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[MOM3263]佐賀東FW小屋諒征(3年)_昌平の友と果たした約束を実現させるために―。エースが3G1A!

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3ゴール1アシストの活躍を見せた佐賀東高FW小屋諒征(3年)

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[11.1 選手権佐賀県予選準決勝 佐賀東高 9-0 有田工高 佐賀サンライズパーク陸上競技場]

 エースの名に相応しいプレーと結果で佐賀東高を勝利に導いた。

 前半の中盤戦までチームは無得点。攻撃のスイッチを入れる縦パスが入らず、ボールを支配しながらも得点を奪えない展開が続いた。しかし、19分にCB岡部羽弥(3年)のゴールでリードを奪うと、チームは本来の姿を取り戻す。その中心にいたのが10番を背負うFW小屋諒征(3年)だった。4-4-2の左サイドハーフで起用されると、得意のドリブル突破でチャンスを演出する。2-0で迎えた前半29分には右SB木下友斗(3年)からパスを受け、ペナルティエリアの手前から右足を一閃。強烈な一撃がネットに突き刺さり、チームに勢いをもたらす3点目を奪った。直後の同31分にはMF吉田陣平(2年)のパスを受け、左サイドを単騎で突破。ゴール前まで持ち上がり、左足でネットを揺らした。

 以降もシュート、ドリブル、パスで攻撃を牽引し、前半38分には左サイドからクロスを入れてFW高瀬翔(3年)のゴールをお膳立て。後半開始からはポジションを2トップの一角に移し、変幻自在の仕掛けで相手を翻弄した。チームがゴールを積み重ねる一方で自身はなかなかゴールを奪えなかったが、後半38分に最終ラインの背後に抜け出し、相手GK山口匡祐(3年)をかわしてハットトリックを達成。「立ち上がりは攻撃のリズムを作れなくて、攻めあぐねた。だけど、途中からボランチを中心にパスを繋げるようになり、ゴールが決まるようになった。自分は監督から自らゴールを決めて、チームを勝たせる役割を求められている。自分のゴールで勝利に貢献できたので良かった」と、試合後は自身のプレーに一定の評価を下した。

 中盤で存在感を示した吉田とともに、チームを引っ張った小屋。今季は新チーム立ち上げ当初からエースとして期待され、自身も高卒でのプロ入りを目指して戦ってきた。春先には高校選抜に選出され、高卒でプロを目指す同級生たちから多くのことを吸収。ピッチ内外での意識やフィジカルの重要性を学び、プロの世界に行くための物差しができた。

 特に大きな影響を受けたのが、高校選抜合宿で親交を深めた昌平高の須藤直輝(鹿島アントラーズ入団内定)、小見洋太(アルビレックス新潟入団内定)、柴圭汰(福島ユナイテッド入団内定)の3人。新型コロナウイルスの感染拡大の影響で活動自粛中は連絡を取り合い、自主トレーニング内容などを聞いて刺激を受けた。ただ、その成果は実らず、卒業後は大学に進学する。Jクラブから興味を示されていたが、新型コロナウイルスの影響で練習参加の機会を得られなかったことも影響してオファーが届かなかったからだ。しかし、小屋は自分の実力不足を認め、すでに気持ちを切り替えている。

「自分も高卒でプロに行きたかったけど、新型コロナウイルスの影響で練習に行けなかった。でも、実力があれば練習参加をせずともオファーをもらえているはず。高校選抜に選ばれていた2年生はほとんどプロ入りするけど、自分は大学に行く。悔しい気持ちがあるので、大学経由でプロになって高校選抜で一緒だった選手に負けないようにやっていきたい」(小屋)

 だからこそ、今回の選手権に懸ける想いは強い。
 
「まずは全国の舞台で活躍して、『なんでプロに行かなかったの?』と思われるぐらいの活躍したい」

 目標は選手権に出場し、仲の良い3人がいる昌平と戦うこと。小屋は言う。「たまに連絡は取っている。『全国でやりたいね』という話もされたので、上のステージで戦いたい」。7日の決勝では龍谷高と対戦するが、選手権予選では2年連続で敗れている相手だ。友との約束を果たすためにも、県下のライバルを倒してチームを3年ぶりの全国舞台に導いてみせる。

(取材・文 松尾祐希)
●【特設】高校選手権2020

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