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走って投げれるマルチプレーヤー。日本文理DF小熊優斗は”文理サッカー”の体現者に

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日本文理高のスタイルを体現するDF小熊優斗

[6.5 インターハイ新潟県準決勝 新潟明訓高 1-4 日本文理高]

 選んだチームが正しかったことは、ピッチ上で見せている自らのプレーが何よりも証明している。「自分は持久力が高い方だと思いますし、日本文理は走るのがテーマでもあるので、攻撃だったらオーバーラップとインナーラップを何回もやることと、ロングスローと、守備の面では対人は絶対負けないという所が特徴だと思います」。2年生ながら日本文理高を主力として支えるDF小熊優斗(2年=グランセナ新潟FC出身)は、走って投げれるマルチプレーヤーだ。

 まず魅せたのは、その“強肩”。まだ開始から1分も経っていない時間に、右サイドで得たスローインのためにタッチラインへ立つ。「1年生の頃はそこまで飛んでいなかったですけど、2年生になってスタメンに定着してから、ロングスローを投げようかなと思って練習してきました。いつもは通常の練習が終わった後に、ラインからゴール前まで、10本か15本くらい投げています」。

 長めの助走からロングスローを投げ入れると、同級生のMF塩崎温大(2年)がミドルシュートをゴールへねじ込む。「1本目だったので、一番投げられる力があって、良いロングスローが投げられたと思います」。磨いてきた武器を披露し、チームにとっても大事な先制点の獲得にきっちり貢献してみせた。

 徐々に見えてきたのは、その“健脚”。後半に入っても、その走るペースは落ちないどころか、より増していっているようにすら感じさせるほど。サイドバックの位置で70分間を完走。決勝進出の瞬間をピッチで迎えた。

 ただ、自身のパフォーマンスにはまだ不満が残るという。「守備の面では貢献できたかなと思いますけど、今日の試合はあまりクロスがなかったので、もっとクロスの量を増やしたかったですね」。走り続けるのは、もはや通常営業。その上で何をチームにもたらせるかを、しっかり考えている。

 参考にしているのは、世界最高峰のサイドバックだ。「リバプールの(トレント・アレクサンダー・)アーノルド選手のプレー集はよく見ますね。クロスの精度も高くて、守備も強くて、完璧な選手なので、自分もそこを目指しています」。試合の日は良いイメージを膨らませながら、フィールドへ向かう。

 チームの雰囲気も上々。3年生に囲まれているディフェンスラインでも、のびのびとプレーできているという。「ピッチに入ったら学年の壁は関係ないので、そこに2年生だからという想いはないんですけど、今年の3年生も気軽に話せるので、やりやすいです。チーム自体があまりバチバチというのではなくて、“やんわり”している感じです」。だからこそ、先輩たちと目標を達成したい想いは強い。

「やっぱり選手権では優勝したいですし、もちろんインターハイも優勝したくて、タイトルをいっぱい獲りたいという感じです」。チームの指揮官、駒沢隆一監督が「我々の走る量とか球際、スピードという所の強さは、相手に邪魔されない所の強さだと思う」と語った、“文理サッカー”の体現者。小熊の走力が、日本文理を全国のステージへと牽引していく。

(取材・文 土屋雅史)
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