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FW鈴木ワディはわずか10数分で終わった選手権の悔しさ、ライバル心も徳島でのエネルギーに

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左から徳島の高本詞史スカウト、日大藤沢高FW鈴木輪太朗イブラヒーム、同・佐藤輝勝監督

 わずか10数分の選手権。その悔しさ、ライバルに絶対に勝つという思いも胸にプロの世界で戦う。徳島ヴォルティス内定の日大藤沢高(神奈川)FW鈴木輪太朗イブラヒーム(3年)にとって、最後の選手権はわずか1試合で幕を閉じている。

 10月8日に左大腿裏の肉離れによって離脱。チームはエース“ワディ”不在の中でも神奈川県予選で2試合連続1点差勝利するなど準決勝へ進出した。そして、桐光学園高との大一番は1-1で延長戦へ突入。その前半途中に投入された鈴木は同後半にゴールを奪ったが、チームは追いつかれ、PK戦で敗れた。

「あそこ(選手権)の一番大事な試合で自分が勝たせるというのは高校3年間の目標と言っても過言ではないくらい気合が入っていた」と振り返る。だが、「最高の仲間」「最高の監督」とともに選手権のピッチに立つことはできなかった。自分を信じて待ってくれていた仲間や、プロ入りするための道を必死に拓いてくれた佐藤輝勝監督に恩返しすることはできず。「凄く悔しかった」選手権予選は、これからのエネルギーになっている。

 選手権への道を阻まれた桐光学園にもJクラブ内定選手がいた。それは、町田加入内定のCB奈良坂巧(3年)だ。鈴木にとっては、「アイツには負けたくない、ライバルだと思っています」という存在。関東トレセンで一緒になり、仲良くなったDFは2年時にライバル校の柱としてインターハイ日本一を成し遂げている。

 普段からお互いに「絶対に負けねえぞ」と言い合っているという2人。鈴木は「アイツを凌駕、圧倒できるようになれば自信にもなるし、評価される」と考えている。凌駕するために何をすれば良いのか。それを自覚する機会となったのが、昨年12月のU-18日本代表候補合宿だ。

 奈良坂も参加した合宿で鈴木は青森山田高CB藤原優大(3年、浦和内定)ら世代トッププレーヤーたちとともにプレーする機会を得た。「現段階で(自分)はまだかなと」と実感した一方、「(改めて)自分の強みが何か分かった」合宿に。192cmの大型FW鈴木は日大藤沢でポストプレーを求められてきたが、より得意としているのは走れる、抜け出せるところだ。

 前を向いて仕掛けた時の迫力は十分。高身長に加えて、走る、柔らかくボールを扱える部分の強みを「自分が完璧にできれば(周囲の選手を)置いていけるかな、一個抜けられるかなと思っています」。奈良坂に劣っているヘディングの部分も強化し、ライバルを圧倒することを目指していく。

 タイプこそ違うものの、徳島へ同期入団する京都橘高FW西野太陽(3年)ももちろん意識している存在だ。選手権のプレーを映像で確認。「同期入団するので、良い友であり、絶対にライバルになるので、絶対に負けたくないです」。プロ入り後は壁にぶち当たることが幾度もあるだろう。それでも、わずか10分ほどで終わった選手権の悔しさ、ライバル心を常に持ち続け、自身を磨き上げて抜きん出た存在になる。

(取材・文 吉田太郎)
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