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“ベンチ観戦”は1年8か月ぶり、DF冨安が指摘したパナマ戦の課題「外から見ていただけじゃ簡単に言えないけど…」

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日本代表DF冨安健洋(ボローニャ)

 パナマ戦で出番のなかったDF冨安健洋(ボローニャ)にとって、日本代表戦をベンチで終えたのは昨年3月のキリンチャレンジ杯以来1年8か月ぶりのことだった。スタンドに設置された控え選手エリアで試合を見つめた22歳は「僕も常にいいプレーをしていって、常に自分の価値を示し続けないといけないと感じた」と振り返った。

 日本代表はオーストリア遠征初戦のパナマ戦で、3-4-2-1のシステムをスタートから採用。前半は3バックがボールを持ちながら迷う時間帯が続いたが、相手の足が止まった後半に主導権を握れるようになり、MF南野拓実(リバプール)のPKから奪った決勝点で1-0の勝利を挙げた。

 ベンチで戦況を見守った冨安は試合から一夜明けた14日、「1-0という結果に関しては満足してはいけないと思うし、結果に対しては実力差を示さないといけなかった」と指摘。その上で出場選手に配慮しながら「やっている選手たちも難しかったと思う。外から見ていただけじゃ簡単には言えないけど……」と前置きし、ピッチ内で起きていた課題を指摘した。

「個人的には攻守ともに後ろが重くなってしまったと感じていた。3バックをやる上で一番よくない状況が後ろに人が余り過ぎる状況だと思うので、攻撃では3枚のうちの誰かが運んだり、ボランチに並ぶくらいまで高いポジションを取って動かせれば違った展開になったかもしれない」。

 これまでの森保ジャパンにおいて、冨安がチームの内容をこれほど客観的に語ることはそう多くはなかった。それは冨安がセンターバックのポジションで不動のレギュラーを保っており、出番のなかった試合は負傷離脱期間を除けば昨年3月にまで遡らなければならないという理由もあるが、冨安自身の心境の変化によるところもありそうだ。

 この日、冨安は日本代表との向き合い方の変化について「ずっと試合に出させてもらっているぶん、チームの結果、無失点ということによりこだわるようになった」と説明。「最初の頃はチームの結果より、自分をどう表現するかにフォーカスしていたところがあったけど、いまはチームの結果を求めていけている」と手応えまじりに語っていた。

 またパナマ戦前の取材では、GK川島永嗣(ストラスブール)から「冨安隊長」という異名も聞かれた。これはこれまでの日本代表メンバーが合宿時に代々続けてきた「散歩隊」での立ち位置を示すものだが、2年前に19歳でA代表デビューを飾った冨安の立場が、いまでは確かなものとなっている証しでもあるだろう。

 そんな冨安はアクシデントさえなければ、17日(日本時間18日早朝)のメキシコ戦での先発が見込まれる。「若いからと言って遠慮している選手は誰一人いないし、スタメンに出ることを意識して練習からやりあっている。僕も最初はそうだったし、初心を忘れずにやりたい」(冨安)。DF板倉滉、MF三好康児、DF菅原由勢といった五輪世代が新たに台頭している中、一段上のパフォーマンスに期待がかかる。

(取材・文 竹内達也)

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