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反骨心が成長の原動力に。関東一の左サイドで違い作り出す2年生SB肥田野蓮治

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後半21分、関東一高の左SB肥田野蓮治はロングクロスでアシスト

[10.10 選手権東京都Aブロック1回戦 本郷高 0-6 関東一高 駒沢2]
 
 左サイドで違いを作り出した。関東一高の左SBとして先発した肥田野蓮治(2年)は身長178cmの長身レフティー。元々はトップ下や右SHでプレーしていたというDFが、1ゴール2アシストと印象的な活躍を見せた。

「視野の広さとキック精度が一番得意なところです」という肥田野は、その強みを活かして後方からゲームメーク。加えて、局面によって左足キックの種類を蹴り分け、間合いを外してアイディアのあるパスを通すなど、違いを作り出していた。

 また、コンビネーションから敵陣深く切れ込んでのクロス、スペースへの配球、正確なプレースキックなど特に攻撃面で存在感。前半19分にはFW笠井佳祐(3年)への縦パスでゴールを演出し、36分にはこぼれ球を左足ダイレクトでゴールへ蹴り込んだ。

 そして、後半21分にもショートコーナーから左足のロングクロスでアシスト。直後に交代したが、怪我によって今春まで半年間プレーできなかったという肥田野は、チームの勝利に貢献しつつ、その存在も大いにアピールした。

 この日のパフォーマンスについては「自分、元々攻撃の選手で他の人が見れないところを見れたり、見えるところは他の選手よりも広いかなと。攻撃のところでいつも違いを作ろうと意識していて、攻撃の面では違いを作れたと思います」と頷いていた。

 まだSBとしての課題が多いことは確かだが、挑戦中の新ポジションで飛躍する可能性は十分。本来の中盤で才能を開花させるかもしれない。小野貴裕監督は肥田野について「もっと成熟させないと」という。本人が意識高くより強みをレベルアップさせ、課題を改善させながらスケール感大きな選手へ成長するか注目だ。

 反骨心が原動力になっている。FC東京U-15深川時代は全日本ユース(U-15)選手権で優勝。だが、なかなか出場時間を得られず、U-18チームに昇格することはできなかった。関東一へ進学した理由は、繋ぐスタイルと、東京都1部リーグでFC東京U-18Bと対戦できるということが理由。「見返したいという気持ちがあります。自分の名前をどんどん出していきたい」。中学1年時には身長150cmで体重もなかなか増えず、フィジカル面も不足。だが、現在は身体が大きくなり、強さも増してきている。

 選手権は未来を切り開くためにも重要な大会だ。「自分、1年生の頃怪我で出れなくて選手権に懸ける思いは強いし、自分の名前を出すのもここの舞台しか無いと思っているので、とにかく今2年生で思い切ってできるところもあるので、全力でやりたいと思っています」。チームの全国出場に貢献し、自らもチャンスを掴む。

(取材・文 吉田太郎)
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