

アグ
「彼が先に突破を決めたことで、自分のメンタルにも火がつきました。それも大きかったな。メンタルってやっぱり大事だなと思いました。ミラノ後から右肩上がりというか、チームとしてお互いが右肩上がりになっていたので、そこはすごくよかったですね」

――しかし、4月開催の「FUTチャンピオンズカップ ステージ5 ブカレスト」は新型コロナウイルスの影響で中止に。
つぁくと
「この大会は出たかったですね」

アグ
「劇的な予選で、突破の仕方もよかったんです。でも環境のせいにしたら何も始まらないので。悔しいですけどこれも試練かなって。来シーズン以降につなげていけたらと思っています」

――お二人はいいコンビのように見えます。
つぁくと
「個人的にはいい相談相手であり、ライバルでもあります。ルーマニア大会の予選もそうですけど、本気でぶつかり合える相手がいてくれたことは、かなり大きかったと思います」

2月にはeクラブワールドカップに出場した

Jリーグとの関わり

――新型コロナウイルスの影響で生活に変化はありましたか?
つぁくと
「生活自体は変化はなかったです。でも、本来あったであろうeJリーグなど、オフラインのイベントがなくなったことはeスポーツにおいても大きいことですね。もちろんルーマニア大会もそうですし、オフラインでがちがちにぶつかり合える大会がなくなったのはモチベーション低下とか、eスポーツが盛り上がっているところだったので残念なところでしたね。リモートのイベントが増えてきているので、そこでどう盛り上げられるのかと模索しているところです」

――つぁくとさんは3月の「金eJリーグ」でセレッソ大阪代表として優勝しました。
つぁくと
「ああいう大会で勝てていなかったので、素直に嬉しかったです。ルーマニア大会の予選からいい流れが来ていて、結果が出たっていうのは、コロナ後の活動の中でも印象的な部分ですね」

――C大阪サポーターからの反応はありましたか。
つぁくと
「普段はFIFAファンからの応援が多いんですけど、Jリーグクラブを背負って戦ったので、サポーターの方たちが応援してくれて、SNSで反応してくれていて、つながりはかなり感じることができました」

――4月の「eJリーグ オンラインチャレンジカップ」ではアグさんが松本山雅FCの代表に。
アグ
「山雅さんとはそのときが初めてで、初日から想像以上にファンの方から応援いただいたり、反響が大きくて。2日目以降にはeスポーツ選手史上初となるチャントも頂いたり。松本山雅に関わる多方面の方たちから声援を頂きました。有難かったですね。あそこまで応援されることはないので。Jリーグのサポーターの方々って温かいなって。サポーターっていうもののありがたみを感じつつ、チャントを聞きながらがんばりましたね」

――自粛中、サッカー選手でFIFAをプレーしている方が多いことを知りました。
つぁくと
「ウォルバーハンプトンのディオゴ・ジョッタ選手は、プレミアリーグの選手だけが出られるFIFAの大会で優勝していて。ウィークエンドリーグでも30連勝する選手で、どれくらいの実力なんだろうと。対戦してみたいっていったら彼ですね」

アグ
「普段からやっているウィークエンドリーグでも意外と当たるんですよ。横浜F・マリノスのエリキ選手とか、清水エスパルスのヘナト・アウグスト選手も。国内で一番上手いのは彼なんじゃないかと…相当やり込んでいるなって思いましたね」

国際大会の出場経験も豊富なつぁくと

「日本代表」という新たな目標

――4月に日本サッカー協会がサッカーe日本代表を選出。PS4部門ではWeb Nasriさん(鹿島アントラーズ)が、Xbox部門ではfantomさん(SCARZ)が、そしてアグさんはリザーブで選ばれました。
アグ
「大会があったら、2人が出られなくなったときの補欠の枠です。予定していたeネーションズカップが中止になって、いまはeスポーツの認知度を上げる活動に尽力しています」

――選出されたことはどうでしたか。
アグ
「憧れていたので本当に嬉しかったです。実感はなかったんですけど、代表として活動していくにつれてだんだん自覚もついてきましたし、もっと認知度を上げていきたいですね。憧れだった日本代表なので、選ばれている以上は色々やっていけたらいいな、と」

――本来であれば代表決定戦がある中で、新型コロナウイルスの影響で選出方法が変更され、2月末時点でのランキング上位者が選ばれました。つぁくとさんは今回は選ばれず。
つぁくと
「ぶっちゃけて言うとめちゃくちゃ悔しいですけど、結果は結果なので。しょうがないんですけど、でもやっぱり羨ましいですね。eクラブワールドカップで結果を残せなかったのもありますし、仕方ないと受け止めています。悔しいですけどあまり気にはしていないです。次は絶対に代表になりたいですね」

アグ
「次はリザーブではなくて、本メンバーに選ばれるようにしたいですね。いつ今回のような状況になるかわからないので、開幕からちゃんと結果を残していかないといけない。来シーズンからは初っ端から飛ばしていきたいです」

アグは初の国際大会出場を経験

シーズン最後のカップ戦へ

――28日から「サマーカップシリーズ」が始まります。
アグ
「グローバルシリーズという一年間を通して行われる大会が中止になって、その中止になった時点での各地域での上位者がオンライン上でカップ戦を戦います。アジアからは世界ランキングでPS4、Xboxそれぞれの上位4名ずつ。グループリーグを行って上位2名が決勝トーナメントへ進出し、アジア王者を決めていきます」

――優勝賞金も高額だとか。
アグ
「賞金総額が3万ドル(約320万円)で、優勝が1万ドル(約100万円)ですね」

――日本人はつぁくとさんとアグさん、Web Nasriさん、fantomさんが出られますね。
つぁくと
「あとはインドネシアとシンガポールの選手です。日本人4人は削り合う形ではありますけど、アジアの頂点に立てるように、お互い切磋琢磨するいいライバルですね」

――大会にかける意気込みを聞かせてください。
つぁくと
「新型コロナウイルスの影響で大会が軒並み中止になり、ちょっと残念なシーズンの終わり方ではありましたが、僕らしいサッカーを皆さんにお見せできればと思います」

アグ
「残念な気持ちを今回のサマーカップにぶつけつつ、今シーズンで有終の美を飾るためにも、優勝したいです」

「サマーカップシリーズ」は28日17時半からスタート。下記の公式Twitchチャンネルでは生配信も行われる。

・大会公式サイトはコチラ

・EA SPORTS FIFA 公式Twitchチャンネル
https://www.twitch.tv/easportsfifa

(取材・文 石川祐介)

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