[11.6 選手権埼玉県予選準決勝 昌平高 4-1 正智深谷高]

　正智深谷高はJ内定4選手を擁する昌平高相手に一歩も引かず、真っ向勝負。小島時和監督は「(引いて守ってでは)子どもたちの良いところを出せないし、悔いも残ると思ったのでスタッフ一同、選手とも話してやるぞと」と説明する。

　コンパクトに戦って相手にスペースを与えない。そして高い位置からプレッシャーをかけて昌平のパスワーク、ドリブルを封じに行った。「上手いんで出どころしっかりと抑える、小見くんを機能させない、それが一番でした」と指揮官。CB大塚天翔(3年)とCB小屋結世(1年)の両DFも信頼に応えて小見に食らいつく。シュートエリアの広い小見に強烈な一撃を打たれるシーンもあったが、流れの中から得点を許さなかった。

　立ち上がりにFKから“もったいない”失点をしてしまったものの、そこで畳み掛けられることなく、守備から持ち直した。奪ったボールを縦に入れて反撃。そして前半26分、同点に追いつく。右SB川井祥馬(3年)のクロスからファーサイドのMF倉林大河(3年)がヘディングシュート。最後はFW山本滉(3年)が詰めて1-1とした。

　後半、相手がサイド攻撃を増やしてくる中でも1-1を継続。11分には、昨年のインターハイ予選・昌平戦(3-0勝利)のヒーロー、俊足FW浅見竜輝(3年)を投入して勝ち越し点を狙った。

　だが、体力的に苦しくなった後半21分、冷静にクリアすることができずボールを奪い返されると、相手の連続攻撃を受けて失点。小島監督が「彼らにとってキツイ1点。向こうにとっては元気の出る1点。明暗が分かれたと思います」と振り返ったように、大きな1点となってしまった。

　この後、前に出たが2つのPKを与えて1-4で敗戦。小島監督は「どこも同じだと思いますけれども」と前置きした上で、「3か月できなかったあの間鍛えていれば粘れる体力とか持つチームに作り上げられたと思うけれど、良く食い下がったと思います」。思うような日々を送れない中でも目標を持って成長し、自分たちの戦いをした選手たちを讃えていた。

　この日は、今大会で好守を見せたGK小櫃政儀(2年)や小屋ら4人の下級生が先発。「また一から出直してやるしかないと思うので、頑張りたい」(小島監督)。3年連続選手権予選で昌平高に敗れたものの、宿敵相手に堂々の戦いを見せた正智深谷は来年、雪辱と全国出場に再挑戦する。
　
(取材・文　吉田太郎)

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