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練習から戻ってきた“流経らしさ”。責任感と自覚を持って流経大柏は選手権予選初戦へ

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流通経済大柏高のU-18日本代表MF藤井海和主将は練習から激しい守備

 選手権予選初戦を間近に控え、“流経らしさ“が戻ってきた。流通経済大柏高(千葉)は、今月16日の紅白戦でAチームがファーストプレーからBチームに全力で向かって行き、対峙する敵に間を与えないような非常に激しいバトル。Aチームのスタメン組が自覚と責任感をハードワークや仕掛けの部分で表現し、勝利も収めた。

 榎本雅大監督は「こういうことですよね」とコメント。前日15日の紅白戦ではAチームがBチームに敗れていた。07年度の全国2冠や13年のプレミアリーグ制覇などの歴史を持つ流経大柏には、スタメン以外でも他校ならばエース級と言えるような選手がいる。その紅白戦でBチームが力を発揮することは珍しいことではない。ただし、Aチームはメンバーを分けて臨んだ佐野日大高(11日)戦で引いた相手を攻めあぐねて敗戦。その後のトレーニング、試合でも緩さや迷いがあったり、思うようなサッカーができなかったり、“ハマって”しまっていた。

 いずれも水戸へ練習参加していたエースFW森山一斗(3年)と強力SBコンビ、右SB清宮優希(3年)、左SB田村陸(3年)の3人がチームに戻ってきたばかり(森山は16日に合流)。日本高校選抜GK松原颯汰(3年)も内定先の千葉への2週間の練習参加でチームから離れていた。下級生時から公式戦を経験していた主力が暫く不在だったことは確か。その中で「チームを代表して、選ばれたからには自覚を持ってアイツら(他のメンバー)のために戦うんだと思ってやれるか」(榎本監督)という“大事な部分”が薄くなっていたのかもしれない。

 16日の練習前には、普段よりも大幅に長いミーティングで榎本監督から欠けていたものを指摘された。目が覚めた。改めて覚悟を持った。そして始まったトレーニングは、ウォーミングアップからピリピリした雰囲気。“流経らしい”空気感の中で実施された紅白戦では、公式戦さながらの激しさがあった。

 迷いを振り払ったU-18日本代表MF藤井海和主将(3年)が、持ち前の運動量とボール奪取力、そして何より戦う姿勢を表現。復調してきている森山がスピードに乗ったドリブルで相手の守りを2度3度と切り裂き、「日本一のプレス」を掲げるFW松浦陸翔(3年)やMF宇津木脩人(3年)、MF松本洋汰(2年)、清宮といった選手たちもハードワークの部分や技術力の部分で特長を発揮していた。

 藤井や松原、森山といった大黒柱は、これまで仲間から指摘される回数が少なかったようだ。だが、この日はミスがあれば容赦なく叱責を受けた。“流経らしい”ガチンコのトレーニングと紅白戦。それを終えた藤井は、「公式戦だったら誰でもやると思うんですけれども、練習だったら100でできないというのがみんなあったと思うので、いつも100でやるという当たり前のところに戻れたかなと思います。チームが一つ引き締まったので、これを毎日やれば良い試合ができると思う。選手権前に気づけて良かったと思います」と頷いた。

 藤井自身、U-18日本代表や日本高校選抜のチームメートの進路が決まる中で焦りが出て、プレーが低調だったことを認める。だが、主将も15日と16日の2日間で一番大事なものを再確認。「自分(のこと)が一番大事になっていたなと気づいて、キャプテンでありながらそういうところは反省しないといけないし、チームのためにやることが一番大事だと思ったし、チームのためにやれば結果もついてくると思う」。この日は「久しぶりに自分でも評価して良いプレーができた。(選手権では)自分を出す。そしてキャプテンとして背中で引っ張れれば良い」という藤井の選手権予選でのプレーも注目だ。

 今年は藤井、松原、森山、清宮と1年時から選手権を経験しているタレントたちを擁し、前評判が高い。田村やFW川畑優翔(2年)、CB田口空我(2年)といった選手たちの台頭もある。プレミアリーグ関東ではJクラブユース相手に真っ向勝負。前半に退場者を出したFC東京U-18戦こそ0-1で落としているものの、内容のある試合を続けているという。「順調に成長していると思う」と榎本監督が評するチームは、選手権へ向けて引き締める材料も必要だったのかもしれない。

 榎本監督は「今日のようにやれるか」。特にAチームの選手たちは、流経大柏の代表としてトレーニング、試合をする自覚と責任感を持って日々成長と結果を求める。日本一を目指す選手権の千葉県予選は24日の柏井高戦からスタート。1年時に全国準優勝、2年時の千葉決勝敗退を経験している藤井は「思いの強さでは負けないと思います。1-0でも良いから選手権は勝つことにこだわっている。榎本監督1年目で優勝するというのはみんな狙っているところですし、ライバルの市船は朝岡(隆蔵)監督(現千葉U-18監督)が1年目の時に全国制覇している。そういうところを意識しながらやっています」。名将・本田裕一郎前監督(現国士舘高テクニカルアドバイザー)が退任して1年目。新生・流経大柏は“流経らしさ”と今年度に懸ける特別な思いも持って、一戦一戦勝ち上がって行く。

(取材・文 吉田太郎)
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