[5.16 プレミアリーグEAST第6節 市立船橋 1-4 大宮U18 グラスポ]

　今年から託された“10番”の重責は、思った以上に自身の両肩へ圧し掛かっていた。今まで数多く重ねてきたはずの、ゴールを獲ることの難しさを痛感した日々から、ようやく解放されたことは、表情を見れば一目瞭然だ。「この先もフォワードをやっていく上で、点数というのは絶対条件なので、まだ1点ですけど、やっと決められて良かったです」。大宮アルディージャU18のストライカー。FW山崎倫(3年=FC Consorte出身)は、ここから一気にゴール量産のアクセルを踏み込んでいく。

　エースは苦悩の中にあった。開幕から3試合はサイドハーフで起用され、チームも勝利を引き寄せられない上に、自身もノーゴール。ようやく第4節で初白星を勝ち獲ったものの、得点という結果が付いてこない。

　この日の市立船橋高戦では、FW高橋輝(2年)のPKとMF阿部来誠(2年)のFKで2点をリードする展開の中、前半35分に千載一遇の得点機。ツートップの相方を務めるFW前澤拓城(2年)との連携からラインブレイク。GKとの1対1が訪れる。

「ドリブルしている時に、『ああ、これはループだな』と思っていました。駆け引きは特にないですけど、落ち着いてドリブルができて、周りも見えていたので、キーパーが出てくる瞬間を見計らって、上手く蹴れましたね」というループシュートを選択すると、ボールはゆっくりとゴールネットへ弾み込む。

「だいぶホッとしました。5試合やって無得点だったので、やっと決められて、一安心ではないですけど、かなり嬉しかったですね」と山崎。チームも4-1という快勝を収め、今季のリーグ戦2勝目をゲット。10番にもようやく笑顔の花が咲いた。

　5月上旬にU-18日本代表候補合宿に参加したが、本人は意外な選出だったと振り返る。「まず選ばれたことにビックリしました。まったく想定していなかったですし、U-18の世代の代表に入るのは無理だと思っていたので」。だが、想像以上に持ち味を発揮できたことは、大きな自信に繋がった。

「1個下の福田師王(神村学園高2年)は、大学生相手にも体で負けていなかったですし、実際2点も獲っていて、チームに欠かせない存在でしたし、良い刺激を受けたので、自分も負けていられないなと。同じサイドハーフだったら山崎太新(横浜FCユース3年)だったり、笠柳翼(前橋育英高3年)もタイプはそんなに似ていないですけど、ポジション的に重なると思うので、そういう選手に負けないようにしたいですね。」

　一度その環境を知ったことで、さらなる欲が出てきたことも隠さない。「もう1回代表に選ばれたいなと思っていますし、結果的に練習試合では1点獲れてアピールできたかなと。『ここは通用したな』とか、『ここは通用しなかったな』とか、大学生と対峙してみて感じたことがいろいろあったので、『代表に1回入っただけでもだいぶ違うな』と感じました」。代表定着、そしてその先にある大きな目標を手繰り寄せるため、高校最後の1年に懸ける想いは相当に強い。

「個人的にはいち早くトップチームでデビューすることが目標なので、プレミアリーグという大舞台で活躍して、もっともっと結果にこだわっていきたいですし、タイトルを獲るという目標は自分としても、チームとしてもあるので、そういう面でももっともっと結果を求めていけたらなと思っています」。

　6試合目でリーグ戦初ゴールを決めたエースにとって、まだまだここから巻き返す時間は十分にある。若きオレンジ軍団へ悲願のタイトルをもたらすために、山崎倫の目に見える結果は必要不可欠だ。

(取材・文　土屋雅史)

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