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フランスでの2週間で得た大きな経験。青森山田MF松木玖生が測った世界との距離

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青森山田高の超高校級MF松木玖生

 フランスで過ごした2週間は、改めて自身の現在地を確認する貴重な経験になった。「率直にサッカーが日本とは違うという印象です。海外の選手は速さと強さを兼ね備えていて、最初はそれに慣れるのに苦労しましたし、徐々に慣れてきてはやれましたけど、体格もスピードも違いましたし、特にスプリントの部分で日本とは差があるなと感じましたね」。自分のモノサシで測ってきた世界との距離。青森山田高のキャプテンにして、高校年代屈指のレフティ。松木玖生(2年)の視線は、さらなる高みを確実に捉えている。

 4試合で4得点。過去4年の選手権王者が参加した時之栖チャレンジカップ。前橋育英高(群馬)との2試合、山梨学院高(山梨)、静岡学園高(静岡)と強敵ばかりと対峙した、その全試合でゴールを奪った松木。それでも「常に点を獲ることは当たり前なんですけど、もっと個人的に打開できる所だったり、個の能力で行ける所はまだまだなので、そういう所を増やしていけば、もうちょっと得点のバリエーションが増えるかなとは思います」と満足する気配はない。

 今大会は10時間近いバス移動を経て、2日間で4試合。スタメンも全試合で同じ11人が指名され、高い強度でのプレーを強いられる中で、松木も「個人的にもそうですけど、チームの足が止まる時間帯が多かった2日目だったかなという印象があります」と語るその2日目の第2試合、疲労もピークに達していた前橋育英戦の後半には、ドリブルから相手GKをかわして決勝点をマーク。苦しい場面での勝負強さが光った。

 この冬にはフランスのリヨンに2週間の武者修行を敢行。「練習中から要求して、どんどんパスをもらえるようにはなっていったので、守備の強度の所もそうですし、ボールを受けてからの関わりというか、日本人らしく丁寧にやる所は通用した部分かなと思います」。磨いてきた強みが通用する手応えを掴む。

 周囲の評価も上々で、当初参加していたU-19のカテゴリーは1日で“卒業”。以降は年上の選手が大半のセカンドチームでプレー。「自分ももともと課題に挙げていたんですけど、本当に一瞬の動きという所でスプリントの部分が劣っていたので、そこをどう改善できるかは今後の課題ですね」。よりレベルの高い環境に身を置いたことで、課題も浮き彫りとなった。

 現地のチームメイトとのコミュニケーションも「凄く歓迎してくれたので、そこで溶け込むことができました。まあフランス語はよくわからないですけど(笑)、ジェスチャーとかを交えて優しくフレンドリーに接してくれましたし、みんな絡んできてくれて嬉しかったですね」とのこと。また、同じリヨンに所属している欧州CL5連覇中の日本女子代表(なでしこジャパン)のDF熊谷紗希とも交流を持ち、大きな刺激を受けた。

 リヨンと言えば美食の街として知られるが、今回は外出制限のために外食はなし。「寮の食堂に行くと、ピザ的なモノやラザニアだったり、マカロニになんかトマトソースを掛けたモノとかが食べられて、最後にパンが置いてあって、みたいな感じでした。朝ごはんはコーンフレークのようなシリアルがメインで、あとは卵のようなたんぱく質類が多かったイメージてすかね。やっぱり日本のごはんの方が美味しいです」。そう語る笑顔は17歳そのもの。高校生のあどけなさも覗かせる。

 中学3年生から数えて、トーナメントの全国大会では3年連続で準優勝。1年時にプレミアリーグファイナルで日本一を経験しているとはいえ、2年ぶりとなるプレミア制覇はもちろん、選手権で頂点に立つことが今年の大きなターゲットであることは言うまでもない。

「まだベース作りの時期ですけど、ここで選手権の優勝チームと試合できたということにまず感謝しないといけないですし、静学には負けてしまいましたけど、勝ち切るという所でベースが上手く作れているのではないかなと思いますね。チームをより一層強くするために今まで経験してきたモノを生かすことは、自分がやっていかなければならないことですし、『今年のチームも強いんだぞ』『優勝できるんだぞ』という所を見せ付けていけたらいいなとは考えています」。

 勝負の1年。松木の左足が、青森山田と自身の明日を切り拓く。

(取材・文 土屋雅史)

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