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県予選全試合ゴール。鹿島学園FWエゼ・トベチクは肉体強化やFW転向きっかけに覚醒中

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鹿島学園高の大型ストライカー、FWエゼ・トベチク(11月取材)

 ボランチからFWへ転向してまだ4か月ほど。だが、ブレイクの可能性を大いに秘めたストライカーだ。ナイジェリア人の父と日本人の母を持つ鹿島学園高FWエゼ・トベチク(3年)は、選手権茨城県予選全4試合でゴール。決勝戦では立ち上がりから前線でボールを収め、DFをいなすように前進してチームを勢いづけた。高さに加え、ポストプレー、サイドでの仕掛けでも相手の脅威に。そして延長前半、PAのこぼれ球に反応すると、ターンから決勝点となる右足シュートをゴールに叩き込んだ。

 試合後はC大阪U-15時代の恩師から祝福の電話が掛かってくるなど、反響は大きかったようだ。これまではボランチとしてボールに多く触ることなどに楽しさを感じていたというが、選手権出場に貢献したことでFWとしての手応えも。「強みは点が獲れることで課題はもっとボールに係われたらなと。思ったよりはできていると思います」。鹿島学園のコーチ陣が「覚醒しました」と表現するほど強力な存在となっている。

 この活躍は、肉体作りの成果でもあった。C大阪U-15時代は「身体もあんまりできていなかったし、あんま足も動かなかった」。C大阪U-18へ昇格することができず、寮生活で人間的にも成長することを目指して鹿島学園へ進学。高校2年時には中足骨骨折を経験した。

 だが、5か月もの離脱期間を有効活用。「その時に太っちゃおうと思って筋トレとか体幹とかいっぱいして」。復帰当初は動くことも辛かったと振り返るが、現在は「(入学当初に比べて)身長は9cmとか。体重も12、13kg増えました。(身長約185cm、体重約80kgで当たり負けは)あんまり無いですね」という肉体と強さ、しなやかさも手にした。

 これまで技術力や判断力を積み上げ、肉体強化とFW転向をきっかけに大暴れ中のエゼ。大学進学予定だが、選手権の活躍によって将来へアピールできるか。「目の前の一戦をしっかりと勝てるように、(FWとして出場するならば)僕は点獲ってチームを勝たせられるように準備したいと思います。(自信があるのは)得点能力で、決定力のところを見て欲しいです」。覚醒中のストライカーが全国大会でもゴールを連発し、鹿島学園を勝利へ導く。

(取材・文 吉田太郎)
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