beacon

[MOM3504]帝京三FW細田皐太(3年)_チームのために身体張り続け、“劇的すぎる”優勝ゴール

このエントリーをはてなブックマークに追加

延長後半アディショナルタイム、帝京三高FW細田皐太が決勝ゴール

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[6.20 インターハイ山梨県予選決勝 帝京三高 2-1(延長)韮崎高]

 注目ストライカーがチームのために戦い続け、“劇的すぎる”優勝ゴールを決めた。延長後半ラストプレー、帝京三高は右サイドから左SB安原太洋(3年)がFKを蹴り込む。「絶対にボールが来ると信じていました。前半と後半、自分はチームのために何もできなかったので、最後ボール来たので絶対に決め切ろうという気持ちでした。」というFW細田皐太(3年=三菱養和調布ジュニアユース出身)がファーサイドからヘディングシュート。これがゴール右隅に決まり、決勝点となった。

 喜びの最中に試合終了の笛。細田は「入った瞬間、あんま覚えていないです。(笛の瞬間も) あんま覚えていないです。(でも、)マジで嬉しいです」。自分のゴールではなく、みんなで奪ったゴール。その1点と優勝を仲間たちとともに喜んだ。

 細田は1年時から期待されてきた183cmの大型ストライカー。得点力に加え、競り合いも強いFWは早い段階で先発のチャンスを掴んでいた。だが、今年の新人戦はサブに。点を獲りたいという思いが強すぎたがために、自分のやるべきプレーができていなかった。

 相良和弘監督は「点を獲ることだけでなく、チームのために潰れたり。他のヤツが獲ったら、それも得点」という。細田は自分がまずピッチで何をすれば良いのか、どうすればチームが助かるのかを考えた。

「自分は点を獲るのが一番の仕事だと思うんですけれども、その前に守備陣だったりがしっかりと身体を張って守ってくれているので、そこはしっかりと前線でキープしたり、収めていくのも仕事だと思って大事にしました」

 試合に出られない悔しさや関東大会予選準々決勝敗退の悔しさもバネに今大会へ。準決勝で決勝点を決めた細田は、この日も前線で泥臭い仕事を続けていた。空中戦で幾度も競り合い、身体を張ってボールキープ。後半立ち上がりに放ったヘディング弾は紙一重の差でオフサイドとなったが、相良監督も変化を認めるFWは自分の役割を続け、最後の最後でゴールを引き寄せた。

 試合に出られない期間に磨いてきたのは身体を張る部分だけでなく、シュートも。一つのチャンスで決め切ることを意識し、取り組んできた。また、鮫島龍コーチが、大阪体育大時代のチームメートであるU-24日本代表FW林大地(鳥栖)も実施していた練習法を細田に伝授。「身体の当て方や、シュートを打つ時の足の抜き方を教わってから結果が出てきています」。ストライカーとしても成長を続ける細田は、インターハイで得点王を目指す。

「個人として得点王を狙いたいですし、そのためには全員の力が必要。チームのみんなに信頼してもらわないといけないし、まずは自分の仕事をしたいと思います」。ボールを配球してくれる仲間のために、まずは前線で戦い、守備をすること。そして1本のチャンスで決め切って、この日のように仲間たちとゴール、そして勝利を喜ぶ。

(取材・文 吉田太郎)
●【特設】高校総体2021

TOP