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[MOM3521]京都共栄MFガブリエル・エンリケ(3年)_サントスで「10」背負った注目ボランチ、格の違い見せつけて4発

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京都共栄高のブラジル人MFガブリエル・エンリケが4ゴール

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[7.23 高円宮杯京都1部リーグ第9節 京都共栄高 8-1 京都外大西高 会場非公表]

 力強いボール奪取からの持ち運びでボランチの位置からシュートまで持ち込み、京都外大西高から奪ったゴールは4得点。大量得点を奪ったチーム以上のインパクトを残したのが、京都共栄高のブラジル人MFガブリエル・エンリケ(3年)だ。

 中学時代はブラジルの名門・サントスで10番を背負った実力者だが、日本でのプレーを望み、京都共栄に留学生としてやってきた。その実力は異国の地でも評価され、昨年の夏以降、4回に渡って横浜FMの練習に参加。今年に入ってからは練習生としてエリートリーグにも出場している。7月中旬にチームに復帰し、復帰後の公式戦2試合目となったこの日は序盤から、格の違いを見せつけた。

 最初の見せ場は前半4分。左サイドのMF山口遼馬(2年)が得たPKを冷静に決めて、先制点をマークすると、29分には中盤でのボール奪取からそのままゴール前まで進んで、GKとの1対1を左隅に流し込んだ。続く、36分にもハーフウェーライン付近での奪ったボールをそのままPAまで持ち込みシュート。この一撃はGKに阻まれたが、こぼれ球をFW後藤寛斗(3年)が押し込んで、前半を4-0で終えた。

 後半もガブリエルの勢いは落ちない。5分には、味方からのパスを受けると遠目からコースを狙って打ったミドルシュートを決めて、ハットトリックを達成。横浜FMへの練習後はパスに注力するあまり、持ち味であるゴールへの積極性を欠いていたが、この一撃は内藤翔平監督が「久しぶりにガブらしさが返ってきた」と称える通り、らしさを感じさせるゴールだった。

 11分には、後藤とのワンツーでPA左へと抜け出し、4点目をマーク。勝利を確実な物にしたガブリエルは、12分にピッチを退いた。その後はFKから京都外大西のDF土田和樹(3年)に1点を返されたが、8-1でタイムアップ。「みんなと一緒に努力して、勝ち点が獲れて良かった。僕の出来も、この数試合で一番良かった」と話すガブリエルの活躍によって、京都共栄は7勝2分と開幕から続ける無敗を維持した。

 日本に来てから、ガブリエルの成長は著しい。来日した当初は所かまわずシュートを打つなどプレーから我の強さを感じたが、チームのために全力を尽くす仲間の姿に感化され、献身的なプレーも増えていった。「高校サッカーは、どの高校も(選手権での)優勝を目指して、みんなが努力して頑張っているのが凄く良い。これまでは自分が良ければ良いと思っていたけど、勝つためには色んなこともしなければいけない。チームのためにも頑張って努力するようになった。勝つのは皆なので」。

 また、今までは左足でのプレーを苦手としていたが、横浜FMでは相手に読まれないよう左右両足で蹴れるように猛練習したため、左足のミドルシュートも打てるようになってきた。力強さを活かした持ち上がりに加えて、4点目のような周りとのコンビネーションを活かした攻撃参加も増えてきたのも成長の証だ。

「日本に来て良かったのは、僕の日本語が上手くなったこと」と笑みを浮かべる通り、今では流暢な日本語を話し、チームメイトとの意思疎通も良好だ。授業も同級生と一緒に受けている。下級生や練習参加した中学生にも積極的に声をかけ、一緒にボールを蹴る。「学校の誰に聞いても、ガブリエルは良いと言われる」。内藤監督の言葉通り、留学生ではなく、一人の高校生として日本に溶け込んでいる。

「ブラジルも好きだけど、日本も良い国なので、このままプレーし続けたい。誰かの真似じゃなく、自分にしかできないプレーをして、ガブリエルな選手になりたい」と、卒業後はJリーガーを目指している。横浜FMだけでなく、複数のJクラブが獲得に興味を示しており、今後は更なるアピールに励みながら、目標とする選手権出場を目指していく。

(取材・文 森田将義)

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