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[MOM3298]丸岡FW河上英瑞(3年)_全国導く2発!比較され、目標としてきた先輩FWのように

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丸岡高FW河上英瑞は福井決勝で2ゴール

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[11.8 選手権福井県予選決勝 丸岡高 3-2 福井商高 テクノポート福井]

 丸岡高FW河上英瑞(3年)が2つのゴールで、全国への道を切り開いた。

 後半16分に決めた同点弾は、相手最終ラインの背後を突こうとした攻撃から。福井商高DFに当たったこぼれ球が、ゴールへ向かっていた河上の下へ転がってきたところを強烈なシュートでGKのニアサイドを破った。

 後半38分の決勝点も、こぼれ球からだ。右サイドから竹島智哉(3年)のロングスローに備えてゴール前へ多くの選手が集まる中、竹島はロングスローではなく近くにいたMF新堀陽斗(3年)へボールを落とす。新堀が上げたアーリークロスに意表を突かれたのか相手DFはゴール前でクリアしきれず、そのボールが河上の下へ落ちてきた。

 2点ともシュートに至る過程には運があったかもしれないが、そのチャンスをゴールへとつなげたのは彼の能力に他ならない。しっかりとボールを捕らえて、右足を振りぬいたシュートはいずれも豪快にネットを揺らしてみせた。

 河上は「自分は走ることで試合に使ってもらえている。前からの守備や、攻撃で仲間がボールを持ったときに走り出すことは意識しているし、もっと身体を張ったポストプレーでも貢献したい」と自身のスタイルを説明する。

 1年時はFWだったが、昨年はCBでプレー。それが昨年の選手権本大会へ向けて前線に高さや迫力をもたらすオプションとして、12月の練習試合からFW起用が増えた。そして、1回戦の長崎総合科学大附高戦で勝利につながる2ゴールという結果を出し、今季もFWでのプレーが続いている。

 ただし、常にスタメンだったわけではない。「前から相手を追いかけなかったら、すぐに交代させたり(次で)使わなかったり」(小阪監督)という中で、実力を磨いてきた。

 そんな彼が目標とし、同時に「ずっと比較されてきた」選手がいる。昨年のエースであるFW田海寧生(現・駒澤大)だ。高い身体能力を生かしてゴールに向かうプレーやスペースへの飛び出しなどでチームを牽引し、第98回大会の優秀選手にも選ばれている。「監督が求めるFW像は田海くんかもしれない。田海くんは1試合を通じて走りきれる体力に、気持ちの強さもあった。少しでも近づきたい」と話す。

 小阪監督も「本人には『まだ田海のところまで達していないぞ』と言っている。今大会もベスト4までは全然だったけれど、決勝では何かやってくれるんじゃないかと思っていた」と期待を寄せている。

 田海とは特徴の違うFWかもしれないが、決勝で見せた思い切りのいいシュートや、CBでの経験が「守備で相手に素早く寄せる動きや、コースを切る動きとしてFWでも生きている。CBの考え方も学べて、その上でFWとしてどんなプレーをするのか、というのも役に立っている」という要素は河上ならではの魅力だ。

 キャプテンのMF川中浩夢(3年)は「今年になって責任感が増した。FWとしての仕事をしっかりやるんだ、という思いが伝わってくる」と河上の昨年からの変化を話している。9番を背負う選手として、自分なりのプレーを全うすることでチームに貢献する。

(取材・文 雨堤俊祐)
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