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輝と書いてテリー、医学系大学教授を父に持つ医師家系で育った富山一高MF福岡輝の夢は「サッカー選手」

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MF福岡輝がダメ押し弾を決めた

[11.7 高校選手権富山県予選決勝 富山一4-0水橋 総合運動公園陸上競技場]

 3点をリードして折り返した富山一高だったが、後半に入ると相手の攻勢を受けてしまう。しかし21分、右CKをニアで合わせたMF福岡輝(3年)の相手に傾きかけた流れを断ち切るヘディング弾でダメ押し。6年連続となる県大会突破を確実なものにした。

「選手権予選は個人的な調子はそんなに良くなかったけど、チームのためにしっかりと仕事は出来たかなと思います。今日点が取れたことで、モチベーションも上がる。あまり点を取るポジションじゃないけど、点を取る癖を付けていければと思います」

 輝と書いて「テリー」と読む。父親の順也さんの仕事の関係でアメリカ・メリーランド州で生まれたため、「ウイリアム」というミドルネームも持っている。順也さんは現在、長崎大学医歯薬学総合研究科に勤務する大学教授。2人兄弟の兄・登夢(とむ)さんも医学の道に進んでいる。

「僕の家はみんな医者」という環境で育ったテリーだが、2歳の時に引っ越してきた富山県でサッカーと出会い、のめり込んでいった。中学時代はSQUARE富山、そして高校は県内屈指の強豪富山一高に進み、サッカーに打ち込んできた。

 当然、周囲からは将来的にはテリーにも医学の道に進むことを期待されているというが、今の夢はサッカー選手になること。「プレッシャーの中でサッカーをやっている」と苦笑いで明かすが、父親の順也さんは背中を押してくれているという。「お父さんは許してくれたので、思い切ってやれています。将来はサッカー選手になりたいです」。

 選手権は1年生の時からサポートメンバーとしてチームに帯同。しかし主力として期待されていた昨年は、夏のインターハイ直前に負った左膝蓋骨骨折の影響で、半年以上、試合に絡むことが出来なかった。「インターハイも準優勝。出られなかったプレミア参入戦も負けてしまったし、個人的には日本一悔しい思いをしていると思っています」。今年にかける思いは人一倍強いものを持っている。

 卒業後は医学部のある大学への進学を考えているが、アメリカの大学に進むことも選択肢として持っているという。ただ今はサッカーが楽しい。まずは高校サッカー最後の晴れ舞台である選手権で、テリーが最高の輝きをみせる。

(取材・文 児玉幸洋)
●【特設】高校選手権2020

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